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『ラナの町』


――ラナの町、入り口前


俺達は森を抜けてから一時間ほど歩き、ラナという名前の町までやってきていた。


「やっと着いたか・・・近いとか言いながら全然近くなかったと思うんだけど」


「詳しい距離までは書いておらんからの・・・」


まあ、ちらっと地図を見せてもらった限りだと地球のみたいな精巧な地図ではなく、大雑把に位置関係が記してあるだけの地図だったから仕方ないっちゃ仕方ないんだが。


「で、さっきからめっちゃ見られてるわけだが」


――そう、見られているのだ。兵士の格好をしたおっさんに、めちゃくちゃ不審そうな目で。

高さが四メートル程のアーチ状の門から、少し離れた場所に俺達は立っているんだが、開いた門の内側からおっさんが訝しげな表情でこっちを見ているのだ。


気持ちは分からないでもない、町の安全を守る警備の人から見たら、門の前で何かしゃべってる英国紳士風(異世界に英国紳士がいるのかは知らないが)の男と、頭から足先まで真っ白な少女なんていう怪しい二人組みだからな。俺があのおっさんの立場でも同じような表情になると思う。


「なんか怪しまれてるし、行くか・・・」


「そうじゃの」


「すいませーん!」


歩みを進め、門のところにいる兵士のおっさんに手を振りながら声をかける。

今おっさんビクッてしたな、急に声をかけられたから驚いたのか?


「えっと、町に入りたいんだけど」


「・・・身分証はあるか?」


おっさんにそう聞かれ固まる。身分証が必要なのかよ・・・


「持ってないんだけど・・・それがないと入れないのか?」


「一人三千ディールで作ることもできるが、先の魔族との戦争で警戒を強くしていてな。身元の不確かな者を濫りに入れることは出来ないんだ」


お金の単位はディールなのか、一ディール何円くらいだろうか。また調べることが増えたな・・・物価とかはお嬢様っぽいアイネは詳しくなさそうだし、店で買い物をすればいいか。


「身分証とやらがないと入れぬのか?」


「そうみたいだな・・・」


マジか・・・魔族のせいで俺の異世界ライフがいきなり躓きそうなんだが。

何か言い訳を・・・お、あれでいいんじゃないか?


(なあ、お前お金持ってるか?)


(む?まあ支度金としていくらかは貰っておるが・・・)


(よし、じゃあ後はまかせとけ)


「あー実は俺達、別の大陸から来たんだよ。それで町に入るのに身分証が必要なんて知らなくてさ、なんとかならないかな?」


この設定はここに来る途中、アイネに別大陸の出身なのかと聞かれたことで思いついたものだった。


俺の持っていた魔法瓶の水筒とポーチを見てそう考えたんだと思うが、別の世界だとかゲームだとか言っても頭がおかしいと思われるだけだろうし、適当にそんなところだと言っておいた。

誰かに聞かれたときに便利な設定としてこの先も使いそうだし、ここで使っておくのはいい選択だろう。


「別の大陸ねえ・・・何か証拠でもあるのか?」


「ああ、まずはこれを見てくれ」


そう言って腰のポーチから水筒を取り出す。


「これは俺の住んでた所で作られてる水筒なんだが、ちょっと手を出してくれ」


「・・・こうか?」


水筒の蓋を開け、中の水をおっさんの手にかける。


「なっ!冷たい!?」


おっさんは水の冷たさに驚いたようだ。やはり少なくともこの大陸には魔法瓶なんてものは存在しないらしい。

ちなみにだがこの水筒、中身が減らない。正確には外に出している状態だと減った水はそのままなのだが、ポーチに戻してから再度取り出すと水の量が戻っているのだ。

ゲームだとそれが普通だったが、異世界でも同じ事が起きている理由は分からない。


「これは俺の故郷で作られていた飲み物を冷たいまま、温かいままで持ち運べる水筒なんだが、こんなのをこっちで見たことがあるか?」


「・・・いや、そんな水筒を見たことはないな」


「そして、さらにだ」


「まだあるのか・・・!?」


「この水筒が入っていたのはこの手のひらサイズのカバンなんだよ」


俺は追撃とばかりにポーチを見せ付ける。


「まさか、こんな小さな物に入るわけが・・・」


「そのまさかなんだよ」


だんだん面白くなってきたな、このおっさんノリ良すぎるだろ。だがその方が好都合だ、今から出す物を見たらきっとさらに驚くことだろう。

・・・・・・おいアイネ、何故お前まで目をキラキラさせてこっちを見てるんだ?


