第6話 毒母との闘い
宇宙が2つ資格取得に向けて頑張って取り組んでいた頃…。
凛子もまた自分の課題に取り組んでいた。
凛子の場合は…やはり毒母との関係性の事だった。
凛子の離婚後…妹が居座り、
散々…生活をかき乱されて落ち着かない日々を、
送っては居たが…なんとか妹が自宅に帰ってくれた。
ほっとしたのも束の間…毒母の執念が物凄かったのだ。
凛子が既婚時代に毒母とは、普通に会話をしたり、
過ごしたりはしていたのだが…
毒母にとっては元夫の存在が邪魔で、
仕方がなかったようなのだ。
それで何十年も我慢をしていたようで、
その反動が…凛子の離婚後に凄まじい度合いで、
向けられてきたのだった。
なんとかしなきゃ…と思いながらも、
毒母の怨念の深さが数十倍も凄いので、
簡単にはなんとか解決できるようなレベルでは、
なかった。
しかし…この毒母との問題を避けて通っても、
意味が無い事は凛子には痛い程わかっていたので日々…
一生懸命に思案をしていた。
それと同時期に…凛子は職場の同僚の事も、
問題を抱えていた。
凛子の人生は一難去ってはまた一難と…
次から次へと問題が勃発して来るのだった。
そんな人生から1日も早く抜け出したい…
それをずっと夢見て生きて来て居るのだ。
あまりに同時にいくつもの難題が訪れるので、
凛子はいつしか…
一石二鳥ではなく一石五鳥狙いで、
課題に取り組む癖がついていたのだ。
会社の同僚と話していると…元夫って、
この子みたいな感覚だったんだろうか?
と思わされる事が多々あり、
この同僚との出逢いの意味を凛子は、
考えるようになっていったのだった。
家に帰ると…毒母は
『もう誰にもあんたは渡さない!!』
『あんたはうちの傍にずっと居たらいいのよ!』
朝ご飯も無理矢理、実家で食べさせられ…
夜は、私の家に来てわざわざ両親2人とも,
お風呂に入って帰る日常…。
凛子は一体…何のためにあんな大変な思いをして、
離婚をしたのか…
情けなくなっていた。
こんなにいつも真面目に目の前の課題に、
誠実に取り組んで来て、
ひとつずつ解決させて来ていても…
凛子の周りは大人子供ばかりなので、
精神的な面から幅広く…
身内が、寄りかかって来るのだった。
何度も凛子はそんな現実に、
嫌気がさして自暴自棄を、
繰り返してはいた。
しかし…現実逃避をした所で凛子の人生は、
良くはならないので、
やっぱり自分でなんとかするしかなかった。
今…宇宙も自分のやるべき課題に、
奮闘してるのだ。
私も…諦めず頑張ろう!!
凛子には同時期に、
一生懸命に頑張っている宇宙の存在が大きかったのだ。
私はひとりじゃない!
魂のふたごちゃんの宇宙が居るんだ!!
それが唯一の凛子の支えになっていた。
職場に行くと…年齢も確かに子供ではあるが…
かなり駄々っ子の幼稚な同僚との関係性の悩みもあり、
まさに凛子は、八方ふさがり状態ではあった。
でもある時…ふと…気付いたことがあったのだ。
同僚は、とにかく『子供』
凛子の同年時代を思い出しても…
全く違う度合いの子供っぷりなのだ…。
でも…
この駄々っ子ぶりは毒母にも感じられるものだと思ったのだ。
凛子が今まで一生懸命に、
頑張ってやって来ていたやり方は、
間違っていたのではないかと気付いたのであった。
凛子は元夫の星夜に対しても、目の前の同僚に対しても、
毒母に対しても、その他の人に対しても、
ある共通点がある事に、気付かされたのだった。
いつも凛子は『親側』だったなぁ…っと
今まで凛子は相手が大人子供だから、
こちらが大人になって、受け止めてあげなきゃと、
そこを努力し続けて、
頑張ってやって来てた事を思い出したのだった。
しかし…凛子が、『子供』役になった事だけは、
無かったと思ったのだった。
だってこんなに駄々っ子の子供のような大人に、
凛子が『子供役』をした所で、
受け止められる事は、とうてい不可能だからと思っていて、
諦めも含め…そう思い込む凛子になって行っていたのだ。
しかし…いきなりどのように?『子供役』をしたらいいのか?…
凛子には皆目見当がつかないのはあった。
そこで凛子はふと思ったのだった。
目の前に…格好の学習材料が居る事を…。
その日から凛子は目の前にいる同僚を、
じっくり観察する事に、したのだった。
相変わらず…ミスは多いは…仕事のやる気はないわ…
と駄々っ子っぷりを、
爆裂させて凛子を困らせては居るが…。
凛子にとって今、この同僚は、キーパーソンとなる人で、
価値高き存在なので、少々の迷惑をかけられる事等、
なんとも無かったのだ。
凛子はこれ!って事に対して取り組みだすと、
そこへの集中力が半端なく探求心に火が付くと、
見つけられるまで…。猪突猛進なのだ。
段々…凛子の中で『子供像』が、
明確にイメージでき始めていた
後はいつ…毒母にチャレンジするか?
