ツインテールした赤毛の首をスルタンのサーベルはその重みだけで掻っ切った
ラシャ地の外套に覆われたひとの群れが数珠つなぎとなって歩いている。墓地へは向かうのでなく、その帰りだった。もとは紺色だった外套のひとまでが小糠雨に濡れきって、ぐっしょり黒く重たい水滴が膜を張り|傴僂《せむし》のように皆の背中を丸くする。
そんな雨も先頭で遺影をもつ二人に近づこうとしない、特にその母親には。彼女の輪郭には静寂な空気だけがふさわしいことを知っているからだ。この隊列の哀しみは、遺影の赤毛の|娘《こ》よりも、その娘の喪失を一身に引き受け飲み込もうとしている母親の喪失感から起こっている。
鎮魂が|相応しい《ふさわしい》この母の中には、赤い巻毛よりももっと赤い炎が燃え盛っている。が、そのことに気づくものは誰もいなかった。母であるこの女でさえまだ気づいてはいないのだから。
それを見ているのは、死んだ娘とその娘を死に追いやった三人の男たちだけだった・・・・・・・・・・
そんな雨も先頭で遺影をもつ二人に近づこうとしない、特にその母親には。彼女の輪郭には静寂な空気だけがふさわしいことを知っているからだ。この隊列の哀しみは、遺影の赤毛の|娘《こ》よりも、その娘の喪失を一身に引き受け飲み込もうとしている母親の喪失感から起こっている。
鎮魂が|相応しい《ふさわしい》この母の中には、赤い巻毛よりももっと赤い炎が燃え盛っている。が、そのことに気づくものは誰もいなかった。母であるこの女でさえまだ気づいてはいないのだから。
それを見ているのは、死んだ娘とその娘を死に追いやった三人の男たちだけだった・・・・・・・・・・
第一話
2020/09/07 08:11
第二話
2020/09/07 08:16
(改)
第三話
2020/09/07 08:49
第四話
2020/09/07 08:51
(改)
第五話
2020/09/07 08:54
(改)
第六話
2020/09/07 08:56
(改)
第七話
2020/09/07 08:59
(改)
第八話
2020/09/07 09:00
(改)
第九話
2020/10/01 10:01
第十話
2020/10/01 10:03
第十一話
2020/10/01 10:04
第十二話
2020/10/01 10:06
第十三話
2020/10/01 10:08
第十四話
2020/10/01 10:10
第十五話
2020/10/01 10:11
第十六話
2020/10/01 10:13
第十七話
2020/10/01 10:14
第十八話
2020/10/01 10:16
第十九話
2020/10/01 10:17
第二十話
2020/10/01 10:19
第二十一話
2020/10/01 10:20
(改)
第二十二話
2020/10/01 10:23
第二十三話
2020/10/01 10:25
第二十四話
2020/10/01 10:26
第二十五話
2020/10/01 10:30
第二十六話
2020/10/01 10:31
第二十七話
2020/10/01 10:33
第二十八話
2020/10/01 10:34