「ちょっとデカイ物をだすから少しだけ場所を空けてくれ」


「ああ・・・」


その場にいる全員が後ろに下がったところでポーチに手を入れ、それ(・・)を掴み一気に引っ張り出す!


「な!?これは、カッターベアーか!?」


ズシリと音を立てて俺達の目の前に置かれたのは、ここに来る前にもり森で倒した熊の死体だ。

ふふふ、驚いてる驚いてる。これだけインパクトのあるものを見せれば別の大陸から来たということを信じるだろう。


「このカバンはこんな大きなものまで入れられる、魔法のカバンなんだぜ!」


「これはお前さんが倒したのか!」


「おう、それで・・・俺達が別の大陸から来たって信じてくれたか?」


「そんなことはどうでもいい!本当にお前さんがこのカッターベアーを倒したんだな!?」


おっさんが掴みかかる勢いで聞いてくる。


「な、なんだよ急に。そうだけど、それがどうかしたのか?」


「そうか・・・おーい!領主様に例のヤツを倒した者がいると伝えてきてくれー!」


「・・・え、何?俺なんかやらかしちゃったの?」


領主って何?俺偉い人のとこに突き出されちゃうのか?

もしかしてこの熊、殺しちゃいけない絶滅危惧種的なやつだったとか?


「すまんが、お前さん達は詰め所で待っていてもらえるか?すぐそこだからついてきてくれ」


「アイネ、俺達の旅はここで終わりかもしれない・・・」


「何を言うとるんじゃお主は・・・町に入れそうなんじゃから問題なかろう?」


これから起こるであろう事に憂鬱しか感じない俺と違い、いたって平気そうな様子のアイネ。

はっ!こいつまさか熊殺しの罪を俺に擦り付けて、自分だけ逃げようとしているんじゃ・・・確かに殺したのは俺だけど、そもそもお前が連れてきて仕方なくヤっちゃったんだからね!?


「はあ・・・どうか死刑とかにだけはなりませんように」


そんな淡い期待をしながら、俺は記念すべき異世界で最初の町の門をくぐるのだった。







―――――――――――








「いやー俺の勘違いで良かった!」


俺は数十分前の憂鬱な気分が嘘のように、晴れ晴れとした気分で町を歩いていた。

てっきり犯罪者として捕まえられると思い、絶望しながら詰め所から馬車で領主の住む館へと連れて行かたのだが・・・


なんと俺が倒した熊が実はあの森一帯を荒らしていた特別討伐対象とやらで、それを討伐した者に報奨金を与えることになっている、という話をされたのだった。その時に身分証の話をしたのだが、熊を倒したお礼として無料で作ってもらえる事になった。

そして俺達はその報奨金の受け取りと、熊の売却の為に冒険者ギルドに向かっている所なのである。


ちなみに、この町の領主は良い人そうな普通のおっさんだった。


「だから大丈夫だと言ったじゃろう」


「しょうがないだろ、領主のとこに連れてかれる経験なんて無かったんだから」


普通は偉い人の呼び出しなんて、良くない事を連想してしまうだろう。学校や会社で先生とか社長とかに呼び出される時は大抵ロクな事ではないのだ。


「その話はとりあえずいいだろ、っと・・・ここみたいだな」


「そのようじゃの」


領主のおっさんに教えられた場所に着くと、そこにあったのはデカデカとした読めない文字の書いてある、大きな剣の模型が看板として付いている建物だった。


文字、読めないんだよなぁ・・・

この看板にはたぶん冒険者ギルドとか書いてあるんだろうけど、アイネの持ってる地図の文字も読めなかったし。なぜか言葉は通じるのにな、異世界だからそういうものなんだと思うことにするけど。

『異世界だから』って、便利な言葉だよな。


「そんじゃ入るか」


俺達が建物の中に入って見たのは、銀行や空港にある受付窓口のようなものが三つ並んだカウンターと、その横にこれまた読めない文字の書かれた、A4サイズ程の紙がたくさん貼ってある掲示板やテーブルと机の置かれた、そこそこの広さがある空間だった。