その時を待つばかりだった…。
凛子にはこの時だ!って時を読める力が実はあるのだ。
ーついにその瞬間が来たっっーーー!!ー
凛子は深夜にいきなり両親の元に、
わぁーわぁー泣きで、駆け込んで行った。
案の定…両親は驚いていて…普段、無関心の父も…
ただ事ではない事を感じたのか?オロオロしている。
父と母は顔を見合わして
父:『おい!何があったんだ』
母:『何もないわよ!』
父:『何もなかったら、こんなに凛子は泣いてないだろ…。』
母:『知らないわよ!』
そんな会話を両親は繰り広げていた。
凛子はずっと、わぁーわぁー泣きのままである。
ー1時間が経過したー
両親は今だにずっと…お互いに…言い合いをしている
ー2時間が経過したー
凛子は泣き続けている…
毒母がしびれをきらして
母:『お姉ちゃんなんなの!』
『思った事があるのなら、
泣いていないでハッキリ言いなさい!』
父:『お前がそんな風に、すぐ怒鳴ったりするから、
凛子はこんなに追い詰められてしまったんじゃないのか!』
母:『知らないわよ!』
『お姉ちゃん、いい加減にしなさいよ!』
『どうしたのよ…あなたいつもこんな駄々っ子みたいな事…
しないでしょ!』
ー3時間が経過したー
凛子はわんわん泣き続けている…。
両親は今まで聞き分けのいい子の凛子が、
当たり前になっているので…かなり困惑していた…。
きっと…ここまで夫婦で…凛子の事を葛藤した事すら、
無かったのかも知れない…。
実は凛子は正常で冷静だった。
両親を凛子は悩ませたかった。
両親2人で、知恵を絞りながら凛子が今、
何に苦しみ、葛藤をしているのか?
考えて
考えて
想像して欲しかったのだ。
ー4時間が経過したー
すると…毒母がポツリと言い始めて来た…。
『私が朝ご飯やら、お風呂やら、
強制的にさせている事が、気に食わないんでしょ?』
『自分の事は自分でしたいから、
放っといて見守ってて欲しいってことでしょ?』
毒母の心に少しずつノックを出来つつある。
凛子はこれからだ!!と内心、思った。
凛子は表向きでは泣き続けてはいるのだ。
凛子はこのまま毒母の言葉をゆっくり聞こうと思った。
ー5時間が経過したー
外は薄っすら…朝日が昇り始める感じだった。
毒母が
『分かったわ!私が悪かった。
もう、これからはあなたの生活に口を出したり、
管理したりしない。約束するわ!!』
『あなたはこうと決めたら、ほんと意志を貫く子だわ!』
『わかったわよ!負けたわ!
あなた、思ったよりも本当にしぶとい子ね!
お母さん、あなたに完敗だわ!』
父も、『お前は凛子を構いすぎなんだよ!
解放してやれよ!』と言った。
両親はさすがに5時間以上も…
考えさせられて…クタクタの様子だった。
凛子もさすがに5時間以上も泣き続けたので、
エネルギーが限界に来ていた…。
ー6時間が経過したー
外は明るくなって来た頃…
ようやく凛子は泣くのをやめた…両親は安堵していた。
母は
『あなた今日会社でしょ!
早く顔を洗って、支度して出かけなさいよ!』
と言って凛子を2階に上がらせたのだった。
実は凛子は実親と二世帯住宅なのだ。
そして、両親の家との繋ぎにドアがあって、
そこは今は鍵がかかっていないので、
毒母が気軽に日頃、出入りしているのだ。
なので凛子はそこの鍵を…
今日、初めてかけることにした。
凛子は母の言葉は半分も、信用はしていないので、
鍵をかけることで距離を空けさせる事にしようと思ったのだ。
その話を久しぶりに、
宇宙に合格の喜びを分かち合う際に、話したのだった。
宇宙は、かなり驚いていたが…。
凛子を優しくハグしてくれながら凛ちゃん良くやったよ!
偉いね!と労ってくれたのだった。