第46話 2つ目と3つ目
これは君の一生の伴侶であり、沈黙の同伴者だ。いつもそばにいるが、明るい世界でしか出会えない。これは何を指しているのか?
またもや詩的な表現で語られた謎かけに、皆は頭を悩ませた。
「なんだよこれ…一生の伴侶なのに明るい時にしか会えないって?」
都賢秀を含め、誰も答えを出せない中、石像は容赦なく時間を測り始めた。
「今回も30秒だ。1秒…」
「おい、この冷酷なヤロー!!」
時間を測っていた石像は、都賢秀の叫びに言葉を止め、彼を睨みつけた。
「…文句か?」
「お前が急に問題を変えたんだろ!だったら考える時間ぐらいはくれよ!」
「言ったはずだ、これは命を懸けたゲームだと…」
「事前の同意もなく問題を勝手に変えたのはお前だ。だったらちょっとは考える時間をくれって!」
普段は自慢ばかりで一度も見せたことのなかった都賢秀の巧みな話術に、石像が押されると、皆は期待に満ちた目で見つめた。
「ふむ…いいだろう。2分間の相談時間を与える。」
2分間の猶予を得たおかげで、皆は集まって答えについて話し合った。
「今回は何だと思う?」
「一生の伴侶と言ってますよね。難しく考えずに、単純に『妻』でいいんじゃないですか?」
「妻が明るい時にしか会えないなんて、ありえないだろ?今回は『空気』が正解だろうな。」
<明るい時しか会えないのが空気なら、夜になったら消えるんですか?これは単純に考えるべきです。>
子龍と白龍の答えを聞いて呆れたように見ていたレトムが口を開くと、皆は期待を込めて見つめた。
「言い方はムカつくけど、自信があるのはいいね。で、お前の考える正解は何だ?」
<一生の伴侶、沈黙の同伴者、明るい時にしか会えない。これらのキーワードを総合すると、正解は…>
「正解は?」
少し間を置いて皆の注目を集めたレトムは、ついに答えを口にした。
<思考です。>
「思考?」
<そうです。思考は一生続くので伴侶であり、自分だけのもので沈黙しており、起きている時、つまり明るい時にしか働かない。だから思考が正解です。>
レトムの推論はもっともらしく聞こえ、皆は「おぉ〜」と感嘆した。
「確かにその通りですね。」
「これでいってみてはどうか?」
<私を信じてください、都賢秀様。>
知恵と賢さを兼ね備えた仲間たちの応援を受けて、チームのリーダーである都賢秀が石像の前に立った。
「正解を言うぞ。」
「ふむ〜自信に満ちているな。で、答えは?」
「答えは…思考だ!!」
「ブッブー!」
雷のように飛んできた「ブッブー!」の声に、都賢秀はぽかんとした顔になった。
「…違うのか?」
「かなり筋の通った推論だったが、正解ではない。」
「じゃあ、正解はなんだよ?」
「正解は…影だ。」
一生の伴侶、沈黙の同伴者、明るい時にしか会えない存在…それはまさに影だった。
あまりにも簡単な正解に、皆は黙り込んだ。
数秒後…
「クソっ!単純に考えろとか言っておいて、いっちばん複雑に考えてやがった!」
「失望しましたぞ、レトム殿!」
「人工の存在だから人の気持ちなんてまるで理解してないな!!」
見当違いの答えを出したレトムに非難が集まり、レトムは悔しそうに叫んだ。
<皆さんも変な答えを出してたじゃないですか!なんで私だけ責めるんですか?!>
素晴らしいチームワーク(?)で互いをいたわる旅団を見て、石像は面倒になったのか、腕をブンと振った。
そして都賢秀は部屋で目を覚ました。
「おい、バシィッ!!」
都賢秀は雷のように起き上がり、スケジュールを立てていたレトムの頭を「パシッ」と叩いた。
<????>
あまりにも素早く不意打ちだったため、普段はハエのように素早く逃げるレトムも避けきれなかった。
<な、なんですか?>
「トンチンカンな答え出して、時間ばっかり無駄にさせやがって?!」
<何のことやら…>
都賢秀はいつものように、記憶のない仲間たちに説明する羽目になり、皆の視線はレトムへ向けられた。
「ふむ…それが本当なら、人工存在のミスに違いないな。」
「失望しましたぞ、レトム殿。」
<…自分たちも間違ってたくせに、なんで私だけ…>
レトムはとても悔しかったが、自信満々に出した答えが間違いだったので、何も言えなかった。
「とはいえ、今大事なのはレトムを責めることじゃないだろ?都賢秀が言うには、今回も問題が変わるんだよな。3つ目の問題は何が出るのか…?」
46番の問いに、皆はうなり声をあげながら悩み始めた。
都賢秀だけが記憶を持って目覚め始めてから、石像は毎回問題を変えるようになった。
ただでさえ詩のような比喩で直感的に解くのが難しいのに、来るたびに問題が変わるとなれば、キューブを手に入れるのはますます遠のく。
「もうどうしようもないな…」
皆が方法を見つけられず、顔を曇らせていると…
<そんなに悲観的に考える必要はありませんよ。>
レトムが、そこまで心配する必要はないと口を開いた。
「悲観的じゃない?じゃあ他に手があるのか?」
<我々には、楽観的な要素が2つあります。>
楽観的な要素が2つもあるという言葉に、皆の目が大きくなった。
「その2つって?」
<まず1つ目は、都賢秀様がだんだんと多くの記憶を持って目覚めるようになっている点です。>
「それがなんで楽観的なんだ?」
<これまで都賢秀様は記憶を持って目覚めたとしても、正解を聞く前に目覚めていたとおっしゃってましたよね?>
「ああ、そうだ。」
