技術? 感嘆法
演説や文章において、突然話を中断して、込み上げた感情に委ねる表現。
んー……、つまり小説とは、“何が起きた、そしてどうなった”という文章で話が進みますが、そこに、込み上げる感情の言葉を挟み込むという説明で伝わるでしょうか?
よく使われるのは、街や出来事などの思い出を語る場面でしょうか?
街のことをいろいろ語りながら、所々に街を愛する気持ちのセリフが入るとか。
テンションを上げる、温度を上げる、強調する、印象づける、文章にメリハリをつける。
特に一人称小説での地文などで使える表現かと思います。
ボクも意識して使ったことがあって、お恥ずかしながらボクの投稿作品から例文を。
連載『ブラッシュアップを考える』に移稿した元の短編小説。
転校生の桃ノ木かなサンと隣の席になった主人公の小学生の轟クン。
日本の昔の遊び言葉で『驚き桃ノ木』という言葉があったという先生の発言で、みんなにからかわれ、変なあだ名までつけられます。
怒りたいのだけど、申し訳なさそうにする桃ノ木サンに気を使って怒るに怒れないでモヤモヤしてる時に、蘊蓄マニアの向田智則クンが、「桃ノ木も轟も、古くから邪悪を祓うものと知られている」と教えてくれて、「お前ら、破邪コンビやな」と発言します。
小学生の轟クンには、これがずいぶんカッコ良く聞こえたこと、内心「可愛い」と思っている桃ノ木サンとの二人一組な感じがあることで、とても気に入るのです。
──(前略)──
ああ!
智則!
心の友よ!
ボクは、その智則のウンチクに、一瞬でしびれてしまった。
イライラとする気持ちと、申し訳なさそうにする桃ノ木のためのガマンで疲れていた気持ちが、いっぺんに吹っ飛んだ。
そして、誇らしくなった。
──(後略)──
狙いは、小学生の男の子らしいテンションの高い一人称小説を書きたかったこと。
読んでくださる方々の反応が良ければ連載小説に変更するつもりだったんですが、この『どちらも邪悪を祓うものと伝承されている』という設定を軸に以後の展開を考えていて印象づけたかったこと。
それに轟クンが内心では桃ノ木サンに惹かれていることを強調したかったこと、等だったと思います。
ボクの拙い作品では荷が重いので、皆さんに紹介したい作家として舞城王太郎さんの『好き好き大好き超愛してる』の、小説家である主人公の作品『ニオモ』の場面から。
人々が男女一組で神と戦う世界。
パートナーは戦死していて、さっきまで会話していたのは神が化けたものだと知って驚愕する主人公。
──
俺は本物のニオモのろっ骨を堅く堅く握る。このろっ骨を自分の腹に突き刺したかったのは俺だ!ニオモと一緒に死にたかったのは俺だ!アホの長崎みたいにアホになりたかったのは俺だ!
ああニオモ!帰ってきて欲しかったのに……。
──
舞城王太郎さん(初期作品)は、口語文体で綴りながら、実は戦略や技術や実験に溢れた作品を書かれた方なので、(初期作品を)ぜひ1度読まれることをお薦めします。