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5月3日
5月3日
さて、ゲオルグとしての自分の立ち位置を確認していこう。
グラーフ家は、ウルム王国のロイトリンゲン州を治める貴族であり、ウルム王国を支える72家の中でも中程度の貴族である。
その中でも、父に似て厳格な長男は既に父の補佐に入っているし、長男の予備である軽いノリの次男も家にいる。
3男の兄は家の騎士団で将来の団長候補として鍛えられている。
4男の私は、父が年をとってから身分の低い愛人に生ませた子で、普通なら直系には入らないのだが、7歳の時に行われる「神気開眼の儀」において、最上級の「黒」を発現させたために、宗家に迎えられている。
「啓介」の記憶が無い時は、特になんとも思わなかったけど、これってすごい良いポジションだと思う。
領地経営や貴族としての義務に縛られた兄達に比べて、求められているものが圧倒的に少ない。
さて、かなりワクワクしてきた。
昨日までは2つの記憶の間で混乱していたように思うが、これからの人生、「とにかく楽しく生きて生きたい」と、そう思っている。