ゴミ捨て場の転生王女、姉の身代わりで「血まみれの冷酷皇帝」に嫁ぐ。 ~実家からは「死んでこい」と捨てられましたが、最高のお菓子で餌付けされて幸せです。え、国が滅んで両親は地下水路? ざまぁみろですね~
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
北風が吹きすさぶ王宮の裏手。隙間風だらけのボロ小屋。
ここが、私、ルチアの家だ。
布団なんてものはない。麻袋に藁を詰めただけの寝床で、私は六歳児の小さな体を丸めていた。
「さっむ……。前世のブラック企業のオフィスの方が、空調が効いていただけマシだったわね」
私の名前はルチア。
この国の国王が、専属メイドに手を出して生まれた「不義の子」だ。
母は手切れ金をもらって豪遊し、父は私の存在を記憶から抹消。
私はこの物置小屋で、厨房のおこぼれをもらって生き延びるネグレクト・サバイバル生活中である。
ぐぅぅぅぅ。
盛大に腹の虫が鳴いた。
嘆いている暇はない。私はパンパンと頬を叩き、生きるために厨房へ向かった。
今日も頑張って働こう。私は、生きるための糧をえるため、行動を開始するのだった。
◇
そんなある日、私の平穏なゴミ拾いライフは終わりを告げた。
数年ぶりに、煌びやかな謁見の間へ引きずり出されたのだ。
玉座には父である国王、その横には厚化粧の母がいた。
「ルチアよ。今日からお前は、第一王女マリアンヌとして生きるのだ」
はい?
話を聞けば、隣国の軍事大国「マデューカス帝国」から、和平の証として皇女を差し出せという要求が来たらしい。
相手は「処刑皇帝」と恐れられるアレクシス。
当然、帝国の要求は「世継ぎを産める、年頃の王女」だ。
しかし、本物の第一王女マリアンヌ(一八歳)は「あんな野蛮人のところに行きたくない!」と拒否。国王たちも、手塩にかけた娘を野獣にやりたくない。
「そこで、お前だ」
父がニヤリと下卑た笑みを浮かべる。
「お前を『成長の可能性を秘めた、最も高貴な蕾』という名目で送りつける。向こうは野蛮人だ。幼女こそが至高、という高尚な屁理屈をつけておけば、有り難がって受け取るだろう」
「もしバレて殺されても、お前なら惜しくないしね」
母もケラケラと笑っている。
なんと雑な詭弁。そしてナメきった態度。
大人の女をよこせと言われているのに、六歳児を送りつけるなんて、普通なら戦争待ったなしだ。
要するに、私は「捨て駒」兼「相手への嫌がらせ」として選ばれたわけだ。
だが、私は心の中でガッツポーズを決めた。
(やったぁぁぁぁぁ! この地獄のボロ小屋から脱出できる! 飯が出るなら、相手が野獣でも悪魔でも構わないわ!)
私は目を輝かせ、スカートの裾をつまんでカーテシーを決めた。
「はい、お父様、お母様。喜んで参ります」
二人は「気味の悪いガキだ」と顔をしかめたが、私は気にしない。
さようならクズ親たち。二度と会うことはないでしょう。
◇
数日後。マデューカス帝国の王城。
豪奢なドレス(サイズが合わずブカブカ)を着せられた私は、謁見の間へと通された。
重厚な扉が開くと、そこには噂の「処刑皇帝」が立っていた。
アレクシス皇帝。
身長は二メートル近い。鍛え抜かれた肉体が軍服を張り詰めさせ、銀色の髪は返り血で赤く染まっている。手には血塗れの大剣。
彼は私を見下ろし、眉間に深い皺を刻んだ。
「……おい。王国からの使者よ。これは何の冗談だ?」
地を這うような低い声。
凍えるような青い瞳が、私と、後ろに控える王国の使者を射抜く。
「俺は『妻』をよこせと言ったはずだ。なんでオムツも取れていないような赤ん坊がいる?」
「ひっ……!」
王国の使者が震え上がる。
アレクシスの全身から、殺気がどす黒いオーラとなって噴き出していた。
当然だ。完全にナメられているのだから。
使者が必死に「こ、この姫は『蕾』でありまして、成長すれば絶世の美女に……」と用意された詭弁を口にするが、アレクシスの剣呑な眼光は消えない。
ああ、これは使者が斬られるな。
そう思った瞬間。
ぐぅぅぅぅぅぅぅ〜。
張り詰めた空気を切り裂くように、私の腹の音が盛大に響き渡った。
アレクシスが、ぽかんと口を開けて固まる。
「……あ」
私はぺろりと舌を出した。
「ごめんなさい。ここに来るまで、固いパンしか食べてなくて。陛下、そこにあるお菓子、いい匂いがしますね」
私はアレクシスの殺気などどこ吹く風で、玉座の脇にある供物の果物を指差した。
