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顔がでかくて、首が太くて、足が長くて大柄で頑丈な体をしてるのが幼馴染です

登校途中、向かいから短髪で茶髪のいかにも営業マンのような格好の人が来た。その人に俺は見覚えがあった。

「諸君!朝の挨拶、すなわちおはようという言葉を送らせてもらおう」

「ああ、おはようございます。中村さん」

「うむ。少年も見ない間に随分と成長したものだな。私はこれから仕事に出向く。健やかな青春を楽しむといい!さらばだ!」

そう言って中村さんは都内の方へと消えていった。

「今のはだあれ?」

「中村さんか?あんなんでも航空機の開発、及び操縦の仕事をしてる会社の社長らしいぜ」

中村さんは五年ほど前に立ち上げた航空会社「フレイヴ」の社長だ。まだ若いが社長自らの航空ショーや社員が優秀らしく勢力を上げてきてる企業だ。

フレイヴには俺の親の企業ラグナルクも協力している。一度フレイヴに見学した時になんか気に入られたのか仲良くさせてもらっている。

「なんか変わった人っすよね。悪い人ではないっぽいっすが」

正直村田さんも結構変わってると思うが気にしてはならない。気にするな、気にするな、忍者のくせに朝っぱらからハンバーガー食ってようが気にするな・・・。

「ん?時之殿もいるっすか?ハンバーガー?」

「いえ、結構です」

この人の忍者詐欺は今に始まったことではない。忍者のくせに伊賀か甲賀なのかはっきりしないし、幻術や妖術と言った術も使えないし、刀じゃなくてナイフ使うし、「イヤーッ!」とか「グワーッ!」とかも言わない。

「あんた本当に忍者か?忍びを名乗るならもう少し忍びらしいことをだなぁ・・・」

「じゃあ逆に聞きますけど忍びっぽいことって何っすか?」

「そりゃあ・・・なんだろ」

言って見た俺の方が逆に困惑した。忍びらしいこととは具体的にどういう事なのか、という疑問はある意味難しい。

「大丈夫っす。自分は時之殿の見てないところでコツコツと色々頑張ってるっす」

「本当かねぇ」

「本当っす」

そう言われて俺はそれ以上の追及をやめた。これ以上は踏み込んではいけないような気がしたからだ。





そんな話をしていたら既に聖城学園の正門前に着いた。しかし校門は空いていなかった、と言うよりは入れないと言う方が正しい。学園の敷地には不審者の侵入を防ぐ為の巨大なバリアが張られていた。本来なら明日生徒手帳が配られ身分証明が出来て、バリアを無効化することができるのだか・・・

「やはり中学の時の手帳じゃダメか?」

「どーする?空飛んで超えちゃう?」

「やめと・・・

け、と言う前に桃花は自分の得意の風魔法を使って空を飛んだ。飛ぶというよりはジャンプしたという方が正しいだろうか。約十メートルほど行ったが、半透明のドーム状のバリアの壁が桃花を阻み、バランスを崩した。

「ひゃああ!」

「全く・・・よっと」

落下してきた桃花を受け止める。お姫様抱っこに近い形になったが、落下の衝撃で俺も態勢を崩しその場に尻餅を着く。

「大丈夫か?」

「うーん、いけると思ったんだけどな〜」

せっかく人が心配してやってるというのに気にもしない。が、そこまで珍しいことではなかったので気にすることはなかった。

桃花は元気よく立ち上がりバリア相手に軽くパンチをかましている。

さて、どうしたものか・・・

「村田さん?なんか・・・あれ?凛樹?」

俺は後ろにいたはずの村田さんに話そうとしたが姿を消していた。その代わり幼馴染で兄貴分の月村凛樹がいた。

「朝っぱらから何やってんだ?お前ら?」

凛樹はまたいつもの事かというように呆れながら見ていたようだ。彼はこれから野球部の部活のようだ。ユニホームを着込んでいる。しかし彼は俺たちと同じ人ではない。いわゆる獣人で顔がジャガーで、首が太くて、しかし脚は長くて、ちょっとずんぐりむっくりな感じはなく大柄で頑丈な体つきが見て取れる。

しかしどちらかといえば人の血の方が多いためジャガー特有の木に登ったり水に入って狩りをしたりはしない。


そもそも今の獣人は大抵が頭部のみの変化が多く全身毛皮の獣人は少ない。

そういう系統の獣人は昔起きた戦争で使い古され、死ぬまでこき使われていたようだ。

過去の人達が自分達の手で作り上げた存在をこうも雑に使うとは戦争とは酷なものである。今はそういう人権?問題は解決し、差別というのはない。

どんな生物にも善も悪もある。それは人や獣人という枠組みなど関係なく誰にでもあるものだ。いい獣人、悪い人等様々な善悪の前に種族など些細な問題であろう。

「入学式は明日だぞ?」

「分かってるよ、リハーサルと言う名のフライングだ」

「はっは、なんだそりゃあ?」

「凛樹はこれから部活か?」

「ああ、見ての通りだ。気が向いたら見物にでも来てくれ、じゃあな」

「じゃあねー凛っち」

桃花と共に凛樹を見送った。声が届かなくなる頃に気づいたのだが、凛樹に事情を話して手帳を受け取って貰えよかったと気づいた。しかしもう遅い、やってしまったものは仕方ないと割り切るべきだ。





「あーあ、ここにいてもやる事ないし村田さんもどっか・・・

「呼んだっすか?」

「うおぉぉぉ!?・・・はぁ、ビックリした」

見かけられなかった村田さんがいつのまにか真後ろにいた。何故かちょっと変な匂いをさせながら。

「村田さん?今までどこにいたんすか?」

「いや〜忍者には忍者特有の道ってのがあるっす。その証拠に・・・これ貰ってきたっす」

そう言って出してきたのは二人分の生徒手帳だった。これで校内に入ることが出来るのだが・・・

「一応聞くけどこれ盗んできてないよな?」

「その点は大丈夫っす。ちゃんと真田の旦那から貰ってきたっす」

村田さんが言う真田の旦那とは俺の叔父さんだ。元々はプロのレーサーをやっていたがそっちの成績は散々、姉さんが生まれた辺りから急に教師を目指して今ではベテランの教師としてここにいる。

「そっか、なら問題ないか」

身内とはいえちゃんと許可を得ているのだ、別に問題行動を起こす気は無いのでわだかまりもなく校内に入った。




「村田さん?」

「ああ、自分これから別の仕事あるっす。時之殿は校内を楽しく回るといいっす」

誰かからの電話を受けた村田さんは別件でどこかに行ってしまった。


・・・後に彼の失態が俺の人生を大きく変える事になる事はこの時の俺はまだ、知る由もなかった・・・







ここでは自分、村田が比較的どうでもいい話をするっす

よくゲームとかで強い剣の名前で使われる「デュランダル」ってやつっす。

あれはフランスのとある叙事詩の英雄が持っていた聖剣っす。

OK、BOSS

別名不滅の刃、物語の途中デュランダルが敵に奪われそうになった時、岩に叩きつけた時岩を真っ二つに叩き切った伝説があるっす。

ゲームとかでは何か炎の剣扱いが多いっすね。でも自分はレーヴァテイン派っす

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