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第74話 斎藤の選択




斎藤は車を運転し、どこかへ急いで向かっていた。


彼が急ぎ足で向かったのは、連盟の支部ビルだった。


悩みは悩みとして、自分は次元移動管理連盟のエージェントである。


都賢秀(ドヒョンス)を発見した以上、急いで報告し、逮捕チームを編成するために連盟ビルへ戻らなければならなかった。


「支部長!!」


斎藤は、入室許可を得ずに中に入ることが非常に失礼であることを十分承知していたが、事態があまりにも差し迫っていたため、手続きを無視して中へ踏み込んだ。


しかし、ジャファールは斎藤が無礼を働いたことよりも、なぜここにいるのかに驚いた様子だった。


「え? 退勤するように言ったのに、なぜまた戻ってきたのですか? 何か忘れ物でも…!!」

「次元の接続者を発見しました!!」

「な、何ですって?」

「奴らがこの999番にいました!! その者と接触したので、すぐに報告に参りました。」


ジャファールは、都賢秀(ドヒョンス)が999番にいるという言葉に、一瞬呆然とした表情を見せた。


「まさか… 999番にはキューブがないので、ここに来るとは少しも考えていませんでした…やられましたね。」

「幸い、私たちが発見したので逮捕のチャンスです! 急いで逮捕チームを編成して…!!」


都賢秀(ドヒョンス)を急いで逮捕に行こうと声を上げていたが、ジャファールはなぜか困った顔をしていた。


「まさか、金仁桓(キムインファン)隊員が不在のときに…」


理由は、999番の最強戦闘エージェント、金仁桓(キムインファン)が現在その場にいないことだった。


「えっ?! キム隊員が不在だと? どこに行ったのですか…」


金仁桓(キムインファン)の行方を問う斎藤に対し、ジャファールは暗い表情を浮かべるだけで、答えなかった。


「どこに行ったか分かりませんが、急いで呼び戻すべきではありませんか? 現在、連盟の最大の敵がここにいるのでは?」

「…残念ながら、彼は非常に重要な任務に出ています。今呼び戻すわけにはいきません。」

「そ、そうですか…それではどうすれば…」


次元の接続者がここにいるとは思いもよらなかったため、ジャファールも深く悩んでいた。


しばらく考え込んだジャファールは、顔を上げて斎藤に指示した。


「状況が差し迫っているので、斎藤隊員、あなたに行ってもらいます。支部の最精鋭隊員をつけます。」

「し、しかし私は…」


自分にチャンスが巡ってきたものの、過去に都賢秀(ドヒョンス)逮捕に失敗した経験があるため、斎藤は自信をもって前に出ることを言い切れなかった。


「自信を持つのです、斎藤隊員!! 今、信頼できるのは斎藤隊員しかいません!!」


ジャファールの励ましに、斎藤は重い気持ちで頷いた。


「分かりました、支部長。必ず次元の接続者を逮捕してきます。」


斎藤は出動準備のため、急いで支部長室を後にした。


*****


一方、斎藤がジャファールに報告しているその頃、都賢秀(ドヒョンス)子龍(ズィーロン)は浅見の案内で、6番埠頭の連盟施設へ向かっていた。


「…連盟のエンブレムがあるので、あそこが間違いないですね、兄さん。」


