変更 2冊目の資料本、ご紹介させてください。
作戦変更、2冊目の資料本からの引用は中止します。
とても内容の濃い、書き手にも読み手にも刺激的な本なのですが、さまざまな作品に言及され過ぎてて、そのうちの1つを戦術や戦略の参考として投稿するには、それなりのスペースを埋めるためにボク自身の知識で参考例を挙げたりする必要がありそうで、ボクにはその知識量が不足しているからです。
『文学的商品学』斎藤美奈子さん。
絶対に、読んで損の無い1冊。
ただ1ヶ所、楽しんでいただくためには背景を知らないと面白さが半減するだろうと思われる場所だけ説明させてください。
第2章『ファッション音痴の風俗小説』。
この場合の“風俗”は、エッチな意味ではなく、“衣食住などの暮らしぶり”という意味です。
念のため。
かつて、社会現象を起こしたベストセラー『失楽園』の著者、渡辺淳一さん。
その作品を衣食住にわけて語り口などを過去の名作家の作品と比較。
そのレベルはどれ程のものか?と考察する章です。
この章、背景に想いを馳せると、ゾクゾクするほど面白くて、怖い。
書評家の豊崎由美さんがいろんな著書で語っている話なんですが……
『失楽園』の大ヒットの中、豊崎由美さんは、その作品を、いたる所でかなり酷評してたらしいんですよ。
で、ある時、出版社に渡辺淳一さんが訪ねてきた。
その数時間後、豊崎由美さんが編集長をしてたチームが解体された……。
圧力なのか?
真偽は定かではありません。
ただ、この恨み節をいろんな所で豊崎由美さんは公言されてて、著書の1冊には、袋とじ部分があり、それを開くと事の経緯が細かく書かれたものがあるそうです。
ボクは、それらしき本を見つけたことがあるのですが……図書館の本なので読めませんでした(笑)
ちょっと、ある程度以上の年齢の方でないと伝わりにくい喩えですが、文化人やコメンテーターに喩えると、
豊崎由美さん。
田嶋陽子さんタイプ。
強くハッキリ言い切りますが、論調は「そんなこともわからないの?バッカだねぇ!」型。
言葉足らずで、やや伝わりにくかったり、やや暴論だったりするイメージです。
ボクは。
対して斎藤美奈子さん。
櫻井よしこさんタイプ。
物静かで上品でチャーミング。
だけど、理路整然とゾクリゾクリと事の本質に迫るタイプ。
お2人に交流があるのか、斎藤さんが豊崎さんの事件を知っていたのかは知りませんが、この章を読んだだけでも、お腹いっぱいになれます(笑)
意外と、武闘派なんです(笑)
詳しく知りませんが、元編集者。
文壇デビュー(?)が『妊娠小説』。
主人公が交際相手の妊娠によって悩む物語は森鴎外の『舞姫』まで無かったのは、長い男尊女卑社会によるものだと切り込んだ内容……らしい。
読んだことは無いけど(笑)
『前略 文章読本さん江』は、古今東西の“文章読本(文章の書き方講座)”を分類、引用し、挙げ足をとってクスクス笑わせてくれたかと思うと……男性としてはノド元に刃を突きつけられたみたいにゾクリとする……。
内容は忘れましたが、面白さに何度も読んだ記憶があります。
決して、頭の堅い人じゃない。
守備範囲は文学からライトノベルや雑誌まで。
視点や指摘の角度が面白い。
ある女性芸能人の書評本を、「基礎的な教養は欠けている(そーゆースタンスで書かれた本のようです)けど、本質をズバリと衝いている」と紹介されたりします。
(実は3冊目候補なのでタイトルは伏せますが)
綿矢りささんの『蹴りたい背中』(文庫版?)の後書きに載ってた解説にも感心した記憶があります。
とっても理路整然とチャーミングな方。
ボクは『前略──』を読んだ時、顔も知らないのに発情に近いほど憧れた記憶があります。
(知的でチャーミングな人に弱いのかも)
まあ、とにかく、『文学的商品学』。
書き手なら(読み手も)、1度は読んでみてください。