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すきま時間の短編【バスジャック】  作者: 伊藤宏


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2/8

2.

この作品は8話で完結します。

 銃口は、今も、幼い若菜の頭に向けられている。

 犯人の口は「下がれ」と言っているように見えるが、それ以外はよく聞き取れない。

 ともかく、これ以上犯人を刺激するのは危険だ。それだけはわかった。


 茉莉(まり)は仕方なく後ろの席に移動した。

 一部始終をじっと見守っていた他の乗客も難を逃ようと後ろへ後ろへと動き出した。


 そのなかで、女子中学生と高齢男性の動きが目立って遅かった。恐怖で身体が固まってしまったのかもしれない。

 だが他人に手を貸す余裕のある者はおらず、ふたりは一旦は立ち上がったものの、他の乗客から後れを取り、逆に最初に座っていたところより前に押し出されてきた。

 最初はジイジと孫娘、と思っていたが通路を挟んで左右に別れたところをみると他人かもしれない。


 どうでもいいが、そのシートは犯人から、つまり若菜から一番近い。なので、そのシートこそ、茉莉(まり)自身が座りたかった場所なのだが仕方がない。茉莉は、やむなくその後ろに座って犯人の動きを注視することにした。


 犯人は、若菜をベビーカーに寝かせた。

 すると、ベビーカーに染み込んだ自分の匂いで正気を取り戻したのか、若菜は再び泣き始めた。


 犯人は、若菜が泣くのを煩そうに見下ろしながら、拳銃で運転士の肩を小突き、何かを要求している。だが運転士は小さく身体を丸めたまま顔を小さく横に振っている。

 行先を指示しているのだろうか。


 えらいことになった。

 この先、どうなるのだろう。

 どうしたら若菜を取り返せるだろう。

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