~プロローグ~
今日から新学期。
1年生の時はあまり友達ができなかったから、今年はたくさんつくりたいと思う。
僕は少し早く起きて制服に手を通した。
ズボンをはいて、ベルトを締めた。
そのとき妹がドアを思いっきり蹴飛ばして入ってきた。
「おにーちゃーん♪魅那と遊ぼー」
「今は少し忙しいから、学校から帰ってからね。」
「学校から帰ったら塾に行って遊んでくれないくせに。塾が終わってから家に帰っても宿題があって遊んでくれないでしょ?」
「うっ・・・」
ものすごく嫌みっぽく言うから苛立つけど、本当のことだから言い返せない。
「図星でしょ~。今から一緒に遊ぼ~。」
魅那と『お人形さんごっこ』をして遊ぶ羽目になった。
「リリーが、ルナちゃんのお家に遊びに行くよ!・・・ってお兄ちゃん聴いてる?」
「全然。」『バコッ』「あぅっ!み、な・・・」
僕は魅那におなかを思いっきり蹴られた。い、痛い。お兄ちゃんは魅那をそんな子に育てた覚えはないぞ。
「お兄ちゃんに育てられた覚えはないよ。」
「なっ!魅那は心が読めるのか?!」
「んなわけないじゃん。お兄ちゃんはバカ?バカなの?」
「・・・学校にいってきまーす。」
「にげるな~!」
僕は机の上にあった鞄をひったくるようにとり、階段を転がり落ちるように下りた。
1階では母さんが歌を歌いながら朝食を作っていた。
「♪~♪~あっおはよー。ちょうどパンも焼けたよ。」
「いってきま~す!」
「広君ひどい!お母さんがせかっく作った料理を食べず、さらに無視するなんてお母さん悲しいわ・・・。」
この反応メンドイ。まぁいいか。
僕は席についた。
焼いた食パンに蜂蜜を塗ると口へ運んだ。
お、おいしい・・・パンってこんなにおいしかったっけ?
味噌汁を注ぎ、口に流し込む。あぁ絶品だ。
「兄ちゃんみっけっ!」
魅那が叫ぶと同時に、僕は朝食を口に詰め込むと鞄を持ち玄関へ急いだ。
後ろからは魅那が追いかけてきていた。
「いってきまーす。」
「まてー逃げるなー!」
「いってらっしゃーい。気をつけてね。」
僕はドアを勢いよく開け、学校に向かって走り出した。
玄関からは「帰ったら一緒に遊ぼうねー」と、魅那が少し顔を出して叫んでいた。
こうして、昨日までとは少し違った1日が始まった。