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王女が攫われた報復に魔王の娘を攫ってきたら国外追放を言い渡されたので新世界の神になる  作者: まる


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【第十五話】 最初の任務


「では改めて。我が名はイール、師に拾われて以来裏の顔として暗躍する影となった純魔族である。性質(クラス)は一応魔法戦士だが師に一通り叩き込まれているゆえ最低限近接戦闘や隠密術も体得している。戦闘以外の特技としては情報収集や潜入といったところだ」


 深淵の悪魔(グルーム・イービル)はひとまずロイスを受け入れた。

 満足げなクルムや変わらず師弟であり続けるという意思を示した三人に人知れず安堵しているネリスに促され、三人は順にロイスに向けた自己紹介を始める。

 やや大袈裟ながら気品溢れる仕草で一礼をするはイール。赤い仮面の男だ。

 すぐに背丈の低い男が続く。

「吾輩はデューク、同じく師匠及び女王陛下、王女殿下の影であります。性質(クラス)は道化師、武器や魔法は適性が無く不得手でありますが近接戦闘は得意な部類かと。最も長けているのは固有スキルの絡みもあって工作や武器アイテムの解析でありましょう。ちなみに吾輩は魔族とドワーフのハーフであります」 

「フィーはエフィーっていうの~。フィーもししょーや王女様のためなら何でも出来るよ~。性質(クラス)狂戦士(バーサーカー)暗殺者(アサシン)で~、特技は皆殺しかな~。隠れるのは得意だけど魔法とかはあんまりだね~。ちなみにフィーも吸血鬼と魔族のハーフだよ~」

「お、おう……よろしくな」

 色々と疑問点や指摘したい部分はあったものの、ロイスは当たり障りのない返答を選択していた。

 戦力として計算するのならばスキルについて、扱う武器や魔法について聞いておきたいという考えはあったが出会ってすぐの今それを明かせというのも無理があるだろうと思ったことに加え、ネリスの圧力を利用して聞き出すのは信頼関係の構築を大きく阻害すると考えたからだ。

 ついでに言えば『特技皆殺しって何だよ……』という言葉を飲み込むのが精一杯だったことも理由の一つである。

「俺はロイス・ウィルクライム。元勇者パーティーの一員で職業は盗賊だ、戦闘力はほぼ無いに等しいし、魔法も扱えない。お前らと比べてどうかは分からんが、コソコソするのと脳みそ使うのが仕事だったから潜入とかは俺も得意な質だな」

 ロイスが自己紹介を返すと、その情報を咀嚼するように数度頷いた。

 返す言葉で疑問を投げ掛けたのはイールだ。

「では人間よ、そして師と王女殿下にもお尋ねしよう。ここにいる面子で新たに国を作る、それが目的であり方針ということでよいのだな?」

「違う、まずそこから始めるというだけだ。最終的にはこの世界全てをひっくり返し、新たな世界を作り出す。という途方もなければ無茶で無謀で命知らずな夢物語どころか笑い話にもならない馬鹿げた目標こそが俺達の方針だ」

「なるほど確かに、それは口にするのも憚られる大言壮語に思えるが……貴様にならばそれが可能だと?」

「現状寝泊まりするにも人様の物を借りてんだ。はっきりと約束は出来ないが、そのために出来ることを全てやる。いくらか時間が経って、こいつに託してもそんなのは無理だと感じたならそん時は勝手に見限ってくれていい。何をするにも口で言うのは簡単だからな、信用を得るには結果で示すしかない。ひとまずこの話に乗っかるならしばらくは様子見ってことで受け入れてくれ」

