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第7話 宇宙の手術

会社での妬みによる嫌がらせは、


どんどんエスカレートして来ているようだった。


益々…宇宙の中で、『仕事を辞めたい!!』


気持ちが膨らんで来ていた。





凛子はなんとか宇宙を元気づけたくて、


頑張ってはみたが…。


事はかなり深刻な感じでどうすることも出来ずに、


見守り続けるしか無かった。




そんなある日…宇宙が凛子に…


ずっと引きずっている。


ひとみちゃんの話をし始めたのだ。


どうやらいつもひとみちゃんとの想い出の場所に、


別れた日に行っているらしく…


その事を凛子に聞いて欲しかったと語り始めた。




凛子は何やら胸騒ぎがして、


宇宙がどこか…遠くに行ってしまうのではないかと、


思ったのだった。




まるで遺言を伝えているかのように感じたからだ。


凛子は不安になって宇宙に、


安心させてもらおうと甘えていと…。




宇宙に…やめて!無理!って拒絶されたのだった。




凛子は…かなり驚いてしまった。


なに?これ…お別れって事なの?


不安がつのりすぎて凛子は、


スーパーネガティブ思考になってしまい…


フリーズを起こしてしまった…。




宇宙は無言で走り去って帰ってしまった。




凛子は…何が何だか分からないけど、


さみしくて、悲しくて、その夜は泣き通した…。




次の日のお昼すぎに宇宙からlineが来た。


『僕はあの後、救急搬送されて、


今、病院に入院している。』




凛子:


『えっ???どういう事?どこの病院なの?』…


と凛子は宇宙に慌ててlineしたが…


夜になっても…5日経っても…返事はなかった…。




凛子は心配で心配でたまらなかった。




すると…宇宙からやっとlineが来たのだ。


『実は腰のヘルニアが悪化して、


検査入院している。まだこれからどうしていくか?


目処はなにも立っていない。』






凛子は


『大丈夫なの?』『どこに入院しているの?』


と即返事を送った…が…またもや…


返信はなく…数日が過ぎた…。




凛子は心配ではあったが、


今は信じて待つしかないと思った。




その夜…凛子は最近仲良くなった女友達と、


ディナーを食べに出かけた。食べ終わって、


デザートが来る前の頃…宇宙から電話が鳴り…


慌てて…席を外して電話に出た。




宇宙:


『凛ちゃん…僕…不安だよ…怖いよ…。』


めちゃくちゃ不安な気持ちが、


痛いほど凛子には伝わった。




凛子:


『大丈夫。宇宙は守られているからね。


宇宙は1人じゃないよ。凛子がいるからね〜。』


凛子なりに精一杯の思いを込めて宇宙に伝えた。




宇宙との電話を終えて女友達の所に帰ると…


めちゃくちゃ睨まれた。凛子の中で女の世界は、


サバイバルである事を熟知していて、


今回のように女友達と一緒にいる時に、


電話で席を外すというのは


シカトされる覚悟を持たなきゃ行けない…。




もちろん凛子はその覚悟を持って、


今は一番大切な宇宙の通話を選んだのだった。




その後…胸ぐらを掴まれるぐらいの勢いで、


罵声を飛ばされた。


でも、凛子には宇宙の事を心配する気持ちのほうが、


強かったので


毅然と耐えたのだった。





ー女の世界は戦争だわー





その後…宇宙は手術をする事になったのだ。





宇宙は手術するのは生まれて初めてで、


感受性が豊かな分…人よりも何倍も…


深く想像してしまうので、




怖くて


怖くて


たまらなかった…。




ある日曜日…凛子が洗い物をしていると…。


宇宙の着信音がスマホーから鳴り響いたのだ。


『あっ、宇宙からだ』と


慌ててスマホーの画面を見ると、


着信されていなかった。




えっ???確かにさっきかなり、


大音量で宇宙の着信音が…聴こえたのに…


なぜ?なぜ?って凛子が不思議に思っていると…。




今度はlineが鳴った。宇宙からだった。


『あっ、宇宙からだ…。』




宇宙は手術前でとても不安なようで、


お見舞いに来て欲しいとメッセージが書いてあった。




入院して初めて、メッセージのやり取りが出来た。




いつも最近は、宇宙が一方的に書いていたものを、


凛子は読むだけしかダメだった。




会話のキャッチボールは、本当に久しぶりだった。




病院の名前も初めて教えてもらった。




凛子は急いで支度をして宇宙に会いに行った。




病室で見た宇宙はふた回りくらい、体のサイズが


小さくなっているのかと…思うくらいに…


弱り果てていた。




優しく宇宙をハグして包みたかったが…


今にも砕けそうなぐらい、まるでガラス細工のように、


繊細さでまとっているような宇宙だった。




凛子はエアーに近いぐらいの、ほんと触ったぐらいの、


ハグを宇宙にした。




凛子はその時に


『何があっても、宇宙のこと守ってあげたい…』


そう思ったのだった。




凛子の心の中だけでふたごちゃんの契りを


交わしたのだった。






ある日、宇宙は無事に手術を終えて、


今日だけお泊りする個室へと移動した。




凛子は面会時間までに宇宙の病院に行こうと、


仕事を必死に頑張って終わらせたのだった。




会いに行くと…宇宙は沢山のクダに繋がれていて、


どのくらい大変な手術をしたのか…


痛いほど凛子には想像がついた。




『よく頑張ったね!』


『偉いよ!』




凛子は宇宙の好きなたまごパンを、


持って来ていたので、2人で飲物と


一緒に食べたのだった。




凛子は宇宙の腰に繋がれたクダに、


そっと口づけをしたのだった。


物凄く愛しいと思った。




それからも凛子は宇宙の病院に時間を、


作ってはお見舞いに行った。




その時に宇宙が、その手術の際に、


とんでもない最悪な出来事があったと、


話してくれたのだった。




凛子は今まで、宇宙の口から、


聞いた事のない女性の名前が、出て来た事に、


驚いたのだった。





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