子龍(ズィーロン)が見つけた建物には、確かに斎藤たち連盟エージェントの制服に付いているエンブレムが掲げられていた。


「よし! すぐに入ろう!!」

「気でも狂ったか、このクレイジー野郎…!!」


都賢秀(ドヒョンス)が制止しようとしたその瞬間、稲妻のように飛んできた足が目の前に迫り、言葉を止めざるを得なかった。


「もう一度あの態度を見せるなら、本当に許さないぞ。」


女性のように小柄で柔軟な浅見は、都賢秀(ドヒョンス)の頭上まで足を高く上げつつ、片足でしっかり立つ驚異的な体幹を見せつけた。


不用意に言葉を発すれば許さないという警告とともに…


都賢秀(ドヒョンス)は、この小柄な女性のような外見の男の威圧に怯えたことを認めたくなくて、つい大声を出してしまった。


「うっ…本当に…性格がひどいな! 足を下ろせ! とにかく今は入ってはいけない!」

「なぜ?!」

「もし入って夏美がいなかったら、『ああ〜すみません』で終わると思うか? 確実に確認してから侵入すべきだ。」

「そんな余裕あるか?! ただ突入してなければ、他の場所を探せばいいだろう。」


都賢秀(ドヒョンス)は浅見を見ながら、『医者なのに何でこんなに攻撃的なんだ?』と思い、首を横に振った。


「夏美を心配する気持ちは誰だってある。しかし、もしここに夏美がいなければ、無駄に建物をかき回す結果となり、奴らはさらに子供たちを隠したり、殺したりするだろう! それだけは避けなければ。」


都賢秀(ドヒョンス)の言葉に納得したのか、浅見はもう何も言わなかった。


「とにかく、私が中に入って確認してくる。ここで待って…!!」


〈その必要はありません。〉


都賢秀(ドヒョンス)が中に入ろうとした瞬間、突然レトムが前に出た。


「…その必要がないだと?」

〈施設は小さいので、私がスキャンしてみました。〉

「ああ! そういえばお前の唯一の役立ち能力はスキャンだったな、忘れてた。」

〈……〉


レトムは、都賢秀(ドヒョンス)という憎たらしい男を思わず殴ろうか真剣に考えた。


「どうでもいい、スキャンの結果は?」


浅見の催促に、レトムは考えを切り替え、結果を伝えた。


〈スキャンの結果、建物内には多数の生命反応が確認されますが…子供はいません。すべて成人です。〉

「子供がいないだと?! 本当か?!」

〈確かです。中に子供はいません。〉


レトムの断言に、皆は呆然となった。


都賢秀(ドヒョンス)の懸念通り、内部に夏美がいないことを知り、どうすべきか途方に暮れた。


「さて、どうする?」

〈…私の考えでは、再度情報を集めて行動するのが良いと思います。何も知らずに街中を徘徊するのは危険です〉


再度強調すると、都賢秀(ドヒョンス)は連盟に追われている身であった。


そのため、夏美を探して街をかき回れば、都賢秀(ドヒョンス)子龍(ズィーロン)は危険な状況に陥りかねなかった。


「…それではまずホワイトヒゲクジラカフェに戻り、情報を…」

〈それは賛成できません〉


都賢秀(ドヒョンス)のカフェへの提案を、レトムは即座に却下した。


「…なぜ?」

〈先ほど斎藤隊員の家に向かう際、都賢秀(ドヒョンス)さんと子龍(ズィーロン)さんが露出してしまいました。さらに斎藤隊員は既にホワイトヒゲクジラカフェと浅見議員を訪れたことがあるので、私たちの位置は既に露出しています。したがって、他の安全な場所へ行くべきです〉