だって、いい匂いなんだもの。
アレクシスが、信じられないものを見る目で私を見る。
「……お前、俺が怖くないのか? 血まみれだぞ?」
「怖くありません。だってその血、魔獣の血でしょう? 国民を守るために戦ってらしたのですよね。素敵です、陛下」
前世の知識と、厨房での経験があれば一発で分かる。
私はニッコリと、子供らしい満面の笑みを向けた。
「それに、そんなに強くてカッコいい筋肉をしている人が、弱い私をいじめるわけありませんもの!」
アレクシスが、ガクッとのけぞった。
頬が微かに引きつっている。
「き、筋肉……?」
「はい! カチカチで素敵です! 触ってもいいですか?」
私はトテトテと歩み寄り、彼の大腿部にしがみついた。
固い。岩みたいだ。
アレクシスは戸惑ったように剣を下ろし、大きな溜息をついた。
「……毒気が抜かれた。王国の連中はクソだが、このチビは気に入った」
彼は不器用な手つきで、私をひょいと抱き上げた。
高い。視界が一気に変わる。
「おい、厨房へ行くぞ。一番いい肉と、甘い菓子を用意させろ。この『蕾』とやらを、俺が直々に育ててやる」
「わぁ! お肉! 陛下大好き!」
私は彼の首に腕を回してスリスリと頬ずりをする。
アレクシスは「くっ……」と呻きながらも、満更でもなさそうに私の背中をポンポンと叩いた。
◇
それから一ヶ月。
私はアレクシス様の「婚約者(育成枠)」として、彼の膝の上という特等席にいた。
ガリガリだった体は、極上の食事のおかげで健康的になり、今ではアレクシス様お気に入りの「ぷにぷにほっぺ」を手に入れている。
「ルチア、あーん」
「あーん」
執務の合間に、皇帝陛下自らが私にクッキーを食べさせてくれる。
側近たちは「あの処刑皇帝が……」と遠い目をしているが、平和でいいことだ。
「陛下。報告書が届いております」
部下の騎士が入ってきて、羊皮紙を差し出した。
アレクシス様はそれに目を通すと、鼻で笑った。
「ルチア。お前の『実家』の件だ」
「あら、どうなったのですか?」
私が尋ねると、彼は私の頭を撫でながら、事も無げに言った。
「国ごと潰しておいた」
「まぁ」
「当然だ。大人の女をよこせという要求に対し、あんなふざけた詭弁で子供を送りつけてきたのだ。これはマデューカス帝国への侮辱以外の何物でもない」
彼は残忍な笑みを浮かべた。
「王国は制圧した。国王と、お前の母親と名乗る女は捕縛し、現在は帝都の地下水路で清掃作業に従事させている」
「地下水路?」
「ああ。膝まで汚水に浸かり、ドブネズミと仲良く這いつくばる仕事だ。一生、陽の光を見ることはないだろう」
想像する。
あのプライドの高い父たちが、悪臭の中で泥まみれになり、「こんなはずじゃなかった」と泣き叫ぶ姿を。
「……ふふっ」
口元の端から、自然と笑みがこぼれた。
「可哀想か?」
「いいえ。自業自得ですもの」
私はアレクシス様の胸板に顔を埋め、クスクスと笑った。
「それに、彼らの言う通りになったじゃありませんか」
「ん?」
「私という『幼女』を送りつけたおかげで、彼らは国を失い、私はこうして最高に幸せになれたんですもの。パパたちの先見の明は凄かったんですね!」
私の皮肉に、アレクシス様は声を上げて笑った。
「違いない! だが、お前をもらった礼は、彼らの命で支払ってもらった。それで貸し借りなしだ」
彼は力強く私を抱きしめる。
「ルチア。お前は俺が守る。誰にも文句は言わせん。俺好みの最高の淑女に育つのを、一番近くで待っててやるからな」
「はい、旦那様! ご飯がいっぱい食べられるなら、いつまでも待ちます!」
「……そこは『愛してるから』とかじゃないのか?」
「愛より食い気です!」
ガックリと項垂れるアレクシス様を見て、私はケラケラと笑う。
ゴミ捨て場から拾われた私は今、世界一怖い顔をした旦那様に溺愛されている。
ざまぁみろ、私の幸せはここからが本番だ。
【おしらせ】
※1/9(金)
新作、投稿しました!
ぜひ応援していただけますとうれしいです!
URLを貼っておきます!
よろしくお願いいたします!
『辺境の【魔法杖職人】が、自分の作る杖は世界最高だと気付くまで ~「魔力ゼロ、愛想もない」と婚約破棄された私が、帝都でひっそり店を開いたら、いつの間にか国中の英雄が並ぶ行列店になっていました~』
https://ncode.syosetu.com/n6670lp/
広告下↓のリンクから飛べます。




