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6:楓・晦

6


ぽちょん――


鉱石のような、硬質の、小鳥の姿が鮮明に映る鏡のような水面。そこに起こる円形波。


とぽん――


水切り面で上下に浮き沈みする半球型のつみき。何度も、幾度も、戯れる子ども。そして水底に至る。


孔雀石のような梅の実が転がる僕の庭。まんまるの池に僕はつみきする。

これは、世界という大きなつみきの欠片。

そう言う物はいっぱい道ばたにもあるけれど、この手に取るのは、この心と響いて、この目に見えた欠片のつみきだけ。

それを池の水面の上に積む。本当に、つみきはポクポクとはすぐに水に沈まない。いつも、しばしの間考えるように水面の上に留まり、それから、名残惜しそうに浮き沈みしながら落ちていく。

それを独りで観察する。それが僕の遊び。


ここは何処にもない場所、僕だけの場所――


はじめ、この池の水は透き通っていた。形もなく積み重なったつみき達の、形を無くして溜まった土のくぼみ。ガラスのように、土の色だけ透かせていた。

やがて、この水は色を持った。ある時は群青、ある時は鬱金。春の雨の日に紫陽花色になったこともあって、雪の花が水面を揺らす日に真紅になっていたこともあった。

それから――濁りはじめた。

深みの知れない玉髄のような池。心惹かれるものがなかったわけではないけど、好きになれなかった。


――


水に沈んで見えなくなったものみたいに、そこには不意に行けなくなった。

あの場所が世界の中に沈んでしまったのか、僕が十歳を過ぎたように時の中に沈んでしまったのか、どちらかはわからないけれど。

あの頃は独りだったけど、いまは姉さんがいる。姉さんの「気持ち」の中に沈んでいるのなら、僕が悔やむことは何もない。


霧の中、錐揉みして、綺麗さっぱり、消えた、昨日かそれより前――

長編を書く気合いもなく、中途半端な熱情だけもてあました挙げ句に、行き帰りの電車の中で書き始めたものです。

お気に障ったのなら申し訳ありません。

お気に召したのなら踊って差し上げます。

もう少し書こうと思うのでとりあえず連載という形にしました。期待しないで待ってみてください。

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