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すきま時間の短編【バスジャック】  作者: 伊藤宏


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5/8

5.

この作品は8話で完結します。

 おばちゃんが電話に集中してくれたおかげで、ジイジとの打ち合わせができた。

 初動は由芽と決まった。


 「お願い、おばさん」、とまずは困った女子中学生の(てい)で犯人に近寄る。


 「近づくな、撃つぞ」

 と拳銃を向ける犯人。


 「お願いです。ジイジがおしっこだって、降ろしてあげて」


 「そんなもんその辺でさせときゃいいだろ、近寄ると撃つぞ」


 「ちょっとだけ、その辺にちょっとだけ停めてくれればさせてきます。ぜったい逃げませんから」

 そう言ってさらに近付こうとする由芽の動きを止めようと思ったのか、犯人は由芽の足元に向かって発砲した。

 弾丸はバスの床に跳ね、最後部のガラスから車外に抜けた。ガラスを貫通する音に悲鳴が被さった。

 『ヤバい、想定外だ』と思ったときバスが大きく揺れた。ミラーで跳弾を見た運転士がハンドル操作を誤ったらしい。

 慌てて踏んだブレーキの反動を利用して床に転がり落ちたジイジが、そのまま車内前方まで転がってきた。

 運転士が元の車線に戻ろうとハンドルを調整すると、再びバスが揺れた。そのチャンスに、由芽は犯人の足元に駆け寄り膝カックンを見舞う。バランスを崩したおばちゃんに、ジイジは

 「猿島ってのはあんたの敵か」と問い、犯人が

 「お前には関係ない」と叫んでジイジに銃を向けたそのとき、由芽は犯人のウエストポーチから手りゅう弾を失敬した。そして、

 「これ引っ張るんだっけ」と安全装置に指をかけた。

 犯人が

 「おいやめろ、おもちゃじゃないんだ」

 と血相を変えるのをものともせず、由芽はにっこり笑って安全ピンを引き抜いて、手りゅう弾を料金箱の足元に転がした。

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