<でも今回は正解を覚えたまま目覚めました。問題というのは無限に出せるものではありません。必ずパターンがあるはずです。繰り返し挑戦していけば、石像が出す問題のパターンを読み取って…正解を先に導き出せるかもしれません。>
AIだからこそできる分析に、皆は感心し、前向きな空気に変わった。
「それいいじゃん!じゃあ何回も挑戦して情報を集めればいいってことか!」
ついに光が見えた、と思ったその時…
「でも、僕たちは一つの地球に15日以上滞在できないって言ってたじゃないですか。」
子龍の言葉に、再び雰囲気が暗くなった。
長く滞在できない自分たちが、情報が蓄積されるほど挑戦を重ねるのは不可能に近かった。
「また新たな問題が出てきたな…どうするよ?」
<心配いりません。我々には2つ目の楽観的な状況があります。>
「なんだって?」
<もし石像の言葉が本当なら、我々はすでにこの場所に1ヶ月以上滞在していることになります…でも、エージェントたちは現れていませんよね。>
「あっ!!」
都賢秀の記憶が戻ってまだ間もないが、石像は彼らがすでに30回以上挑戦してきたと語っていた。
毎日一回挑戦していたとしても、すでに1ヶ月以上はここに滞在しているということになるが、マザーのエージェントが現れた形跡はなかった。
「石の言う通り、全地球がリセットされ続けていて、1番地球の時間も進んでないってことか?」
<その通りです。だから何度挑戦しても、マザーに見つかることはありません。>
「なら、決まりだな。すぐ行こう!」
計画が決まれば、動き出すのみだった。
一方、みんなが出かけて一人残った46番は…
「朝早く起きて作ったのに、一口も食べずに行っちゃって…ひどい。」
主婦の悲しみを全身で感じながら、しょんぼりしていた。
やる気満々で博物館へ向かった都賢秀と子龍は、石像の前に立った。
「おい!石コロ、この俺様が来てやったぞ!」
腰に手を当てて自信満々な都賢秀の姿を見て、石像はうんざりした表情を浮かべた。
「よくもまぁ飽きずに来るな…その粘り強さはどこから来るんだ?」
「野蛮なテロリストとだって戦ってきた元特殊部隊をナメんなよ!」
レトムの作戦のおかげで自信満々になっているくせに、自分がすごいかのように話す都賢秀の姿を見て、恥ずかしさは仲間たちのものだった。
「お前らのせいで寝不足だぞ…」
「寝るのはキューブ渡してからゆっくりすりゃいいだろ、さっさと問題を出せっての!」
「ルールをまた変更する。」
またルールを変えるという言葉に、全員の顔が一斉に強ばった。
「今度はどんなルールを変えるってんだ?」
「貴様らのせいで、私の日常が壊されている…だから、今回が最後のチャンスとする。」
「はぁっ?!」
「この謎を解けなかった場合、貴様らを二度とこの場所に来られないようにする。」
「…そんなことができるわけないだろ。」
「そんな疑いを抱くには、すでに私の力を見すぎているのではないか?」
石像の言葉に、都賢秀の背に冷や汗が流れた。
人間の想像を超える力を何度も見せてきた石像なら、二度と来られなくすることも本当に可能だと思われた。
都賢秀はどうすべきかすぐに決断できなかった。
『どうしよう…今回は見送った方がいいか?でも石像が持ってるなら、別の場所に行く意味もあまりないし…』
もし謎を解けなければ、もう二度と挑戦できないという状況に、都賢秀の迷いは深まった。
<都賢秀様!>
レトムが都賢秀を呼んだ。
<そもそも、私たちに選択の余地はありません。ここで謎を解けなければ、宇宙の崩壊を止められず、感染症に苦しむ46番地球の人々も救えません。ですから、自信を持って臨みましょう。>
ここでキューブを壊せずに去ったところで、この世界は滅亡する。そして何より、理由も分からず病に苦しむ46番地球の人々を救うことができない。
「よし、どっちが勝つか試してみようじゃねぇか、石コロ!問題を出せ!」
都賢秀と仲間たちが覚悟を決めると、石像は三つ目の謎を提示した。
待望の三問目は…
「これは、与えれば与えるほど小さくなり、誰でも持っているが、誰にでも与えられるものではない。目には見えないが感じることができ、たった一つで人を救うことも、崩すこともできる。これは何か?」
…だった。
またもや曖昧な謎を聞かされ、皆は思案に沈んだが、やると決めたのは自分たちだった。
賽は投げられた。答えを議論しなければならなかった。
「今回は特に難しいな…答え、何だと思う?」
都賢秀も子龍も全く見当がつかず、最終的に選択は自称スーパーコンピューターであるAIのレトムと、経験豊富な白龍に託された。
「与えれば与えるほど小さくなるってのは、安易に使うなって意味かもしれん。」
<そうですね…そして誰でも持っているけれど、誰にでも与えられるものではない…もしかして、軽々しく与えるなという意味では?>
レトムと白龍は、言葉一つひとつを慎重に分析し、正解を導き出そうとしていた。
幸いにも今回は最後のチャンスということもあってか、石像はたっぷりと時間を与え、議論は長く続いた。
そして導き出された結論は…
「正解を言うぞ!」
レトムと白龍が長い議論と分析の末に導き出した答えを、都賢秀が石像に告げた。
「答えは…希望だ!」
皆で議論して得た結論を聞いた石像は、ニヤリと笑った。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
気に入っていただけたら、ブックマークしていただけると励みになります!




