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話し合いは大切

翌日ネシリの方は朝から会議室に全員集まっている。


「昨日は先走りすぎた。

何かとな。

反省してる。」


ネシリは世界の地形などは整えたが精霊の所以外は植物しか生命がまだない。


「今日からは一つ一つ丁寧に育てていこうと思う。

手を付け始めたからドワーフの大陸からやろうか。」


「そうだな。

慌てないでいこうよ。」


「俺あれから考えたんだけど家じゃなくて洞窟をいくつか掘っておくのでどうかな?」


「そうね。

ドワーフに限らず建築は早いかも。」


「洞窟から建築へさりげなく促してとかがいいわね。」


「ちょうど建物はまだだし。」


「俺も賛成。

ではテオとロムサは西側。

ノラとユウラとリタは東側に五つずつぐらい洞窟作ってくれるか?」


「いいけど大きさは?」


「百人がなんとか寝転べる大きさかな。

中は少しだけ小高くして雨での浸水を多少防げる作りにしてくれ。」


「了解。」


「それとエリンとペイジが作ってくれた畑は十分の一残して収穫するぞ。

あれでは食生活が最初から豊かになり過ぎてなってしまう。」


「それ昨夜ペイジと話していて思った。

ついつい楽しくて畑も作り過ぎたなって。」


「落ち着いたらさ。

人間族の大陸のとなりにみんなで使えるように大陸一つ残してあるからそこで好きなだけ好きな物作ってよ。」


「本当?

