始まりは公園で
面白かったら嬉しいです
俺は家から数分かかるくらいの公園のベンチに寝転がり、遊具で遊ぶ子供達を眺めていた。
俺、亜久津瑛太は高校三年生だ。真面目に大学か就職かを考える時期。だが、両親や教師達からのプレッシャーに耐えれなかった俺は考えるのをやめ、高校に行かなくなった。勉強が嫌いな訳では無い。ただ、行きたい大学もやりたい仕事もなかった。それだけだ。
そして気づけば、親や教師達は俺の双子の弟に期待するようになった。 俺と違って頭も運動神経も抜群な弟を選び、出来損ないの兄を見限ったのだ。別に親や教師達を恨んだり、弟を妬んだりしたことは無い。元々、そういうことが苦手だったのだ。他人から期待される事が。
俺のモットーは『ダラダラ過ごして、やりたい時だけやる』だ。
他の家庭は知らないが、俺の親は俺があまり家にいて欲しくないらしい。まぁ、それは当たり前だ。俺がいると弟が勉強に集中出来ないから。
弟は一言で言うと、ブラコンだ。親よりも俺の事が好きで、よく一緒にゲームして遊んでいた。だが、俺が不登校になってからは、親が弟との関わりを無くした。弟の勉強に支障が出ないように、弟が起きる前に家を出て、夕飯になるまで暇を潰す。親からは毎月小遣いとして六千円が貰える。それだけだと少ないので、知り合いの両親が営業しているカフェでアルバイトしている。そこのバイト代を合わせて、六万六千円。毎月に使うお金は1万もいかない。大半は貯金してある。というのも最近出ているゲームはどれも面白くない。ネット等では面白いという高評価なレビューが沢山あるが、俺はどうも興味をもてなかった。漫画やラノベは今でも買っている。ただ、本は安いしほぼ買いに行くことも無いため、月に1万もいかない。、それもあり、大抵は公園で時間を潰している。
「ふわぁ〜、ねむ」
俺は大きな欠伸をして、空を見上げる体勢になる。陽の光が眩しく、目を細める。心地よい風が吹いて、今にも眠れそうだ。もう寝ようかなと考えた時、違和感に気づく。陽の光が眩しすぎるのだ。網膜を焼くほどの光ではないが、それでも眩しすぎる。青い空も白い雲も鳥も白い光に覆われ見えない。視界を白が染める。続けて浮遊感。今度は俺の身体が浮き始めたのだ。ふわりふわりと空へと近づいていく。白く染まったゴールの見えない空へと。
これが、俺の異世界生活の始まりだとは、この時は想像もつかなかった。
初めに、読んでくださった方にありがとうございます。