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転生したら物理的に「影」でした  作者: アンティス
基界編

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6/12

影と光

 王都に到着したレオンたちは、影の力の秘密を探るため、王国図書館を訪れることにした。この図書館は王国随一の知識の宝庫であり、貴族や王族、特別な許可を得た者しか入ることができない場所だった。


「私の家のコネを使えば、特別許可を取ることができるかもしれません」


 そう申し出たのはアイリスだった。彼女は王国の高位貴族の出身であり、その身分を利用して王国図書館への入館許可を手配してくれた。


 図書館に入ると、そこには膨大な書物が並び、古代の歴史や神話に関する文献が数多く保管されていた。さっそくレオンたちは「影の神」に関する情報を探し始めた。


 やがて、古びた書物の中から影の神に関する記述を発見する。


『かつて影の神は光の神と対立し、戦いに敗れ、歴史から抹消された。影の神の信仰は禁じられ、その名を口にすることすら許されなくなった。だが、影の力は世界の均衡を保つために不可欠な存在だった』


 この記述から、影の神がただの邪神ではなく、世界にとって重要な存在だった可能性が浮上した。だが、これ以上の詳しい情報は見つからなかった。


「もっと詳しいことが書かれている文献があるとすれば……」


 アイリスは少し躊躇い(ためらい)ながらも、ある場所の存在を明かした。


「禁断の書庫です。そこには、王族しか閲覧できない古代の記録が保管されています。しかし、厳重に警備されていて、貴族の私ですら入ることは許されません。」


 そこで、さとるが影のスキルを活かし、こっそり禁断の書庫に侵入することとなった。


 さとるは影潜を使い、警備兵の目をかいくぐりながら禁断の書庫へと足を踏み入れる。書庫の奥深く、(ほこり)をかぶった古文書の中から、ついに目的の記録を発見した。


『影の神は、光の神によって封印された。その封印を解く鍵は、影神の遺物(アーティファクト)であり、それは「封印の神殿」に眠っている』


 影神は光の神の裏切りによって封印されたという記述があった。さらに、その遺物が影神の力を解放する鍵になる可能性があることが分かった。


 しかし、その瞬間――書庫の奥から異様な気配が広がった。


 ズズ……ズズズ……


 闇が揺らぎ、不気味な音が書庫内に響いた。


「……な、なんだ!? この気配……!」


 レオンが剣を構える。次の瞬間、暗闇の中から黒い靄のような影が蠢き、異形の怪物が姿を現した。

 黒い霧が渦を巻くように形を成し、やがて大きな口と無数の手のような影が浮かび上がる。


 ――ギギ……ギシャアア……!


 怪物が唸り声を上げると、周囲の空気がひんやりと冷たくなった。


「影の怪物……?」


 アイリスが後ずさる。


「来るぞッ!」


 レオンが叫んだ瞬間、怪物が音もなく距離を詰め、一気にレオンへと襲いかかった。


 ズバッ!


 レオンの剣が唸り( うなり)を上げる。しかし――


「なっ……!?」


 刃は怪物の身体をすり抜け、まるで何も斬っていないかのようだった。


「効いてない……!? どういうことだ!?」


 怪物は反撃とばかりに影の手を伸ばし、レオンを捉えようとする。


「くっ……!」


 レオンは咄嗟に跳び退るが、影の手は地面を這うように追いかけてくる。


「アイリス、援護を!」

「了解!」


 アイリスが詠唱を始める。


「炎よ、影を焼き尽くせ――ファイアボルト!」


 赤い炎の矢が怪物へと放たれる。しかし――


 シュウウウ……


 炎は怪物の身体に触れた途端、呑み込まれるように消えた。


「嘘……!? 炎が効かない!?」


「まずいな……物理攻撃も、魔法もダメなのか……?」


 焦るレオンとアイリス。しかし、その時――


(……光に弱い)


 さとるの意識の中に、突如として確信が生まれた。


 ――あの怪物は光に弱い。


「アイリス! 光魔法だ!」

「えっ? で、でも光魔法は攻撃用じゃ――」

「いいから、早く!」


 レオンの声に押され、アイリスは急いで呪文を詠唱する。


「聖なる光よ、闇を照らせ――ライト!」


 淡い金色の光が辺りを照らす。


 ――ギシャアアアアアッ!!


 怪物が苦しそうにのたうち回る。影の身体が光に触れた部分から溶けるように消えていく。


「効いてる!」

「今だ、レオン!」

「光属性付与!」


 アイリスがレオンの剣に光属性を付けた。

 レオンが剣を握り直し、一気に駆け出す。


「おおおおおっ!!」


 光の魔法によって鈍った怪物の動き。今度こそ、その隙を逃さない。


 ズバァンッ!


 渾身(こんしん)の斬撃が、怪物の身体を真っ二つに切り裂いた。


 ――ギャアアアアアアア!!


 断末魔の叫びを上げ、影の怪物は霧散するように消え去った。


 書庫には再び静寂が戻る。


「……倒した、のか?」


 レオンが肩で息をしながら剣をおろす。

 アイリスも額の汗を拭いながら、ほっと息をついた。


 だが、その時だった――

 

 影の残滓(ざんし)がさとるの足元に集まり、脳内に直接何かが流れ込んできた。


(……封印の神殿……)


 意識の奥底に、影神の記憶が囁く(ささやく)ように響く。


「……封印の神殿……?」


 さとるは無意識のうちに「呟いて」いた。


 激しい戦闘の末、影の怪物を撃破したものの、その騒ぎで警備兵に気づかれてしまった。


「急いで逃げるぞ!」


 レオンの指示で、さとるたちは禁断の書庫を後にし、なんとか王国図書館から脱出することに成功した。


「次の目的地は決まったわね。」


 アイリスは息を整えながら言った。


「封印の神殿……そこで影神の遺物を見つければ、影の神の真実にもっと近づけるかもしれない」


 だが、影神の封印を解くことで何が起こるのかは、誰にも分からなかった。そして、影の力の覚醒を阻止しようとする「光神の勢力」も動き出そうとしていた……。


 次なる目的地、「封印の神殿」へ――!

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