技術? 列挙法 ネタばれ寸前『エジプト十字架の秘密』含みます。
1つに括らずに、その1つ1つに同等の重みがあるように列べる方法。
こだわりを現す。
そして、思い入れを現す。
そんな方法。
例えば、
故郷の景色を思い浮かべた。
よりも、
故郷の山や川を思い浮かべた。
の方が。
更に、
故郷の山を、故郷の川を、思い浮かべた。
の方が、想いの強さが現れると思いませんか?
また、「技術じゃなくて、単なる種別・区別じゃないの?」と言われそうなのだが、細々(←こまごま)と書き出す(述べる)のも列挙法。
イメージでいうと、低学年の頃って忘れ物をしないように、“遠足のしおり”には持ち物が細々と全部、書かれていませんでしたか?
あんな風に、読点(、←この点ね)でつなげて、いくつものモノを並べて書き出す表現。
んー……効果はと問われると、感情が含んで表現される……という気がします。
例えば、不安な夜の場面で、風の音や、窓の揺れる音や、そーいったものが細々と列挙されると、モヤモヤとした不安が強調されると思います。
歌詞ですが、水谷豊さんの歌『やさしさ紙芝居』の始まりのセリフも少し列挙法(笑)。
思い出をたどっていること、その人柄も感じます(って、耳で聴いてるからかな? 笑)
手元に本が無くてうろ覚えなんですが、長田弘さんの詩集『食卓一期一会』の『戦争がくれなかったもの』(だったかな?)には、食べ物が幾つも並べられてたように記憶してます(間違いならごめんなさい)。
それは、焼けつくように強烈な想いを、読む者に与える効果があったような気がします。
※↓少しネタばれ話題です。
それから、面白い列挙法の使い方(って、それほど斬新でもないけれど)として、ややネタばれですが、エラリー・クインさんの『エジプト十字架の秘密』の事件を解くヒントの1つを思い出します。
部屋の中の様子、小物が列挙法で描かれてたような……記憶があるんです……。
そのうち幾つかには、小さな説明の文章が添えられてたと思うんですが。
ええ、その1つがね、割と大きなヒントなんです。
それを列挙法に眩ませながら真正面から提示し、『さあ、あなたにはこの事件の謎は解けましたか?』と挑戦してきた……。
そんな記憶があるんですが、最後に読んだのは二十年以上前だと思うので、間違えてたらごめんなさい。
「え? これって技術なの?」と思われるかも知れませんが、狙いをもって、効果を意識して使うなら、やっぱり技術だと思います。