表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/12

中庭?化粧?眼鏡?筋肉?

 僕はコンティニューし、練炭事件の翌日まで話を進めていった。


 *


 午前の授業中、僕はずっと事件のことを考えていた。その間、ぬぐい切れない違和感があった。

 僕と真実は中庭で昼食を食べていた。

「違和感?」

 真実はかわいらしく首を傾げた。

「うん」

「事件現場とかの違和感かなー」

「僕もそう思ったんだけど、何か、どこかで、ヒントを拾ったような、拾っていないような、違和感があったんだ」

「ふーん」

 真実はタコさんウィンナーを頬張った。

 ブツブツと言いながら考えていると、僕の弁当の卵焼きがひょいと奪われていた。

「もう、考え事ばかりで、会話しないから、全然楽しくなーい」

 真実が笑いながら頬張った。

「あっ」

 僕は声をだして立ち上がっていた。

「え、なに、びっくりした」

 真実が目を見開いて僕を見ていた。

「わかったよ。違和感の正体が……」

「正体って、なに?」

 選択肢が表示される。


 A:この中庭だ

 B:化粧だ

 C:眼鏡だ

 D:筋肉だ


 前回はここでBを選択したので、結果的に真鍋先生も僕も殺されてしまった。

 同じ轍は踏まない。僕はAを選択した。

「中庭、いつも通りだと思うけど?」

「いや、この辺に証拠が残っている」

 僕は捜索を始めた。

 探せど探せど、物証らしきものは転がっていない。僕の勘違いなのだろうか。

 ランチタイムの終わりを告げるチャイムが鳴った。

「午後の授業始まるから、私は行くね」

 非情にも真実は立ち去った。

 結局、放課後になるまで探したが、証拠はなかった。


 *


 またしても、真鍋先生と僕は殺され、コンティニューをした。


 *


 AもBもアウトだったので、僕はDを選択した。

「あんなときに筋トレしていた黄江先生が怪しい」

 僕ははっきりと断言した。

「ただの筋肉バカなだけなんじゃないの?」

「いや、証拠をごまかすためだ」

 汗か臭いか、なにかを誤魔化そうとしていたのだ。

「そうかなぁ……」

 真実は納得できない表情だ。

 ランチタイムの終わりを告げるチャイムが鳴った。

「放課後、黄江先生を問い詰めてみよう」

 僕たちは教室に戻った。


 *


 三度、真鍋先生と僕は殺され、コンティニューをした。


 *


 三度目の正直ならぬ、四度目の正直だ。

 残ったのはCの眼鏡だ。眼鏡に関するヒントは、なにかあっただろうか……。

「あっ」

 思案して、僕は重大な見落としに気づいた。

「眼鏡だ!」

「眼鏡?どういうこと?」

 真実は鳩が豆鉄砲を食ったような顔で聞いた。


 A:レイバンの眼鏡だよ

 B:黄江先生が裸眼なこと

 C:眼鏡をかけていない人物がいた


「レイバンの眼鏡をかけていた金子先生、怪しくないか?」

 僕は彼の挙動不審な姿を思い出した。

「え、そう?」

「おそらく、被害者と揉み合って、目のあたりを怪我したんだよ」

「でも、昨日、現場に駆けつけた時、そんな感じはしなかったけど?」

 真実は真っ当な意見を言った時、ランチタイムの終わりを告げるチャイムが鳴った。

「――とにかく、放課後、金子先生に会いに行こう」

 僕たちは教室に戻った。


 *


 また、またしても、真鍋先生と僕は殺され、コンティニューをした。


 *


 とんだ迷探偵だ。

 今度はさきほどの選択肢で『C:眼鏡をかけていない人物がいた』を選んだ。

 あの時、眼鏡が必要だった、人物の名は……。

 

 犯人の名前は?

 |     |


 やったぞ。犯人の名前を打ち込む入力欄がでた。

(もしかしたら――)

 僕は天啓が降りてきたような気がした。犯人は僕だ。記憶喪失になっているけれど、実は二重人格なのだ。

 僕は”僕”と打ち込んだ。

「犯人は僕だ!」

「はあ?」

 真実が険しい顔で言った。

「冗談はやめてね」

 どうやら本気で怒っているようだ。

「ご、ごめん。冗談だって」


 *


 また、また、またしても、真鍋先生と僕は殺され、コンティニューをした。


 *


 眼鏡が必要だった人物……。行動もしくは言葉に矛盾があった人物……。

「ああ、なんてことだ。とんでもない馬鹿だ、僕は」

 自分の頭を何度か小突く。

「大丈夫?」

 真実は不安げな表情で覗きこんでいた。

「ああ。今度こそ犯人はわかったよ」

 僕は慄然とした。手足に鳥肌が立つのを感じた。

「今度こそ?」

 真実にとっては初めてになる。

「すまない。言葉の綾だ」

 慎重に、僕は犯人の名前を入力した。


 犯人の名前は?

 |〇〇    |


「あの時、眼鏡が必要なのに、眼鏡をかけていない人物がいたんだ」

「どういうこと?」

 真実は困惑した。

「多分、なんだけど、まだ探せば証拠は残っているかもしれない。たとえば、そう、旧校舎の理科室とか」

 理科室は事件現場の隣の部屋だ。犯人が作業をしていた際にモブに目撃され、証拠を残しているのではないかと疑っている。

 ランチタイムの終わりを告げるチャイムが鳴った。

「放課後に調査してみようと思う」

 僕たちは教室に戻った。

 

 放課後、僕と真実は理科室を調査していた。

「ここには何があるの?」

 と真実が聞いた。

 犯人を追い詰めるための選択肢が出る。


 A:ガラスに関するもの

 B:目に関するもの

 C:炭に関するもの


 僕は迷わずBを選択した。

「おそらくだけど、目に関するものが落ちているはず……」

 僕は数分ほど理科室の床を目視していた。すると、きらりと太陽光に反射したものを見つけた。

「これだ」

 僕は用意していたビニール袋に、それを慎重に入れた。

「おや、こんなところで何しているんですか?」

 赤西巡査が理科室のドアから顔を覗かせていた。

「あの、すみません」

 ちょうど良いタイミングと思い、僕は言った。

「はい。なんでしょう」

「ちょっと頼みたいことがあるのですが……」


いつもありがとうございます。

評価、感想は大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

同作者の次の小説もオススメです。

七角館の殺人 ~存在を消された少年~

夏休み。イジメの加害者メンバーが集まってバカンスを楽しんでいた。一方、本土ではイジメの被害者の兄が……。怒涛の展開の短編ミステリです。

憂鬱

自称作家はコンビニ店員に一目惚れした。
店員と客の関係が思わぬ方向へ転がっていくサスペンス&ヒューマンドラマ。

同作者のシリーズ一覧

+ポイントについて(評価について)+

ポイントは、作者のモチベーションに繋がります。積極的に入れていただけるとありがたいです。
★1でも喜びます。


+感想について+

すべての項目を入れる必要はありません。「一言」だけでも充分です。


+お気に入りユーザー登録について+

お気に入りにすると、作者の新作や更新が通知され、便利です。

script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