それは楽しみだわ。」


「井戸と橋はどうする?」


「どうしようか。

せっかく作ってくれたけどどちらも一つ残して消去しようか。」


「うん。

その残したのもなんとか使える程度まで風化させておこうよ。」


「そうだな。

そうしようか。」


ドワーフ達の大陸の話はまとまった。




全員でドワーフ達の大陸に転移してそれぞれ与えられた役割を行う。


ゼストはネシリに橋と井戸の件を任された。


ネシリは湖の周りの森に小動物を湖と川に魚を放した。


湖近くと山脈のあちらこちらに果樹も創ってある。


山脈には弱めの魔物と鹿や熊など大きめの動物を放す。


動物も魔物も食用だ。


勿論熊などに逆に食われる場合もあるがそういう危機も必要と考える。


「洞窟出来たぞ。」


テオとロムサの仲は心配ない。


何かと関わっておりそれなりに長い付き合いだから。


ネシリがテオ達の洞窟をチェックすると五つそれぞれ工夫が見られた。


「いいんじゃないか。

洞窟らしくて。」


「そうだろ。

全部多少デコボコさせて快適にとはいかないけど寝れなくはないって感じにしたんだ。」


「雨の侵入にもそこそこ高いから少しだけ高いまで差をつけてみたんです。」


「入り口も入り難いのや入りやすいまで。」


「お前達のは文句ないわ。」


褒められて二体は嬉しい。


そこへゼストがやって来て洞窟を覗いて入ってみて出てきて別なのに入ってを繰り返す。


「洞窟だね。」


ゼストはその通りなのにあえて言った。


「洞窟を作ったからな。」


「いいな。

洞窟。」


「お前の遊び場じゃないからな。」


「うん。

遊び場じゃなくて秘密基地でしょ。」


得意げにテオに返答する。


「それも違う。」


「ところでゼストは終わったのか?」


「うん。

ネシリに見てって呼びに来た。」


「よし。

見せてもらうわ。」


テオ達も一緒に見に行く。


「おっ。

ゼストのくせに上手くやれたな。」


テオがネシリより先に見て言った。


「テオじゃなくてネシリに見て欲しいのに。」


ゼストは少し拗ねた様子。


「なんだよ。

俺じゃダメなのか。」


ネシリは微笑ましく思いながらゼストの仕事ぶりを見た。


「上手に出来たな。

これでいいぞ。」


ネシリに褒められゼストは満面の笑みを浮かべる。


ロムサもゼストの成長になんだか嬉しかった。


基本的にみんなゼストに甘い。


エリン達の畑もネシリが昨日植えた種が一晩で育ちその収穫を終えていた。


「これぐらい残すのでいいの?」


ネシリは確認する。


「いいぞ。

お前達は安定の仕事ぶりだな。」


「そうでしょ。」


エリンは満足そう。


ペイジはエリンが良ければ良かった。


「後はノラ達だな。

行ってみるか。」


ドワーフ達は小柄だからそれに合わせこじんまりと創られていても大陸なのでそれなりに土地面積は大きい。


移動は基本転移を使っている。


ノラ達はそれぞれ二つで計六つの洞窟を作っていた。


「今呼ぼうと思っていたの。

タイミングよかったわ。」


ノラはまず自分の作った洞窟を見せたがる。


天使の二体はどうぞどうぞと譲っていた。


「歳の順てか?」


テオが余計な事を言いノラを怒らせる。


「悪魔族でも女性に対し年齢に関わる事を話題にしてはいけないわ。」


エリンにも叱られた。


ペイジもやってしまったなという表情。


それにかまわずネシリは淡々と洞窟をチェックしていた。


「うん。

やり過ぎてもなくちゃんと洞窟だな。」


ノラはテオが怒らせたからネシリの言い方にも不満げだ。


「なによっ。

そんな言い方ないわ。」


ノラの機嫌をとるには時間がかかるのでエリンに目配せしてノラを落ち着かせるよう頼んだ。


ユウラとリタの洞窟は可もなし不可もなし。


「よく頑張ったな。」


ノラと組ませたのも含め二体を労った。


ユウラもリタもまだみんなに馴染めていない。


これも焦らずゆっくりとだなとネシリは考えていた。


「さてドワーフ達を創るか。

お前達は少し上空にいてくれ。

目覚めた時に見つからないように。」


「分かった。」


みんなが翼を出し自力で上空に行ってからネシリは洞窟一つにつき五十人の種族と男女別に十五歳の姿のドワーフから創った。


若くそれでいて自分の力で生きられる年齢からでいこうと。


ドワーフ、ノーム、ホビット、ケットシーを創り終え上空のみんなの元へと戻ったネシリ。


「ねぇ。

それぞれの洞窟にせめて最初の食べ物を置いてあげない?」


エリンが言い出す。


「まだ目覚めてないうちに俺も置いてあげて欲しい。」


ペイジも願う。


「そうだな。

最初はいいか。」


ネシリはこの大陸で採れる果物を一つづつ胸の上に置いてやった。


横では誰のか判別出来ないかなと少し重いかもしれないが身体の上に置いたのだ。


「ありがとう。」


エリンが再び戻ったネシリに礼を言う。


「いや。

気がついたらなんでも言ってくれ。

必要な事は採用するから。」


みんなは頷いた。


「洞窟三つ残したんだな。」


「いずれ誰かが見つけるだろ。

仲違いして流れていっても家族が増えて使ってもいいし。」


「無駄にはならんな。」


そうこうしているとドワーフ達が洞窟の外の安全を確かめに顔だけ出している。


「無事に目覚めたか。

一安心だ。」


ネシリは一人また一人と外へ出て来るドワーフ達をみつめていた。


「ネシリ。

お腹空いた。」


「ゼストでないけど俺も腹減った。」


「ここの住人達は大丈夫そうだぞ。」


「そうだな。

続きはまた明日だ。

今日は帰ろうぜ。」


ノラはエリンに任せて正解だった。


今は笑顔でエリンと会話している。




その日の夜また会議室に集まった。


「大陸や島に名前をつけておこう。

それと担当も決めたいんだ。」


ネシリは担当になった者に今後はその大陸の管理を任すつもりだ。


「好きにしていいの?」


ノラが真っ先にくいつく。


「ルールは決めるよ。

なんでもかんでも好き勝手は流石にダメだろ。

ルール無用になったら暴走しそうなの二体程いるからなぁ。」


みんなはゼストとノラを交互に見た。


「何よっ。

私とゼストに文句でもあるの?」


ノラはまた不機嫌になる。


ゼストはそういう扱いに慣れっこ過ぎて自覚無し。


ネシリはノラを放置して話を進めた。


「ほらほら。

最初にルールを決めるぞ。

まず俺の考えたのを言うわ。」


ネシリは毅然とした態度でノラの文句を一切受け付けない。


「姿を見せてもいいが長く留まらない。

与える知識は極々最小限で出来る限り相手が悩み抜いても答えが出ないがきっかけを掴めば答えを出せる時のみ。

現在の生活レベルに合わせての助言で決してその時代を飛び越える知識を与えない。

でどうかな。

これでも担当者はそこの神として崇められそうだけどな。」


「ネシリが神だけど俺らが崇められてもいいのか?」


「いいよ。

みんなの持っている能力でも神みたいなもんだろ。

大陸ごと神が違っているのも面白いし俺達に害はないからな。」


「俺達にはな。

だけど違う宗教での戦争や弾圧につながらないか?」


「それも含めての担当なんでしょ?

