~第2話~
2時間目が始まった。
ノートを開いて、文字を描き込もうと思ったが、あることに気づいた。
「・・・あっ!消しゴム忘れた。ど、どうしよ~」
僕は筆箱をひっくり返しながら独り言を呟いた。
アレがないとノートに落書きできないよ~。
「どうしたの?」
川下さんは静かに聞いてきた。
「消しゴム忘れた…。」
「はい。私の使って。ってか2つあげる。」
「あ、ありがとう。」
借りたものなら無駄遣いできないけど、貰うんだったらいつもどうり使っても問題ないよね?
「消しゴムは返さなくていいからね☆」
「う、うん。」
「…で…。では、川下さん、1年の復習です。花火を打ち上げました。私は1、7㎞離れたところに居ます。私に打ち上げた音が聞こえるのは、何秒後でしょうか。」
「え、え~と、5秒後です、か?」
おぉぉぉぉぉ!!!!と歓声が上がっている。
そんな歓声を上げるほどの問題ではない気がするんだけどな・・・。
みんな音の速さを忘れていたようだ。まぁ、生活の中で使う事なんて無いけどね。
…あぁ、暇すぎる。
予習をしていて、もう分かっている。
絵でも描こうかな?
「…では問7の問題を川実君、お願いします。」
カキカキカキ…バッ
僕は持っていたシャーペンを置き、顔を勢いよく上げた。
黒板には問7と書かれた数学の問題がかかれていた。
「あ、え、えーと、x=9です。」
何とか答えることができた。セーフ。
ってか、数学がもう始まってたんだね。数学は4時間目だけど…。
・・・あれ?問題ってフツー黒板に書くっけ?
「川実君、黒板の問題じゃなくて教科書p17の問7ですよ。」
ま・さ・か?はめられた!?
先生はくすくすと笑っている。…なんか悔しい。
僕は急いで教科書を開いた。
「y=5で、x=3です。」
僕は難なく答えた。
すると、川下さんが僕をじっと見つめている。
顔になんか付いてるのかな?
「川実君すごいね。私なんかずっと話聞いてても全く分からなかったのに、川実君は先生の話も聞かずに問題に答えたしね。」
川下さんは驚きながら言った。
「川実君って、頭はいいけど、集中力はないんだね。」
…少し気になる言葉があったけど、気にしない気にしない。
「いやいや、フツーだよ。」
「じゃぁさ、さっきのところ昼休みに教えてよ。いい?」
「うん。いいよ。」
よし。もう一度先生に当てられてもいいように、今度はちゃんと授業を聞くことにしよう。
キーンコーンカーンコーン・・・