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第十九話

 ちょっと見じゃ、同じ大きさの色の違う球がグルグル回ってるみたいだけど、四つの悪い球、腐った卵みたいな球の匂いを中から除いてやらなくちゃいけない。わるい球を駆除したうちの赤い球は、ヒーローの特別の球だと、やんやの喝采を送ってくれるはずや。プールの構成は、球の数がへっただけやない。いびつで、形にならず、いつも凸凹しているミジンコのお腹の中のグチュグチュが綺麗な紡錘形(ぼうすいけい)保った水晶みたく硬く強固に昇華していって・・・・・・・

「マイケル、次は君がボールになれよ。やっぱりゴードンが言ったように、次のボールは君がやるのが一番に適切だ」

 エディが消えたあと、一番に小さくて大人しいシャーロットがマイケルの説得に乗り出した。適切なんて単語、いままで一度だって使いこなせたことなんてなかった仔なのに。マイケルが得意げに描いたいた美しい水晶のデザインはマイケルの頭の中だけで終わり、黒板色のプールの中にはけっして現れてこなかった。

 ゴードンとベンジャミンとサマンサとケビンは消えてい無くなっても、ミジンコの腹の中にある半透明のグチュグチュは、此処に張り付いたままだ。マイケルが見ている景色から消えることはない。一度使った勇気をもう一度復活させるほど、マイケルの勇気は本物でなかった。


 亀裂のみえる薄皮が割れるようにパックリと、ソコは開き、手脚が吸い込まれる。

 あるいは、柔らかくなったイチジクを皮から実に向かってひっくり返すように、表と裏の模様替えするように、白く乾いて空気中を漂っていられたものが内部にしか存在しえない血色の粘液を滴らせる凸凹の塊りに変わり、おダンゴ丸めを待っているシャーロットの手の中に収まった。ー あんなあちこち触った汚れた掌でそのまんまー 潔癖症のマイケルの癇に障った最初は、それだった。それから、シャーロットはこねくり始める。はじめは、脱水をかけていない赤いスウェーターみたいなブヨブヨがだんだんと丸く固まり、ゲームを続けるためのボールの形になっていく。

「こんなんやったら、もう見せる顔なんてないやないかぁ」

 あんなに張り切ったあとじゃ、余計にばつがわるい。丘を眺めると、三人は大うけしてる。大人の分別など、どこへやら。腹を抱え腰を砕き泥んこのなかで仰向けになりながら、手脚ばたつかせて痙攣(けいれん)してる。

 可笑しいものは仕方ない。内臓肉で顔の潜ったマイケルも、見えない顔で一緒になって笑った。

 ゲームが再開したあと、マイケルは先ほどの勇気を見せたときよりも活躍した。ほかの子にボールをぶつけるなど出来っこない心根の優しい子たちに次々当たり、潰していく。消しいく。シャーロットが強いのか、マイケルが妙を得ているのためか。二人とも消えずに最後まで残った。次にガムボールマシーンにお金を入れた子の掌にいったい幾つのガムボールが零れ落ちるんだろう。


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