戦争や弾圧を起こさせないように。」


「あたり。

俺は前の世界のように奴隷がいたりスラムが出来たり魔族との争いや国家間の戦争などを可能な限り防ぎたいんだ。

魔物がいるからいずれ魔族にもなるだろうけど魔族と別に敵対しなくてもいいんじゃないかと考えている。」


「あれらは人を食らうぞ。」


「人も魔物を食らうだろ。」


「ネシリにとってはどっちも子供のようなものだもんね。」


「子供?

そんなんじゃないけどな。」


「そうか。

それで高ランクの魔物は他の大陸に創らないのか。

なんだかんだ優しいからなお前。

人類のいない龍の大陸と中央の大陸のみだもんな。」


「飛べるのもいるけど簡単には飛べない距離空けてるし。」


「ダンジョンから魔物が溢れても大陸内で収まる。

ちゃんと考えてあるんだね。」


「なんかそんな風に言われると恥ずかしくなるだろ。

まあなんだ。

それぞれの命を俺が創る責任あるしょ。

創った先は手を離れ自立していくとしても俺は全ての幸せを願う。

現実は難しいとしてもだ。」


「ネシリ神っぽい。」


「神だって。」


「お前って苦労性だな。」


「なんだよ。

お前らだって俺に近いだろ?

基本真面目じゃないか。」


「確かにだぁ。」


「そうだな。

俺らはネシリが創った命を育む役割って事だ。」


「責任重大ね。」


「ルールはネシリので良いんじゃない。」


「うん。

それでいこうよ。」


「長いけど理解出来ない奴にもわかりやすいかもな。」


「長いけどは余計だっ。」


「じゃあ次は名前ね。」


あれこれ案が上がった中相談し決まる。


魔物と龍の大陸はジネルラ。


獣人族の大陸はファジル。


ドワーフ達の大陸はレギアラ。


精霊の大陸はオリアナ。


魔人族の大陸はライナド。


エルフの大陸はミンデイ。


人間の大陸はエイメン。


ダンジョンと魔物の大陸はアルサシル。


みんなの遊び場の大陸はヤタ。


二つの島は東からヨタとユタ。


になった。


「担当はどこか希望あるか?」


ネシリが聞くとすぐにロムサが手を上げた。


「早いな。

ロムサはジネルラだろ?」


「はい。」


「そうと思ってたわ。

他にジネルラ希望は?」


みんなロムサに譲るという表情。


ジネルラはロムサに決まった。


「そうそう。

オリアナは調整だったりあるから俺が担当するな。

それと全体の統括も俺ね。」


ネシリが全体も俺と言うのにテオ達は笑う。


「お前の世界なんだから当然お前がトップだろうとみんな思ってたよ。」


ネシリはなるほどと左の掌を右手の拳でポンっと叩く。


「今までも大概ネシリが中心で私達も動いていたから違和感ないわ。」


「そうか。

そうだな。」


その後も担当を決めていく。


獣人族のファジルはエリン。


ドワーフ達のレギアラはユウラとリタ。


魔人族のライナドはノラ。


エルフのミンデイはテオ。


人間族のエイメンはペイジ。


そしてダンジョンと魔物のアルサシルはゼスト。


アルサシルならゼストが多少ハメを外しても周りに被害はないだろうとのみんなの判断だった。


何せアルサシルは一番大きい大陸だ。


ネシリもなるべく注意してゼストを見守ろうと考えている。




他にも決め事を話し合った。


魔人族、獣人族、人間族は洞窟での生活から。


魔人族、獣人族、人間族、エルフは十五歳スタート。


「だいたいこんなところか。

遅くまでありがとうな。」


「担当出来るとやる気も変わるもんだな。」


「そうね。

担当の大陸が特別になったもの。」


「明日が待ち遠しいな。」


「さぁ。

寝ようぜ。

明日もするべき事たくさんあるんだから。」


みんなが自室に戻るとネシリは寝ようか少しだけ迷ったが眠くならない。


睡眠は必要ないんだしみんな寝ている間に出来る事をしておこうと世界の方へ移動した。


明日はどこから手をつけようかななど考えながら独り多くを思案しつつ夜の世界を満喫する。


「あっ。

家畜をヤタに移すか相談したかったのに忘れてた。」


落ち着くまでまだまだかかるだろう。


ふとラゴーラの世界はどこまで出来たのかなと気になったが連絡を取れなくなっていた。


「あっちも忙しいんだろうな。」


まさかラゴーラの世界は地獄の様相になりつつあるとはネシリに分かるはずもなし。


離れている仲間達の健闘を祈った。









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