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おカーちゃん、おカーちゃん

作者: ミッキー

子供は時として大人を震え上がらせます。

子供の恐怖と大人の恐怖は別の所に有るのでしょうか…

おカーちゃん、おカーちゃん!あんまり、お喋りしてくれなくなったけど おカーちゃんのこと大好きだよ!!



私は女手一つで小学一年生の娘を育ててるシングルマザー。

夫とは離婚した、娘は元気で良い子なのだが 普通の子とは違い少し変わっていた。



見えないものが視える、、映画で言うシックスセンスだ


しかし、まだこの時の私は想像力の豊かな子なんだと思っていた。




おカーちゃん!はやくー!はやくー!



幸子、ちゃんと靴下履いて来なさい?片方しか履いてないでしょ



今日は近所のお寺にある大きな桜の下で娘と2人 お花見をする約束をしていた

その日はよく晴れ 絶好のお花見日和、私は娘と手を繋ぎお寺に向かった。



おカーちゃん、桜おっきいね!

うわぁー!オニギリも桜色だ!



娘ははしゃいでいたが 私は日頃からの仕事の疲れでシートの上で知らない間に眠ってしまっていた。




おカーちゃん、帰ろう、、?



娘に起こされ帰ろうとすると娘が何か小さな黒いタンスみたいなものを持っているではないか、

私はそれを捨ててくるように言ったが

頑なに持って帰ると駄々を捏ねられ仕方なく持って帰る事にした。



暫くすると娘がその小箪笥こだんすを見せに来た。



おカーちゃん!中に妖精さんがいた!妖精さん!




また娘の空想だと思った私は口裏を合わせてあげようと おもむろに小箪笥の中を覗きこんだ。



私は悲鳴をあげた、中には羽根の生えた昆虫の身体に人間の頭がある 奇妙な生き物がいたのだ



すぐさま娘から小箪笥を奪い取ると近くの川まで走り投げ捨てた


あれは何だったんだろう、、、そんなことを考えながら家に帰ると娘が泣ながら怒っていた


妖精を逃がした事に腹を立てているのだろう、娘をなだめてその日は眠りについた



ヴヴヴヴヴゥ、ヴヴヴヴヴゥ!




寝ていると携帯のバイブ音と同時に着信音が鳴り響いた、見ると母からだ、朝からなんだと思い電話にでた




恵子かい、、、父ちゃんが死んだよ、、、



予期せぬ言葉に気が動転し跳ね起きた

そんな馬鹿な、ついこの間には元気に幸子と遊んでいたのに、、、

嘘だ!夢?

次第に冷静さが戻り勇気をだし母に詳しく事情を聞いた




川に落ちて溺死したらしい、、、




嫌な思いが頭を過ぎった、それは妖精、、私が川に捨てた…

しかし、そんなはずは無い 自分にそう言い聞かせた



私は朝一で会社に連絡し休む事を伝え、葬儀屋に連絡した。

泣く暇もなく忙しく動いていた、娘にもおじいちゃんが亡くなった事を話、2人で実家に向かった



実家に着き仏様となった父を見た瞬間いろんな思いが溢れだし、子供のように大声で泣きじゃくった。




おカーちゃん、おカーちゃん、、




娘が呼んでる、そうだ私は母親なんだ娘を不安にしてどうする?

そう思った次の瞬間、娘の言葉に凍りついた




おカーちゃんが悪いんだよ。




自分の耳を疑ったが確かにそれは娘の口から発せられた言葉


私はその場で気を失った。



目が覚めると母親に看病されていた



あんた急に倒れるんだものビックリして心臓が止まるかと思ったよ、、、



お母さん、ありがと 、、娘は?




居間でテレビ見てるよ、あんたまで倒れたらしょうがないよ?

仕事で無理しないで休みも取りなさい?




うん、、、


母のいう事も上の空に娘の言葉が夢かどうかを考えていた




2週間が過ぎ日常生活に戻ろうとしていた。



娘との関係もいつも通りに戻り、三時のオヤツを娘の部屋に運びに行くと 娘がヒョイと何か隠した



さっちゃん、何隠したの〜?



私の穏やかだった顔が強張った、チラッと黒い小箱らしい物が目に入ったからだ



さっちゃん、出しなさい。



娘はイヤイヤをしている




幸子!今すぐ後ろに隠した物を出しなさい‼



頑なに拒否する娘から無理矢理奪った

………あの黒い小箪笥だ…………


あり得ない、川に捨てたのに、気が狂いそうだ


恐る恐る蓋を開けるとそこには羽根の生えた昆虫の身体に父の顔をした生き物がいた

その生き物は身体中から液体を吐き出し死んだ



泣いている娘の手を取り急いで この小箪笥を拾った寺にいった

お寺の住職さんに話をし小箪笥の中身も見て貰った



ふむ、御宅はコレを川に捨て殺したと、、、コレはくだんの一種で人にこれから来る災を教えそれから逃れる方法を教え死んで行くという奇物


だが御宅は予言を聞く前に殺してしまったと、、困りましたな私にも此ればかりはどおにも…




そんなぁ…




…んん、まぁ供養はしましょう。


そう言うと住職は小箪笥を火にくめ供養をし出した、私と娘も手を合わせて供養できるよう祈った



おカーちゃん、もう大丈夫だよ!




娘の、なんの根拠もない言葉に安緖し帰り道、手を繋ぎながら帰った




暫くして小箪笥の事も忘れかけて来た頃 私を不幸のどん底に落とす電話がかかって来た

それは会社で働いていた時だった




おーい、◯◯!電話だぞ!



上司に呼ばれた私は受話器をとると、、



おい、大丈夫か?警察からだぞ?



警察?



警察にお世話になる事など何もないと思いつつ電話にでた。




あ、◯◯恵子さん?××××さんは貴方の前夫ですよね?



えぇ夫が何か?




あの、言いずらいんですが火事で××さん焼死しまして、それでですね、一応◯◯さんにも事情聴取を、、、


私は全てを聞く前に受話器を置いた

頭に過ぎったのは娘の顔

娘が危ない そう感じた私は会社を飛び出し家に帰った




さっちゃん!


さっちゃん‼何処にいるの‼でできて‼



何処を捜しても見つからない、焦りと不安が胸を刺した



さっちゃん!



家を飛び出し近所を捜した、もう下校時刻だ 通学路を血まなこで捜した

すると線路の近くにランドセルを背負った女の子がいる

間違えない幸子だ



幸子!幸子‼こっちに来なさい‼




おカーちゃん!おトーちゃんが呼んでるの!おトーちゃんだ!!



カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン


電車が来る




ダメ!幸子こっちに来なさい‼


さちこおおおおぉぉぉぉ!!!!




【お葬式会場】



全くこんな事になるなんて、可哀想ねぇ



本当、こうも立て続けに亡くなるなんて、、




さっちゃん、




あっ、叔母ちゃん!



いい?さっちゃん、困った事があったら叔母ちゃんを頼りなさい?

お母さんが亡くなって寂しいと思うけどお婆ちゃんも叔母ちゃんもさっちゃんのそばにいるからね。




うん!でも寂しくないよ、だっておカーちゃんココにいるもん!




何だい?その小箱は、、、、、



パカッ


パタパタパタパタパタパタパタ


母「………………………………」



fin




この後、少女の周りのはどうなったかは分かりません。

ただ、恐怖は思ってしまう者に訪れるものかも知れません。

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