第45話 繰り返し、また繰り返し
来週からは週5日更新に変更させていただきます。
月曜日から金曜日まで、毎日正午(12時)に更新予定です。
何卒ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
「な、なんだそれ? 死で終わらせることもできなくて… それで何だって?」
思った以上に難しい謎かけに、都賢秀はあまりに動揺して問題文さえも最後まで言えずにいた。
「これは死でも終わらせることはできず、これは永劫の時の中でも不滅であり、これなしには愛も意味を持たない。これは何を指すか? 30秒以内に答えよ。」
「なんだと?! そんなのあるかよ…!」
「1秒… 2秒… 3秒…」
容赦なく時間を数える石像を見て、都賢秀は後ろにいたレトムと子龍を振り返った。
「おい! な、何が答えだよ?!」
仲間に助けを求めたが…
<私はサポーターですから。>
「兄貴が首領じゃないですか。兄貴にお任せします。」
まったく役に立たなかった。
「役に立たねえクソ共め!」
半ば強引にボールが都賢秀に渡り、彼はしばらく考えた末に…
「え、答えは…」
自分たちの運命が都賢秀にかかっているため、レトムと子龍は唾を飲み込みながら彼の答えを待った。
「ダイヤモンド?」
都賢秀は46番の部屋で目を覚ました。
「………クソッ。」
石像が出した謎かけに答えた自分がここで目覚めたということは…
ひとつ、答えが間違っていたという意味であり、もうひとつは、またタイムリープが起こったという意味だった。
朝になると、都賢秀一行は元気よく起き、皆リビングに集まった。
今日から本格的なキューブ探索に乗り出さなければならなかったので、皆忙しそうに動いており、レトムはカレンダーを見ながら予定を立ててい…
「実況すんな!! 作家がコピペで楽しようとしてるだろ!!」
余計なことを…
都賢秀はぶつぶつ言いながらリビングへ出た。
<今日はレイアの季節の12日だから…>
「おい、どうでもいいからカレンダー見るな!」
繰り返される日々の中、カレンダーを見てスケジュールを立てていた自分に怒鳴る都賢秀を見て、レトムは我慢を試された。
<働いてるAIを邪魔するなんて…>
「黙れ! さっさと準備しろ! 出かけるぞ!」
レトムの言葉を遮り「出かける」と言う都賢秀を見て、子龍と46番は戸惑った。
「どこへ行くんですか、兄貴。」
「出かける前にちょっと食べていこうよ? 苦労して作ったのに?」
出かけようとしているのに質問ばかりしてくる仲間たちを見て、都賢秀はついに声を荒げた。
「何日も同じもん食ってんのに、何でわざわざ食うんだよ! いいから早く準備しろ!」
「ひどい… 今日初めて朝食用意したのに… いつ同じもの出したっていうのよ…」
皆のために朝食を用意していた46番は傷ついて涙目になったが、都賢秀は気にも留めず急いで出て行った。
訳がわからないレトムと子龍は、都賢秀の後を追うしかなかった。
都賢秀は博物館に到着して中に入った。
「おい! 石の塊!」
「ふむ?」
レトムと子龍は石像が話すのを見て驚いていたが、都賢秀は二人に説明する気もなく石像だけを見つめた。
「見るところ、また記憶を持って目覚めたようだな… 困ったものだ…」
「困ったもクソもあるか! 人を弄んで楽しいかよ?!」
「私はお前を弄んだ覚えはないが? 言っただろう、謎を出して正解しなければ日が戻る、それが最初の約束だったと。自分で間違えておいて、なぜ私を責める?」
「くっ… くそったれ石の塊が…」
言い争いでは勝てないと悟った都賢秀は、武力を使うことにした。
「よく考えたら、お前のルールに合わせる必要なんてないよな! 消えちまえ!!」
悪役のようなセリフとともに、都賢秀は石像にプラズマピストルを撃とうとしたが…
「愚か者…」
石像のほうが先に腕を振り上げた。そして…
「なっ?!」
都賢秀は再び46番の部屋で目を覚ました。
「クソッたれ…また… リセットされただと!!!!!!」
食卓で朝食を食べていた皆は、部屋の中から聞こえた都賢秀の雄叫びに、口にしていた食べ物を吹き出してしまった。
都賢秀はベッドに座り、怒りを堪えていた。
謎を解けなかった恥ずかしさから、衝動的に行動してしまい、またループに落ちてしまった。
しかしそれ以上の問題は、石像に武力が通じないという事実を確認してしまったことだった。
(…まあ、よく考えたら、時間を巻き戻すようなとんでもない奴を、拳銃一丁で倒せると思ってた俺が馬鹿だよな。)
自分が馬鹿だったことをようやく悟った都賢秀は…
「だから変なナレーションすんなって!!!」
まったく、作家だけは相手にしやすくて困る…
とにかく、リビングに出て皆を呼んだ。
「集まって。話がある。」
部屋の中からの雄叫びに目を丸くしていた仲間たちは、「話がある」という都賢秀の声にリビングに集まった。
<何の話ですか? ついに都賢秀さんが正気を失ったってこと?>
「このクソ野郎が! 俺がもし狂ったら、全部お前のせいだからな!」
都賢秀はいつも通り拳を振り上げて怒りを発散しようとしたが、レトムは腹立つほどひょいひょい避けた。
「相手にするだけ無駄だな。とにかく、本当に話があるんだ。みんな聞いてくれ!」
都賢秀はこれまでに起こったことを仲間たちにすべて説明した。
タイムループに陥り、一日が繰り返されている状況で、自分だけが記憶を保ち、謎を解かなければキューブを得られず、逆に武力を使おうとすればループがリセットされてしまうということだった。