「いいだろう。一度納得した以上は貴様が大将だ、当面は従ってやる。その後は成果と能力を見て判断させてもらうことになるがな」

「いや、実質的なボスはクルムだぞ? クルムを女王にって話だから」

「総指揮権を持つのなら貴様であるのなら我々が従い、我々を従えることに違いはあるまい」

「まあ、そうっちゃそうだけど」

「クルム様と師を失望させない限りは不満を述べるつもりはない。精々上手く使ってみせろ大将」

「……大将」

「吾輩もイールと同じく。師匠が認めたのであれば人間であれど異論はありませぬぞ。どうぞよしなに、ボス」

「……ボス」

「じゃあフィーもオッケーだよ♪ 正直魔王様の部下になるつもりもなかったから最近は暇暇ハッピーだったし、自分達で新しく国を興して世界中を敵に回すって超楽しそう。期待してるよっ、リーダー♪」

「……呼び方バラバラなのかよ」

 まあいい、と。

 逐一ツッコんでいたら埒が明かないとロイスは話を進める。

 三人の悪魔のみならず、具体的な話がほとんどなかったこともあってクルムやネリスもいつしか真剣に耳を傾けていた。

「当面は最初の約束通りこの国と魔王軍を標的にし、その没落を主目的に動く。が、仮に出来たとしてもすぐに壊滅させる方向というわけじゃない」

「なんで?」

「そもそも現有戦力じゃ真っ向勝負なんざどうやったって出来ないんだ。つまりは裏で動き、策略を以て潰すしかない。そういう点では暗部的な活動が得意な三人はありがたい限りだな。だが仮に今魔王軍を潰せたとして、クルムお前はその地位に成り代わりたいか?」

「全然? 何の未練や思い入れも無いし、それが嫌だからこうしてるんじゃん」

「なら幸いだ」

「なんでなんで?」

「クルム、お前そればっかだな……その都度質問しろって言ったのは俺だからいいんだけどよ。つまりだ、今すぐそれが出来たとして、お前が代わりに魔族領を支配したところで新しい国だの世界だのを作るって目的と違ってくるからだよ。世間様は単に新たな魔王が誕生ぐらいにしか思わないだろう? そうするにせよ、しないにせよ、この組織をもっと世界に知らしめてからじゃなきゃ意味がない。そういう意味じゃ仮初めとはいえ足場と俺達三人以外の味方が四人増えたってのは僥倖だが、そんでも絶望的に人手が足りてねえ。もうちょい人員と資金や武器が欲しいところだな。つーわけでまずはそれの確保、んでいずれぶっ潰すこの国と魔族領の情報収集と工作をするところから始める。中身はこれから考えるが、魔王の国は人間にとっちゃ共通の敵って認識されてるんだ。今すぐに潰すよりは上手く利用できる方法を探すつもりでいることは間違いないと言っておく」

「ならさ、やっぱママの宝物庫を探すべきだよね? ロイスでも見つけられないの?」

「なんで俺ならいけると思ったんだよ。城で暮らしているお前の親父でも見つけられないんだろ?」

「でも城内にあるのは確かなはずなのよ、ママ本人が言ってたし。ロイスは罠とか結界が効かないんでしょ? なら探せるかなーって」

「城に潜り込むだけでどんだけ苦労したと思ってんだ。あの腐れ〇ンコ野郎、俺一人に押し付けやがって。今更腹立ってきたわ、もっともらしい理屈で周りから言いくるめて同調圧力で攻めてきやがるしよ」

「潜り込むのに苦労はいらないじゃん? あたしの能力があれば直接城に転移出来るし」

「……おお、なるほど」

「何があるのかまでは知らないけど、宝石とかは少しぐらいあると思うよ? あとなんかすごいアイテムとか」

「ふむ……」

「マロ、行くつもりがあるのなら私がクルム様の転移魔法陣を使って連れて行きますよ」

「見つかったり危ない目に遭う前に撤退する、っつーのでいいならやってみるか。慎重を言い訳に無難なことばっかやってても埒が明かねえしな」

 では、と。

 ネリスが実行の日時を問おうとした時。

 不意に響いた部屋をノックする音が会話の声を遮った。


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