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婚約破棄の現場から失礼します。その「冤罪」、科学捜査(フォレンジック)で論破させていただきます 〜前世科捜研の私が、魔法世界の完全犯罪をDNA鑑定で暴くまで〜  作者: ヲワ・おわり
第13章:洗脳の正体と「死者との対話」

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第61話:墓荒らし計画

 地下墓所。

 そこは、歴代の王や王族が眠る神聖な場所であり、王宮の防衛機構の要でもある。

 当然、セキュリティは最高レベルだ。


「現在は、ミエル派の騎士団が警備を固めているだろう。……数は、およそ一個小隊(約三〇名)」

「三〇名……」


 テオが真っ青になって震え上がる。


「む、無理ですよ! そんな厳重な場所、忍び込むなんて!」

「正面突破は自殺行為ですね。ですが、侵入インフィルなら勝機はあります」


 スカーレットは即座に地図を広げ、ルートの検討に入った。


「このラボの通気ダクトは、地下五階の空調システムと繋がっています。人一人が這って通れるスペースがある」

「ダクトか。……泥まみれになりそうだな」

「血まみれよりはマシでしょう。問題は、最奥の宝物庫の扉です」


 スカーレットは、資料にある宝物庫の扉の図面を指差した。


「王家秘伝の『封印錠』が施されています。物理的な鍵と、複雑な魔法陣が組み合わさった二重ロック。……これを解除するには、正規の鍵か、高位の解錠魔法が必要ですが」

「俺は攻撃魔法しか使えん。解錠は専門外だ」

「私もです。魔力が足りません」


 鍵が開かない。

 ここに来て、物理的な壁が立ちはだかる。

 だが、スカーレットは白衣のポケットから、一本の茶色い瓶を取り出した。中では、ドロリとした液体が揺れている。


「なので、『物理的に溶かす』ことにします」

「……は?」

「テオ君に作らせた特製の酸です。金属だろうが魔石だろうが、分子結合を強制的に切断してドロドロにします」


 スカーレットは、悪戯が見つかった子供のような顔で笑った。


「魔法の封印は『扉』にかかっていますが、扉を支えている『蝶番ヒンジ』が溶けてなくなれば、魔法も意味を成しませんから」

「……お前、本当に発想が無法者だな」


 レオンハルトは呆れつつも、愛剣を手に取った。

 迷いは消えた。

 父の潔白を証明するために、父のへその緒を盗み出す。

 それは親不孝な行為かもしれない。だが、偽物の弟に国を乗っ取られるよりは、よほどマシだ。


「いいだろう。俺が露払いをする。……スカーレット、君は鍵を開けろ」

「了解しました(ラジャー)」


 作戦は決まった。

 ターゲットは地下五階、王家の墓所。

 敵は、かつての部下である近衛騎士団。

 目的物は、干からびたへその緒。


「深夜〇時、作戦開始ミッション・スタートです」


 スカーレットはガスマスクを装着し、ゴム手袋をはめ直した。

 国の運命を賭けた、静かで激しい墓荒らしが始まる。

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