レトムの言う通り、彼らは既に斎藤に自ら姿を晒したため、ホワイトヒゲクジラカフェに戻るのは危険だった。


「それは分かるけど…安全な場所が突然空から降ってくるわけでもないし…」


レトムも、カフェに行ってはいけないということだけを提案し、他の方法は示さなかった。


「兄さん。情報上、私たちは老婆のところへ行くのでは? その老婆なら、隠れる場所を案内してくれるのではないかと思います」

「…良い考えだが、あの金に執着する老婆がタダでやってくれるか? お金はなるべく節約するべきだ」


子龍(ズィーロン)の提案も却下され、皆はさらに悩みを深めた。


そのとき、浅見が口を開いた。


「それなら私について来なさい。あまり安全ではないが、君たちを隠すくらいはできる」


浅見がそう告げ、先に行ってしまったため、皆は信じていいか迷ったが、他に方法がないので従うことにした。


しかし、浅見が案内した場所は驚くべきことに…


「…ヤクザ事務所?」


阪神共和国を牛耳る成龍会の下部組織であり、6番街を管理する山岡組の事務所…一言で言えばヤクザ事務所だった。


「…まさかここを言うのか?」

「そう」

「はぁ…」


どれほど追われている身でも、都賢秀(ドヒョンス)子龍(ズィーロン)は軍人として不正に立ち向かってきた者たちだった。


それなのに、自分たちに犯罪者の事務所で過ごせと言うのは、屈辱も甚だしい。


「なんでこんなゴミどものところで過ごさなきゃならないんだ?!」

「何だと?」


ヤクザをゴミ呼ばわりした言葉に、浅見の表情は険しくなったが、興奮した都賢秀(ドヒョンス)には見えず、愚痴は止まらなかった。


「私が浅見公を見誤ったのか。どうして私たちをこんな場所に泊めるように言うのですか!」

「そうだ! 今は追われている身でも、過去にはあいつらを葬った職業を持っていたんだぞ。なのに私にあんなゴミども…!!」


「もう一度言ったら…」


浅見から溢れる殺気に、都賢秀(ドヒョンス)子龍(ズィーロン)は自然と口を閉じた。


女性呼ばわりよりも怒る浅見を見て、これ以上言葉は出なかった。


「ふぅ〜、ここが嫌なら出ていけ。自分で滞在場所を見つけることだ」


浅見も深呼吸して怒りを鎮め、行くなら行けと言っていた。


都賢秀(ドヒョンス)子龍(ズィーロン)は互いに見つめ合い、どうするか迷ったが…


「俺たちの言い方が酷かったな。お前の言う通りにしよう」

「無礼をお詫びします、浅見公」


他に方法がないので、浅見の言う通りに従うことにした。


「…それじゃ、ついて来なさい。組長を紹介してあげるから」


浅見はそう告げ、先に建物へ入った。


建物に入ると、荒々しい顔で全身に刺青を入れた人々が睨みつけた。


「お前たち何者だ?! ここがどこだか分かって無断で入るとは!! 出ていけ…!!」

「組長、内部にいますか?!」


出ていけと迫ったヤクザたちは、浅見を見つけるや態度を一変させ、丁寧な態度になった。


「もちろんです! 中にいらっしゃいます、先生」


裏路地でヤクザだけを治療していたためか、ヤクザたちは異常なほど浅見に従った。


しかも、自分たちのボスのところまでためらわず案内していた。


そして組長室に入ると…


「おう〜、さあおいで、浅見ちゃん!」


陽気そうな老人が一人座っていた。


「ついに私の愛人になる決心をしたのか?!」

「…殺すぞ」

「ははは! そんなに怒るな、せっかくの顔が…ぐえっ!!」


浅見に愛人になれとふざけた組長は、結局浅見の蹴りで鼻血を出し、後ろに倒れた。


999番から聞いたところによると、浅見は単に女性のような見た目ではなく非常に美人で、彼に求愛する男も多かったらしい。


どうやらこの老人もその一人だったようだ。


「ああ…腕前は相変わらずだな。愛人になろうと来たのではなければ、何の用だ?」

「この子たちをしばらくここで過ごさせてほしいのです」

浅見は後ろにいる都賢秀(ドヒョンス)子龍(ズィーロン)を指し、しばらく滞在させてほしいと頼むと、老人は目を輝かせ感嘆した。


「ほぉ〜、入団希望者か? 体格が良いのが気に入ったな。では早速、富者の縁を結ぶ儀式を…ぐえっ!!」

「このじいさん、耳が遠いのか! ただ数日滞在させてほしいだけだ!!」


数日滞在させてほしいという言葉を、組長は新入員紹介と勝手に解釈し、再び浅見の蹴りを受けなければならなかった。


組長という人間は…いや、かなりおっちょこちょいなようだった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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