そこはどの依頼を受けるか相談でもしているのか、いかにも冒険者ですって感じの格好をした人達で賑わっていた。


「中までそれっぽいな」


「おお、これが冒険者ギルドというものなんじゃのう」


アイネが物珍しそうに辺りを見回す。

お嬢様みたいなこいつには縁がなさそうな場所だもんな、そりゃ珍しいか。それに、何か冒険者に思い入れがあるっぽかったしな。


「観察するのもいいけど、とりあえず受付に行こうぜ」


「うむ」


俺はアイネを促し、受付へと向かう。

受付に着くまでの間・・・というか着いてもだが、周りにいる冒険者達にめちゃくちゃ見られている。

見たこと無い二人組みが入ってきたんだから、そりゃまあ見るだろうが・・・ガン見しすぎだ、もうちょっと抑え気味にできないのか。


特にアイネへの視線が多い気がする。気持ちは分かるぞ、全身真っ白でただでさえ目立つ上に美少女だもんな。でも信じられるか?こいつ数時間前は鼻水垂らしながらすごい形相で熊から逃げてたんだぜ?


「すいません、領主様からここで報奨金の受け取りと熊・・・じゃなくて、カッターベアーの売却をしてくれって言われて来たんだけど」


向けられる視線を極力無視しながら、カウンターの真ん中に座っている、後ろでお団子に纏めた、七三分けのお姉さんに声をかける。


両サイドは男の職員だ、別にお姉さんだったから真ん中にした訳ではなく、真っ直ぐ歩いたら真ん中の受付だっただけで他意はない。ないったらないのだ。


「はい、伺っております。ナギサさんとアイネイアスさんですね?」


「おう」


「そうじゃ」


「ではまず、こちらが報奨金の五十万ディールとなりますので、ご確認をお願いします」


そう言ってお姉さんがカウンターの下から布袋を取り出し、カウンターの上に置く。

ここに来る途中露店とかを見たりしたけど、物価は元の世界とそんなに変わらない感じだったから、約五十万円くらいってことか。


布袋の紐を緩めて中身を確認すると、金色に輝く、城っぽい模様の描かれた硬貨が五十枚入っていた。

五十万ってことはこの金貨一枚で一万ディールってことだろう。


「持ち運ばない分は当ギルドで預かることもできますが、いかが致しますか?」


「いや、このまま貰っておくよ」


銀行的なシステムなんだろうが、ポーチのある俺には必要ない。皮袋をそのままポーチに収めると、周りの冒険者達がざわざわしだした。お姉さんもちょっと驚いたようだが、ほとんど表情を変えない辺り経験豊富な受付って感じがする。


「五十万とはなかなか太っ腹じゃのう」


「やっぱり結構高いのか?」


「カッターベアー自体は珍しい種ではないからの、ナギサの倒した個体は聞いていたよりも大きかったようじゃが」


「はい、森を荒らしていた個体は通常よりも大きく、また比較的安全である森に探索に行った新人の冒険者がそのカッターベアーに襲われるという被害が多発した為、五十万という報奨金がかけられる事になりました」


「なるほど・・・」


魔獣とかいうくらいだからあれで普通サイズなんだと思ってたけど、普通より大きかったのかよ。


「次にカッターベアーの素材ですが、門の前に置かれたものを既に解体場に運び、査定が済んでおります。素材が必要でしたらギルド横の解体場で引き取りをお願いします。必要な素材以外は全て買い取らせていただきますので、引き取りの時に代金の受け取りをお願いします」


「んー、素材はいらないから全部お金に変えて貰えると嬉しいんだけど」


「分かりました、少々お待ちください」


お姉さんが席を立って、奥で金属製の金庫みたいなのを開けて、布袋に金貨を入れて戻ってくる。


「こちらがカッターベアーの素材代、二十万ディールになります」


「こっちも結構するんだな」


「内訳は爪が十万、肉と毛皮がそれぞれ五万となっております。毛皮の方は傷が多数見受けられましたので、申し訳ありませんが多少値が下がった価格となりました」


まあかなりの回数レイピアを突き刺したもんなぁ、それでも倒れなかった熊はバケモノだな。

しかし、異世界に来てからいきなり約七十万円も手に入るなんて、かなり幸先の良いスタートが切れたな。


「爪は良質な武器にもなるのに売ってしまってよかったのかの?」


「ああ、別に武器には困ってないしな」


武器なら今装備しているレイピア以外にもまだポーチの中に入っているからな、この世界で良い武器があればその時に買うかもしれないが、今特別に必要になることはないだろう。