<信じがたいですが…>
「おい! そのセリフ何回聞いたと思ってるんだ。大事なのは、行く前に謎の答えを事前に調べてから行かないとダメってことだ。現場じゃ30秒しかくれないからな。」
<…信じがたいですが、都賢秀さんの説明が本当なら、我々にとっては有利な状況ですね。事前に答えを予想してから向かえばいいのですから。>
レトムの分析によって、みんなで謎解きを始めることになった。
「それで、その謎ってなんですか、兄貴。」
子龍の質問に、皆が都賢秀を見つめた。どんな難問が出てくるのかと緊張して待っていたが…
「これは死でも終わらせることができず、これは永劫の時間の中でも不滅であり、これなしには愛も意味がない。これは何を指すのか? ……だ。」
難しいとかそういうレベルではなく、まるで詩のような謎を聞かされた仲間たちは、魂が抜けそうだった。
「…なんだそりゃ?」
「何って、謎だよ。」
「いやいや! 謎と言えば常識とか時事ネタとかそういうジャンルがあるだろうが! あまりにも唐突すぎないか?!」
「…671番地球にいたトカゲ野郎が、なんで現代風の謎にこんなに詳しいんだ?」
白龍の疑問はもっともだった。
あまりにも漠然とした問題に、子龍、レトム、白龍が頭を突き合わせて考えたが、正解は出てこなかった。
「じ、自尊心じゃないですか?」
<愛の前でプライドを出す…なんだか違う気がしますね。むしろ…ダイヤモンドでは?>
「それ、俺が答えたやつ。違ったよ。むしろ…名誉ってことじゃないか?」
「永劫の時間の中で不滅と言っただろう。名誉は時代によって判断が変わるから、正解とは言えない。これは…『真実』だ。」
<真実を持ってしても、愛が深まるとは限りませんが。>
これまでのやりとりはこんな感じだった。
答えを出せば否定され、また否定され、結論が出ない。
みんなが「うーん」と悩んでいると…
「それ…『記憶』じゃない?」
みんなのために作った朝食をリビングに運んできた46番が口を挟んだ。
「何言ってんだよ? そんな簡単なのが正解なわけ…!!」
<ちょっと待ってください!>
都賢秀が否定しかけたところを、レトムが止めて、考えに沈んだ。
<死で終わらせられない。先祖の記憶は子孫に受け継がれ、記録として残り、永遠に続く。そして、相手を思い出すことが愛の始まりでもある…記憶が正解のように思えます!>
レトムの分析を聞いた全員が手を打って感嘆した。
「たしかにそれっぽいな!!」
「さすがレトム公です!」
「悔しいが、人工の存在に正解を奪われたか。」
<えっへん! まあこれくらい朝飯前ですよ。>
都賢秀、子龍、白龍が感心し、自慢げなレトム…正解を言い当てた46番は、なんとも言えぬ寂しさを感じていた。
「よし! 答えも決まったし、早く博物館へ行こう!」
都賢秀が急ごうと皆を連れて出て行き、寂しくなったリビングに一人残った46番は、悲しげな顔で呟いた。
「結局食べないで行っちゃうんだね… 夜明け前から頑張って作ったのに…」
主婦の悲哀を全身で感じながら、食卓を片付けた。
*****
都賢秀一行は急いで博物館へ向かい、石像の前に立った。
「今日は少し遅かったな。」
石像が本当に喋ったのを見て、皆ざわついた。
<こ、これが本当に石像なのか…>
「うるさい! その反応何回目だと思ってるんだよ!」
彼らにとっては初めてでも、都賢秀にとっては何度目かの出来事だったため、ぶつぶつ文句を言った。
「おい、石の塊! お前が出した謎の答えを…」
「問題を変える。」
「…は? なんだって?」
「問題を変更する。」
「……なんで?」
「お前たち、事前に相談してきただろう。それではフェアではないから、問題を変える。」
本来なら理不尽な話だが、あまりにももっともな論理で返されたため、都賢秀は何も言えなかった。
「くっ… 卑怯な…」
だが、納得いかずに「卑怯だ」と呟くと、石像はふっと笑った。
「このキューブを失えば、私は命を失う。この程度の不公平さは受け入れてもらわねば困る。」
「キューブがなくなったら、お前も死ぬのか?」
石像の言葉が本当なら、彼が動いて喋っている理由はキューブにあるという説明になる。
「…どこでは普通の人が龍になり、ここでは普通の石像が命を吹き込まれるとは… あの石塊、一体何者なんだよ?」
<キ、キューブってただの恒星歪曲装置のはずなんですけど…>
キューブという存在を知れば知るほど、不思議でありながらも、その巨大な力に圧倒される気がした。
「だが心配はいらない。私が出す謎を解いた場合、キューブを渡すという約束は本当だ。」
「…その言葉に嘘はないんだな?」
「もちろんだ。」
キューブに命を与えられた石像が、自分の命を賭けて謎を出すということを、どこまで信じてよいのか分からなかったが、とりあえずは謎を解いてから考えることにした。
「よし、信じてみるか。それで、新しい謎ってなんだ?」
「お前たちがこう来ると予想して、夜通し考えたなかなかの問題がある。新しい謎は…」
都賢秀と仲間たちは、今度こそ簡単な問題であってくれと緊張しながら待っていた。
そして、石像の口から出た問題は…
「これはお前の一生の伴侶であり、沈黙の同伴者である。いつも傍にいるが、明るい世界でしか会うことはできない。これは何を指すのか?」
…だった。
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