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1.救世主兄妹召喚

「救世主様」


 荒々しい声が乱れる中で透き通る美しい音色の鈴のような声を目の前の女の子は言った。

 凛々しく、しかし可憐さも残す容姿。銀色で包まれた軽装の剣士風。それで両手には長さの異なる刀を持っている。

 空には矢が飛び交い、地では炎が木々を焼き払う。鉄と鉄の交差音があちこちから響き渡る。

 何が起きているか理解できず思考は停止して茫然と立ち尽くす。

 左手に握っている妹の小さな手がぎゅっと強く握り返してくる。それに気付いたナギは小学生の妹のナミに視線を移すと表情は恐怖で怯えていた。その恐怖は震えと共にナギの手に伝わる。


「にぃ、ここどこ?」


 今にも泣き出しそうな妹になんと言えばいいのだろうか。いや、それも大事だけど目の前の女の子は誰だ。その物騒な格好はなにかのコスプレなのか。

 あと周りの雄叫びやら爆発音はなんだ。サバゲーでもやっているのか。

 疑問しか残らない理解に苦しむ状況だ。


「救世主様。我らに力をお貸しください」


 ガチャガチャと鎧の音をさせながら女の子は片膝をついて言った。

 ああ、救世主様って俺達のことですか。ええと、これは芝居かそれとも新番組のドッキリ企画とかなんかなのかな。


「にぃ、この人誰?」

「さぁ? あの、いったいここは」


 それを聞いた女の子はばっと顔を上げる。


「大変失礼しました。名乗り遅れました。私はアルハイム国将軍を任されているアイナと申します」

「私はナミって言うの」


 妹は状況を余り理解できていない部分もあって自分も自己紹介していた。

 頭がこんがらがっている俺の手をぐいぐいと引っ張って、にぃも自己紹介しろというアイコンタクトを強烈に送ってきていた。


「俺はナギ。こいつの兄です」

「やはり、そうでしたか!! 伝承は虚実ではなかった。これで我々に勝利が!!」


 アイナという娘は片手に携えていた長刀を空へと掲げ叫ぶと、それに呼応して周りから轟音となった声の集団が大地を揺るがす。

 金属音と爆発音、風を切る矢音は鋭さを増していく。


 ――ここはどこだ?


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