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月の華  作者: 桜華
第一章 生きていく為に!
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魔力

昨日の投稿で初めて100PVに達しました!

ありがとうございます!

 

「クゥ……ゥン……ッ!? キャウゥゥン……!」


 牛蛙の魔物を食し、魔法についてワクワクしながらほうれん草の寝床へと戻った。気分を表す様に、尻尾は左右に激しく揺れている。


 その後、魔法について色々と考え、いざ実践! という段階になって、僕の体を異変が襲った。切なそうな鳴き声でお察しの通り、見事にお腹を壊したのだ。


『か、神様……! 僕は何も悪い事はしてません……まだ! だから、この苦しみに苛まれる僕をどうかお救い下さい……!』


 例によって、神頼み中である。誰でも経験してるはずだ。


 ──およそ30分後。


『いやぁ、死ぬかと思ったね! でも、もう牛蛙の魔物を食べてもお腹は壊さないはずだからね、きっと大丈夫!』


 汚れたお尻を泉の水で洗い(水に浸しただけ)、この後は気分一新魔法の練習だ。その事を考えるだけで、尻尾はご機嫌に揺れてしまう。


『ラノベによると、自らの魔力を使った魔法と、自然界に漂う魔力を使った魔法があるって話だけど、どうやらこの世界は両方があるみたいだね』


 実践開始の前におさらいだ。

 牛蛙の魔物……呼ぶのが面倒い。……牛蛙の使った水球の魔法について考えてみる。

 牛蛙は立て続けに水球の魔法を四発も放っていた。体長20センチ程のあの小さな体で、直径50センチの水球を放つ程の魔力を体内に持つとはどうしても考えられない。

 つまり牛蛙は自然界の魔力を体内に取り込み、それを水の魔力に変換して放ったという事だと思える。


 次に考えるのは、僕が放ったであろう狼のシルエットの魔法についてだ。

 あの魔法は自然界の魔力を使ったと言うより、僕の体内魔力を使ったと言った感じだった。だけど、僕はまだ自然界の魔力を感じられないし、自分の体内にある魔力さえも感じる事は出来ない。……出来ていないと言った方が適切かな?


 つまり、僕が自由に魔法を使える様になる為には、自分の体内の魔力を感じ、それを自在に操る事が必須条件となる。それをクリアして、魔力を狼のシルエットに変える事が出来れば、僕が魔法を使えるのも時間の問題だ。


 ならば、先ず始めなければならない事は魔力を感じられる様になる事だろう。


 という訳で、訓練開始だ!


 精神を研ぎ澄まし、瞳を閉じて意識を体内に集中する。……ワクワクして、尻尾が揺れてしまうのは仕方ない事だろう。


『鼓動を感じる……。それにしても、牛蛙は美味しかったなぁ。明日も食べたいな。……あ、お腹がまだゴロゴロ言ってるや!』


 ……雑念が邪魔をしてくる。いかん、いかん。もっと集中せねば!


 ──それからどれくらいの時間が経ったのだろうか。僕はかなりの集中をしている。

 その証拠に、初めはジージーといった虫の音やサァァといった風の音、それに自分の鼓動と尻尾の揺れるファサファサって音ばかりが聞こえていたけど、今では何も聞こえず、完全に無音状態だ。一流スポーツ選手が集中する事で突入する”ゾーン”へと僕も入れたみたいだ。


 より一層、自らの体内へと集中していく。

 やがて、僕はそれを感じる事が出来た。


『これが……魔力……? 初めはポワポワと暖かく感じたけど、今では荒れ狂う炎の様に熱く感じる……!』


 熱く滾る様な魔力らしき物を感じた僕は、次にそれを体内へと循環させる様に意識を集中させていく。イメージとしては、血液の流れが全身を巡る感じだ。


『──ッ!? ハァ……ハァ……! だ、ダメだ! 凄く疲れる……!』


 体の中心付近……心臓の辺りに感じた魔力を体内に巡らせようとした瞬間、今まで感じられていた魔力が消失し、次いで激しい倦怠感と疲れが襲ってきた。気付けば全身汗まみれになっていて、動悸も激しく、息も切れていた。


『はぁ……はぁ……きょ、今日はここまでにしよう……! でも、初日で魔力を感じる事が出来たんだから上出来だよね!』


 少し体を落ち着かせ、体の熱が冷めた所で今日の訓練を終わりにして、仮の寝床としている木の根の虚へと潜り込む。魔力を感じる為に集中する事に疲れたからか、体は重く感じ、尻尾も揺れずに垂れていた。


『明日の牛蛙を魔法で倒す事は出来ないけど、あの水球に気を付ければ何とかなるよね。後ろからそぉっと近付けばいけるはず! さ、寝よ!』


 明日の予習じゃないけど、そう呟いてから眠りに就いた。


 ☆☆☆


 牛蛙を求めてチョロチョロとした水流を下り、太陽が中天に差し掛かる頃、ようやく今日の獲物を見付けた。見付けるまでユラユラと揺れていた尻尾は牛蛙を見つけた途端に激しく振られ、口内には途端に涎が溢れる。


