表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/18

2:天柄・盾とジルコニア

 数字が若くなったことを気にしないで下さい。各物語は独立していますので。

2


 ――盾お兄ちゃん、雲のつみきって知ってる?

 朝が来て間のない、クリームブルーの空の下。森の香りをやわらかく薫らせる丸太の長椅子。朝霧にしっとりとした緑のカーペット、その下地は土色。

 涼しい風の中に二人の少年と少女。

 少女のくるりと円らな色素の薄い目が少年を見上げている。

 ――白くて、ふわふわしていて、息で吹くと飛んでいくんだよ。

 十歳と少しの少女から八つ年の離れた少年、大人と子どもの境にある少年の名前は天柄・盾という。

 先程からしきりと話しかけ、しかし返答の得られていない少女の名はジルコニア。(あざな)で、本名は何人として知らない。

 ジルコニアの熱のこもった視線から逃げ、盾は丸太に両手をついて身体を指示する姿勢で青空を見る。

 ――浮かぶ雲が積木になんのかよ。

 長い時間をかけて、ようやく得られた返答にジルコニアは嘲笑うように顔を歪めた。


 A――――


 不意に響く440ヘルツの調律音が盾を彼女の方へ振り向かせた。

 ――なら、見せてあげるわ。世界を作る為の、無数にある内の、一つのつみきを。

 少女の声はそのまま、口調だけが一変したジルコニアが輪琴――竪琴のフレームに弦ではなく一枚の円盤がはめられた楽器――を奏でた。


 旋律は、旋回し空と風に舞う。白くも黒くもなり、染みいるように、浸食するように青空に響く。

 しっかりとした形はない。しかしそこにあって、自然に消えることがない。

 一つの音がいつまでも消えることなく、ひっそりと重なり続ける。

 積まれ続ける。

 ハーモニーのつみき。


 諧調の上につみきはあり、諧調が解ければ風の中に落ちていった。


 ――知ってる? 空の風は一つじゃないこと。空の高さに従って、幾重にも積み重ねられて、蒼穹というハーモニーを奏で続けていること。

本当にルビが出来るんですね。ここのシステムは素晴らしいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