「ふむ、ナギサの持っておる武器はなかなか良いもののようじゃしの」


「分かるのか?」


「いや、剣の事はよう分からん。なんとなく言ってみただけじゃ!」


「おい」


変なところでボケかましてくるんじゃねえよ、ツッコミ辛いだろうが。


まあ、アイネの言ってることは当たってるんだろうけどな、このレイピアはあのゲームでは最高レアリティ一歩手前の武器だったからな。

残念ながら俺は最高レアのレイピアを手に入れることは出来なかったが、見た目も気に入ってるしこいつで満足している。


そんなやり取りをしている間に、お姉さんが今度はスマホくらいのサイズのカードのようなものを二つ取り出して、目の前に置いてきた。


「あと、お二人は冒険者になる予定との事でしたのでこちらでギルド証を用意しておきました」


「受付のお姉さん優秀すぎるだろ・・・」


「恐縮です」


相変わらず表情を変えないお姉さん。メガネをかけてたらクイッてする仕草が似合いそうだ。

領主のおっさんに冒険者なのかと聞かれた時に、これからなるつもりだと答えたんだが、まさかもう用意してあるとは思わなかった。


「おお!これがあれば妾も晴れて冒険者というわけじゃの」


なんとなくそんな気はしていたがアイネも冒険者になるつもりだったらしい。

熊から逃げてたのに大丈夫なのかと思ったが、戦うのだけが冒険者ではないし、魔法さえ使えればなんとかなるというのが本人の談だ。

そういえば攻撃魔法が使えるとか言ってたし、魔法を撃つ隙さえあれば大丈夫なんだろう。


「このギルド証があればどの冒険者ギルドでも依頼が受けられますし、他の町に入る際の身分証の代わりにもなります。受けられる依頼にはA~Fまでのランク制限があり、ランクが高い依頼ほど危険度、難易度も高いものになりますのでご注意ください」


「なるほど、最初はランクEしか受けられないってことでいいのか?」


「通常ですとそうなります、ですが今回は異常種のカッターベアーを討伐されたということで、特別措置としてお二人ともに通常のカッターベアー討伐依頼が受けられる、Dランクからの開始とさせていただきました」


おっ、なんかテンプレっぽい展開だ。最低ランクで薬草採取とかは面倒くさいしありがたいな。


「妾は何もしてないんじゃが、よいのかのう・・・」


「せっかく用意してくれたんだし良いんじゃないか、魔法が撃てれば熊くらい倒せるんだろ?」


「それはそうじゃが・・・」


「ランクはあくまで目安なので、自分のランクより低いランクの依頼を受けても、ペナルティ等はありませんのでご安心ください」


「別に困ることもないんだし遠慮せず貰っとけ」


「うむ・・・そうじゃの」


自分は何もしていないからと遠慮するアイネだったが、お姉さんと俺の言葉で受け取ることを決めたようだ。


「ただ、Aランクになりますとギルドに貼りだされる依頼とは別に、依頼主から直接依頼を受ける指名依頼が発生することがあります。こちらは報酬が高く危険度、難易度もそれに応じたものになっています。断ることもできますが、あまりに拒否が多い場合ランクを下げられますのでお気をつけください」


「あーそういうのがあるんだな、それって報酬以外にメリットってあるのか?」


「Aランクの冒険者のみ宿や食堂等、無料で利用できる施設がいくつかございます」


「へえ、無料で使えるのはいいな」


危険な依頼を受ける代わりに高額な報酬とタダで寝食できる権利か・・・

やれそうなら狙ってみるのもいいかもな。内容がやばそうなら断れるみたいだし、ランクが下がるのは痛いが、変に踏み込んで取り返しのつかないことになるよりはマシだ。


「では、冒険者ギルドの説明は以上となります。他に質問などがあれば伺いますが」


「そうだな・・・アイネは何か聞きたいことあるか?」


「妾は特にないかのう」


「そっか、じゃあ俺から何個か聞きたいんだけど・・・」


それからいくつかお姉さんに質問をして、冒険者ギルドの説明は終わった。


「ありがとう、明日にでも依頼を受けに来ると思うからその時はよろしく」


「はい、またのお越しをお待ちしております」


「世話になったの」


お姉さんにお礼を言ってギルドを出ようと出入り口に向かっていたのだが・・・


「あんちゃん、ちょっと待ちな」


「ん?俺か?」


「む、何じゃ?」


突然その場にいた冒険者らしき男に声をかけられる。


「おう、アンタだ」


「何か用か?」


その男は金属でできた軽装の装備を着込み、背中に両手斧を背負った、ガタイのいいスキンヘッドのおっさんだった。

・・・今のところ異世界に来てから知り合った人の五分の三がおっさんなのが悲しい。


もしかしてこれはあれか?『兄ちゃん随分と羽振りがいいじゃねえか、金が余ってんなら俺に恵んでくれよ』てっやつか、もしくは『お嬢ちゃん、そんなヒョロっこい男より俺と楽しいことしようぜ』みたいなやつなのか?


