影の力②
勇者一行は朝食を共にするため、宿の食堂に集まった。窓から差し込む朝日が木製のテーブルを優しく照らしている。
「おはよう、みんな!」
勇者レオンが爽やかに挨拶すると、それぞれが軽く手を挙げたり、眠そうに頷いたりして応じる。
その中で、レオンはふと自分の影を指しながら口を開いた。
「そういえば、みんなに話すことがある。俺の影には人がいる。そして彼の名前は天城さとる。俺の相棒であり、影の戦士だ」
食事をしていた仲間たちは一瞬動きを止め、驚いた表情を浮かべる。
「えっ、影……?」
リリアが目を丸くする。
「影がしゃべるってことか?」
ガルムが腕を組む。
「影に名前があるなんて……ただの魔法の産物じゃないんですか?」
アイリスが疑問を口にする。
レオンは笑いながら首を振る。
「いや、さとるはただの影じゃない。俺を助けてくれて、戦いでも支えてくれる大切な仲間だ。最初は俺も驚いたけどな。でも、さとるがいなきゃ、今の俺はいないと思う。」
影の中でさとるは少し気恥ずかしさを感じながらも、静かにみんなを見つめる。影の姿のままでは表情も見えないが、心の中で「よろしく」と呟いた。
レオンの言葉を聞いた仲間たちは、お互いに顔を見合わせながらも、やがて微笑み始める。
「まぁ、レオンがそう言うなら信じるさ。」
ガルムが笑って肉の塊を頬張る。
「新しい仲間なら歓迎するわ。でも、これからどうやって会話するの?」
リリアが興味津々で尋ねる。
「今はまだ影の中にいるけど、さとるは意思疎通ができる。戦闘では俺の動きをサポートしてくれるし、これからもっとできることが増えていくはずだ。」
「ふふっ、それなら、さとるさんにも食事を用意しないといけませんね。」
アイリスが微笑むが、さとるは苦笑しながら(いや、影だから食べられないんだけど……)と心の中で突っ込んでいた。
こうして、天城さとるは正式にパーティーメンバーとして認識され、朝食の席で新たな仲間として迎え入れられたのだった。
「そういえば、さとるはステータスってあるの?」
リリアが興味津々に聞く。
――確かにそうだな。レオン、どうしたらわかるの?
「ステータスオープンって念じてみて」
――わかった。ステータスオープン
「どうだ?」
――開いた!けど……なんだこれー!
「どうしたんだ!」
――ステータスがバグってる……?
「レオン、どうしたんだ?」
ガルムが不思議そうに聞く。
「さとるのステータスがバグってるって……」
――レベルが9999、HP∞、MP∞、職業オールマスター!?
「さとる……凄すぎる!」
「え、えええ!? レベル9999って……そんなの聞いたことない!」
リリアが目を見開いて叫ぶ。
「それにHPとMPが無限……!? それってつまり、どんな攻撃を受けても倒れないってこと?」
アイリスが信じられないという顔をする。
「だからどうしたんだって」
ガルムが少しイラつきながら言う。
「いやいや、これ普通じゃないって! こんなステータス、神話級の英雄でもありえないわよ!」
リリアが興奮気味に言う。
「しかも職業がオールマスター……これって、全職業の能力を極めてるってことじゃないか?」
レオンが冷静に分析する。
――えぇ……影のくせに最強ってどういうこと……?あと、スキルなんだけど……
「スキルがどうかしたか?」
レオンがまだあるのか?!と言いたそうな顔で聞いた。
――スキルがたくさん……みんなはいくつあるの?
「おれは5個」
レオンが自慢げに言う。
「わたしは3個」
リリアが言う。
「私もよ」
アイリスも答える。
ガルムは、
「俺は4個だ」
と答える。
「で、さとるは?」
――おれは……1,2,3……12⁉)
「12個!?」
みんなが口をそろえて驚いた。
「何のスキルがあるんだ?」
1.影歩――影の中を移動できる。壁をすり抜けたり、相手の影から現れることも可能
2.影縛――相手の影をつかって拘束する。影が消えない限 り、動きを封じられる
3.影潜――自分の影に潜り、姿を消す。戦闘中の回避や奇襲に使える
4.影喰――敵の影を食べることで、力を吸収したり、能力をコピーできる
5.影分身―影から自分の分身を作る。分身は本体と同じ動きをするが、ダメージを受けると消える
6.暗黒剣――影を剣の形にして武器として使える。実体化も可能
7.影爆――影を起点に爆発を起こす。自分の影や敵の影を使って攻撃できる
8.瞬影――影から影へ瞬間移動できる。戦闘中に使うと、まるでワープするように敵の背後を取れ
る
9.影の守護――影が自動的に防御してくれる。攻撃が当たる瞬間に影が盾となる
10.影の囁き――影を通じて、遠くにいる仲間と会話ができる
11.影界――一定範囲を「影の世界」に変え、すべての影を自由に操れる。絶対的な支配空間を作り出す
12.影神の加護――影の神から祝福を受け、影に関するスキルの効果が数倍に強化される
「わぁ、これはすごい!」
「最後の影神の加護ってなんだ?」
ガルムが不思議そうに聞いた。
「確かに聞いたことがないな」
――この世界にいないのか?
「いや、わからん」
「あと、暗黒剣は実体化もできるということだがやってみてくれるか?」
――わかった。スキル暗黒剣!
スキルを使った瞬間一瞬だが暗くなった気がした。
「これがダークブレイド……」
バチバチ
「……ッ」
「大丈夫か?」
ダークブレイドと勇者では相性が合わなかったのか……?いや、他の人が触っても同じ反応だ。俺じゃないといけないのか?でも俺は実体化できな……は!もしかしたらできるのかもしれない。
――おい!影神について調べられるか?
「そうだな。」
レオンがダークブレイドとの拒絶反応に苦しそうに答えた。
ガルムが
「王国図書館になら文献があるかもしれん」
――じゃあ、その王国図書館に行こう!
そうして、さとるたちは王国図書館に向かったのだ。