 昨日の轍を踏まない様に牛蛙の後ろからそっと近付き、いざ! という時に、二匹目の牛蛙が近くにいる事に気付いた。しかも、二匹目の牛蛙に僕の姿はしっかりと捉えられていた。


『くっ! 二匹同時なんて聞いてない!』


 そう叫び、戦闘態勢(と言ってもモフモフの為に迫力は無いけど)へと移行する。ここからは命のやり取りだ。


『もう水球を放とうとしてる!? 間に合え──ッ!』


 二匹目の牛蛙が口を大きく開け水球を作り出し、その視線は既に僕へとロックオンされている。放つ寸前だ。

 今から逃げても確実に水球に当たってしまうだろう。

 僕は咄嗟に一匹目の牛蛙の影へと飛び込んだ。


「ンモーウッ!」

「ゲコッ!? ゲコォオオオ!!」


 間一髪、二匹目が放った水球は一匹目に当たり、そのまま一匹目を近くの木の幹へと叩き付けてくれた。一匹目の牛蛙は死んだのか、幹を滑り落ちて動かなくなった。

 と言うか、ゲコッて声も出るんだね。そこだけ聞けば普通の蛙と変わりない。要らない豆知識が増えてしまった。


 くだらない豆知識よりも今がチャンスだ!


 同士討ちに気が動転したのか、二匹目の牛蛙は呆気にとられた様に動きを止めている。その隙を突く様に、僕は二匹目の後ろへと回り込み、その背中へと噛み付いてやった。


「ゲッ!? ンモ”ォオオ!」


「キャウゥゥッ!!」


 離すもんか!


 その場で後ろ足に力を溜めた牛蛙は、僕の体を振りほどこうと宙へのジャンプを繰り返す。この牛蛙はやはり魔物、いや、さすが魔物といったところか。僕が背中に噛み付いているにも拘わらず、牛蛙は高さ1メートルの大ジャンプをしてみせたのだ。

 何度も、何度もジャンプして着地、その度に僕の体は地面に打ち付けられて、かなりのダメージを受けてしまった。


「キャオオオン!!」


 なんのこれしき!


 何度目かのジャンプの後、牛蛙がジャンプするタイミングに合わせて噛み付いていた口を牛蛙の背中から離し、ジャンプから落ちてくる牛蛙をその場で待ち構える。


 ──今だ!


「ガァアアアッ!!」


 牛蛙の頭を狙いすまして、今度こそ仕留める様に牙を剥いて飛び掛る。

 僕は牛蛙の頭ごとその首へと噛み付いた。水球を撃たれる前に、このまま首を噛み砕く!


『オエッ……何とか倒せたぁ。あッ! 一匹目は!? ホッ……よかった、やっぱり死んでるみたいだ』


 二匹目を仕留めて気を抜きそうになったけど、慌てて一匹目がいた事を思い出した。尻尾も思わずピーンと立ってしまった。


『でも念の為、一匹目から食べるか』


 僕自身がトドメを刺した二匹目よりも、同士討ちで死んだと思われる一匹目から食べる事にする。万が一生きてたとして、二匹目を食べてる最中の無防備な状態であの水球は喰らいたくない。下手したら、死んでしまうかもしれないし。


『ともあれ、いただきます!』


「ンモ……ウッ──ッ!? モォオオオ……オォ……」


 お腹を上にしていたのでそのお腹から齧り付いたら、一匹目の牛蛙が声をあげた。思わずビクッとしたけど、僕はそのままお腹を噛み千切り、しっかりと咀嚼して飲み込む。今度こそトドメを刺したみたいだ。

 しかし、やっぱり一匹目を最初に食べて良かった。二匹目から食べていたら懸念した通りの事が起こっていたかもしれない。

 ともあれ、これで安心して牛蛙を食べる事が出来る。後は残さず美味しくいただくだけだ。


 と、その時、不思議な現象が起こった。


『え? 何これ……? 魂……なのかな……?』


 食べ始めた一匹目の牛蛙から水色の半透明な光が浮かび上がり、それが僕の体へと吸い込まれたのだ。


『それとも、経験値的な何かなのかな? だとしたら異世界あるあるだね! でも、力が増したとか感じないし、どこにも悪影響が出始めた訳でもないから、とりあえず放っておこう。ステータスが見れないから結局分からないし』


 異世界なんだから、不思議な事の一つや二つ……十個や百個くらいあっても可笑しくはない。ステータス、見たかった。

 そんな事よりも、明日も牛蛙を狩れるとは限らないんだから、しっかり残さずに食べなくちゃ!


 一匹目を食べ終わり、二匹目も残さず美味しくいただきました♪

お読み下さり、ありがとうございます。

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