「あんちゃんが本当にあのカッターベアーをやったのか?」


「そうだな」


何だ?『あいつは俺がやるはずだったのに横取りしてんじゃねえ』ってことか?あと顔が怖いんだけど。


「そうか!いやーありがとなあんちゃん!」


「は?」


「いや、あのカッターベアーを倒したやつがいるって聞いて一言礼を言いたかったんだが、まさかあんちゃんみたいな奴とは思わなくてなぁ!あいつをやっちまうなんてそれこそ熊みてえな奴を想像してたんだがな」


「お、おう」


あんたも十分熊みたいだよ。

このおっさんお礼が言いたかったのかよ、紛らわしい見た目しやがって。


「あのカッターベアーのせいで若えのが何人もやられちまって俺達も困っててな、あいつを倒してくれて皆感謝してんだよ」


「そうなのか、まあそれなら良かったよ」


「ああ、本当にありがとな!そっちの嬢ちゃんはあんちゃんの連れだろ?嬢ちゃんもありがとな!しかし嬢ちゃんは将来別嬪になるだろうな!あんちゃんも隅に置けねえなあ!はっはっは!」


「う、うむ。ど、どういたしまして?」


おっさんのテンションが高すぎてついていけねえよ。

アイネなんて目を白黒させてるぞ。


「あんたらは冒険者になったばっかりなんだろ?冒険者として分からないことがあったら、俺に聞いてくれれば大体のことは教えられるぞ、これでも冒険者暦は十年になるからな!」


「へえ、ベテランなんだな」


「おうよ!といってもランクは未だにCなんだけどな!はっはっは!」


こんな強面のおっさんでもCなのか・・・Bランクからは敷居が高くなってるのかね。


「なら、せっかくだしいろいろと聞かせてもらおうかな。明日からこの町で依頼を受けるつもりだから、その時にでも良かったら冒険者に必要な事とか教えてくれよ」


「明日だな、まかせときな!」


「じゃあ、また明日よろしく」


「おう!じゃあなあんちゃん!嬢ちゃんもな!」


「ま、またの」


俺達はおっさんと別れてギルドの外に出る。


「なんというか、すごかったのう・・・」


「そうだな・・・まあ悪い人じゃなさそうだし、明日世話になるだろうから早く慣れないとな・・・」


今日会った中でナンバーワンで濃い人間だった。アイネと出会った時よりも衝撃は大きかったかもしれない。


「気を取り直して、教えてもらった宿に行くとしますか」


今日はとりあえず、受付のお姉さんに教えてもらった【火竜の宿】というところに泊まることにした。なぜ火竜の宿という名前なのかというと、この町の宿は価格の高い順に、火竜、グリフィン、カッターベアー、コボルト、ゴブリンの名前を付けているらしい。


そして、浴室を完備しているのが火竜の宿だけだったのだ。日本に住んでた俺としては旅で野宿する時ならまだしも、宿があるのに風呂に入れないのは考えられなかったので、一泊一万ディールと割高ではあるがそこに泊まることに決めた。


「妾は安宿というものに興味があったんじゃが・・・」


「お前だけそこに泊まるんなら別に止めないけど、火竜の宿以外は風呂がないから俺は嫌だぞ?」


「むう、妾も汗はちゃんと洗い流したいのじゃ」


「アイネもちゃんと女の子なんだな」


「当たり前じゃ!お主は妾を何だと思うとるんじゃ」


安宿に興味があるのは仕方ないが、アイネみたいな女の子なら風呂なしはNGだろう。冒険者をする以上、風呂に入れないことは普通にあるんだろうが、町にいるときくらいは体を綺麗にしておきたいはずだ。


「冗談だよ、アイネは可愛い可愛い女の子だもんな」


「ぐぬぬ・・・」


アイネをからかったり、露店を冷やかしたりしながら、俺達は宿へと向かうのだった――





今回も説明回でした、次からはまた戦闘とかを入れていく予定です。

まだ全然そんな気配はありませんがちゃんとタイトル回収はします。あと何話後になるかは分かりませんが・・・_(:3 」∠ )_

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