イラン大統領ヘリで墜落死! 今後の中東情勢は!?
筆者:
本日は本エッセイを選んでいただき誠に光栄です。
本日はイラン大統領ライシ師がヘリコプター事故によって亡くなった影響について個人的な意見を述べていこうと思います。
質問者:
一体どんな政治家だったのですか?
◇ライシ師の功罪
筆者:
まずライシ師の功罪と次の大統領選挙に出馬していた場合どうだったのかについて触れておこうと思います。
汚職に立ち向かい600万人の雇用を創出するために、現在国民1人当たり45万リヤル(と言っても日本円で現在約1670円)である月々の国家給付金を3倍にすると約束するなど貧困対策に力を入れていました。
というのも、ここ1年間(2023年3月21日~2024年3月19日)の物価上昇率が40.7%ととんでもない数字になっていたからですね。
イスラム教の教理に対して非常に厳格で、
2022年には女性の髪を隠すスカーフ「ヘジャブ」抗議デモを弾圧し、人権団体は500人以上が死亡。政治犯で7人が処刑されたとしています。
質問者:
そういえば、イランでデモ活動が凄かったという記憶がありますね……。
筆者:
それでも、来年大統領選挙があれば再選の可能性が有力視されていたので、逮捕などを恐れて明確に反対する人はいないという状況だったみたいですね。
(ちなみに“師”とついているのはイスラムの宗教指導者としての地位もあるため)
◇イランの政治体制は「院政」みたいなもの
質問者:
そんな指導者が亡くなったという事はイランの方々はホッとされているとかそういう感じなんですか?
筆者:
そこに一つ勘違いされているところがあると思うので早速是正したいと思うのですが、イランには大統領よりも上の「最高指導者」という国家元首の地位が別に存在しています。
現職の最高指導者のハメネイ師は1989年からずっと在職しており、
表題で煽っておいて難ですが、イランが急激に国の方針が変わることは無いと思います。
質問者:
そうだったんですね……。
大統領より上の方がいるとは……。
筆者:
大統領も外交官の接受や、派遣する大公使の信任状への署名、条約の締結、勲章の授与など一部元首の役割もあるようですけどね。
日本で言うのなら、表向きは天皇が政治のトップでありながら、元天皇である宗教的にもトップの後白河法皇が本当の実力者だったような平安時代の「院政」みたいな状況と言えると思います。
質問者:
だからイランって全体主義国家のような性質がある中国やロシアと仲が良いんですね……。
筆者:
ただ、ハメネイ師も1981年~1989年まで大統領だった経験があるので、
全く国民から認められたことが無い存在では無いと思います。
ただ、最高指導者が暴走した場合に国民が食い止める方法が一切無く、一度就任してしまえば終身制という要素があるのでやはり独裁色が非常に強い国家だと言えるでしょう。
質問者:
だから30年以上も最高指導者でい続けるわけなんですね……。
◇最高指導者後継争いが大きく変化
筆者:
しかし、その最高指導者のハメネイ師は85歳なので、次のイラン最高指導者を決めなくてはいけない状況です。
事故が無ければ大統領の任期満了だった2025年までの間に次の後継指名を行う事を宣言していました。
ライシ師は最高指導者後継の最有力候補としても名前が挙がっていたので、
これからどうなるのか? という事が話題になっているのです。
質問者:
なるほど……。これから混迷状態という事ですか……。
筆者:
しかし、現最高指導者の息子さんであるモジタバ・ハメネイ師(55歳)が次期最高指導者が有力な後継者に浮上してきました。
これまでは要職にあまりついていなかったことから、大統領にもなったライシ師よりは劣る存在だったわけですが、これから一気に地位を高めていく可能性はあります。
質問者:
なんだか世襲制みたいですね……。
どんな方でもお子さんに自分の地位を引き継がせたいという事ですか……。
◇イランとアメリカはより溝を広げる可能性も
筆者:
イランの体制が極端に変わることは無いという事を話させていただきましたが、
大統領にも条約の締結について一定の権限はあります。
そのために、日本にもイランが管理しているホルムズ海峡が原油の5割が通過しているという事から全く影響が無いわけではありません。
ライシ師は外交において強気な姿勢と言う面ではハメネイ師と協調していたものの、アメリカに歩み寄りを見せて「欧米との核合意の復活」を目指していた様子も窺えたために、さらにアメリカと強気な外交となる可能性があります。
よって、アメリカとイランの溝は広がる可能性は上がっていくということです。
(現最高指導者のハメネイ氏は反米のため)
質問者:
そう言った視点で注目という事なんですね……。
◇このヘリ墜落事件の裏側の憶測について
筆者:
さて、この墜落事故についてイスラエルとイランの間接的な抗争がパレスチナで行われていることから様々な憶測が飛び交っています。
特にヘリ3機のうち大統領機のみが墜落したことや、濃霧の中引き返すことが無かったことなどが挙げられています。
質問者:
確かに、このタイミングで墜落事故と言うのは衝撃的でしたね……。
筆者:
ただ、これについて僕は“事故”だった寄りですね。
濃霧で大統領機のみを墜落させることはかなり困難なので、あり得るとしたら
“整備不良を敢えて起こした”
と言うことぐらいでしょう。
しかしそれについては中々バラバラになったヘリから解明することは困難だと思います。
つまりどう転んでも「事故」という事で終わる可能性が高いという事です。
質問者:
な、なるほど……。真実は一つだとしても分かるとは限らないということですか……。
筆者:
仮にあるとするなら大統領が亡くなったことによりイラン国内で「誰が得をしたのか?」という事で後になって「推測が出来る」程度の話です。
これは日本に関して起きている「不確定な案件事件」についても言えることで、
社会的に明確になっていること以外についてはあまり憶測のみで語るのは危険ですね。
個人で思う分には何でもいいと思うのですが、それを外に対して発信することは辞めておいた方が良いですね。
また、不確定な情報を繋げ合わせて「ビジネス」にしているとんでもない人間がいますからね。注意しましょう。
これは「陰謀論系の話」全般に言えると思いますけどね。
質問者:
どうにかしてお金稼ぎをしようとしてくる人いますからね……。
筆者:
基本的には極秘情報なんてものは外に出てきません。
それっぽいことを言っている詐欺師だと思った方がいいですね。
大きな情報であればあるほどコンプライアンスの問題が退職後もついて回りますからね。
根拠不明の「陰謀論」についてはせいぜいエンタメ程度に聞いていた方が良いでしょう。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回はイラン大統領ライシ師が亡くなったことは大きな体制に変化は無さそうなものの、ハメネイ師一族の権力強化とアメリカへの対立激化につながる可能性があること。
陰謀論系統の話はお金を払ってまで聞くものでは無いという事についてお話させていただきました。
今後もこのように時事問題や、政治経済、マスコミの問題について個人的な解説を行っていきますのでどうぞご覧ください。