表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今はただ「この」己に掛けて −複数の加護と前世の「知識」を持つ俺は、親友勇者と離れアイデンティティを保つ−  作者: ダメ親父
第一章 追憶の中の旅立ち、秘密を共に

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/107

恩返しは飯で返す、ちょっとだけ

「ちょ、ちょちょっと、アーネス様、いっ、一体何を言い出すのですか!」

ディディは耳まで真っ赤にして、あたふたしている。

そんなの見せられたら、俺も赤くなるってもんだ。


「そう?ディディは美人だし、頭が良くて、強くて、しかも尽くすタイプなんでしょ?

こんなんでも、周りに気を使いまくって、でもって頭が良いジェスにピッタリだと思ってたんだよね~、ずっとさ。」

こんなんってなんだ。

「ジェスもディディにお似合いだと思うしさ。

でもディディがジードさん狙いなら、ダメだよね。」

「私など、ジェス様に相手にされるハズがないじゃないですか!」

「えっ、そんな事ないよね、ジェス?」

今、振るんか、お前!?

どう答えりゃイイんだよ、コレ。

「ホラ〜、ジェスも赤くなってるし、結構イイと思ってるんだよ。」

覚えてろよ、アーネス。


「あんまりディディを困らせるなよ、アーネス。

俺だって、ディディは美人でイイなって思うけど、狙ってる人がいる娘に声を掛けたりしないよ。

それに俺じゃ美人のディディとは釣り合わないよ。」

どうだ、上手く躱せたか?


「二人してからかわないでくださいませ。

それに釣り合わないなんて、そもそも私はそんな事無いですし、ジェス様はちゃんとカッコイイじゃないですか。」

あれ、これ行けるのか?

イヤ、「ちゃんと」とか言われてる時点で無いな。

「ディディは年上が好みなんでしょ?」

「そんな事、無いですよ。」

俯きながら、顔真っ赤のままで口籠るようにディディが答える。

俺達を見るアーネスの顔が悪い顔になってる。

こんな顔も出来るんだな、コイツ。

アーネスのこんな悪そうな顔、初めて見たわ。


「私なんかでイイんですか、ジェス様?」

んん?

「本当に私でイイんですか?」

あれ?

「はい、あの、お願いします。」

「はい、あの、こちらこそ、お願いします。」

あれれ?

彼女、出来た、のか?

嘘だろ、おい!?


「よかったね、ジェス。こんな美人な彼女が出来て。」

「今度、なんか奢ってやるよ。」

「本当に?やった!

でも、俺より先に、ディディに何かプレゼントしてあげないとだね。

あ、痛っ!?なんで殴るんだよ、ジェス〜!?」

なんとなくだよ、クソ。

頭を押さえて涙目のアーネスと、俯きながら真っ赤になったままのディディと、耳どころか首元まで熱く感じる俺は、周りに生暖かい目で見られているのに気付くまで、そこでウダウダしていたのだった。


周囲の目に気付いた俺達は、ちょっと逃げるように協会に戻った。

丁度、バルが二階から降りて来た所だった。

「持たせたな、って、どっか行ってたのか。

息抜き位にはなったか?」

「聞いてよバル!

この二人、ムガっ、ちょ、何すんのさジェス?

あ、イテッ、ディディもつねらないで、待って、ちょっと、本当に痛い!

止めて!お尻千切れる!

助けてジェス〜!」

何を口走る気だ、お前は。

バルに知られたら、絶対、からかって来るだろうが。

「なんだよ、コレ。」

呆れ顔のバルと、またも涙目になったアーネスは一旦脇にどけて、取り敢えず結果を聞いてみた。


「ここの支部自体には出てなかった。

ただ国の本部に問い合わせてくれる事になったから、モレッド侯に後の事は丸投げする事にして来たよ。」

なるほどね。

「それとは別に、昨日の村の件は、協会からもモレッド侯に事実確認と報告の要請をしているって話だから、返事はそれほど時間が掛かる事は無いって言ってたぜ。

どっちにせよ、明日の出発には間に合わんがな。

盗賊の討伐は魔物と違って、遭遇戦では実績にならないのがキツいんだよな。

後で調べてからは、実績になるけどよ。」

それはそうか。

じゃないと無差別に殺して盗賊の討伐でした、とか言い出すヤツが出かねないもんな。


「教会に寄って、飯食って帰ろうぜ。

なんか俺も疲れたわ、気持ちの面で。」

そう言って歩き出したバルだったけど、依頼の掲示板の前で足を止めた。

「なんだよ、フォレストファングリザードの討伐依頼あるじゃねえか。

こんな時じゃなかったら絶対受けんのに、クソが。」

フォレストファングリザード?

名前からして、何か物騒な名前の魔物だけど。


「その魔物、強いの?」

「イヤ、俺から見たら大したこと無い。

お前らでも一匹相手なら、二人掛かりで行きゃあ大した苦戦もしないで倒せるんじゃねえか。

ただコイツ、結構いい小遣い稼ぎになるんだよ、群れてる事が多くてさ、付いてねえな。」

そうなんだ。

まあ正直言って今はどうでもイイ。

「私も倒した事があります。

消し炭にしてしまい、母に叱られましたが。」

ええぇ。

怖いってディディ、イヤ、マジで。

俺も燃やされないようにしないと。


「教会行こうよ。

ジードさんに聞いてみたい事があるんだよ。」

アーネスがソワソワした様子でバルを促す。

「わかったよ、そう焦んなって、直ぐそこだから。

あ〜、クラウディアも急ぎたいのか。」

ニヤニヤしながらディディを見るバルと、それに対してちょっと赤くなるディディ。

うん、こんな事でヤキモチを妬くほど俺は小さく無い。

無いったら無い。

アーネス、何故俺を見てニヤつく。

って言うか、俺もちゃんとディディをイイと思ってたんだな。

流された様なもんだから、自分でちょっと不安だったけど。

そんな感じでグダグダしながら、俺達は教会に向かった。


ここの教会はバーゼル伯領の物より、ちょっとだけ大きく、でも造りはかなり豪勢だった。

建物から駆け出して行く子供達に手を振っていた老神官が、こちらに気付いて手招きしていた。

ってあれ、ジードさんだ。

子供の前では普通のお爺さんなのか。


「よく来たな、中で茶でも飲んで行くといい。」

挨拶もそこそこにジードさんは教会の中に俺達を招き入れた。

ん?

今日はディディを見ても普通の目をしている。

なんだ?


そう思ってたら最後にドアを潜った俺に、ジードさんが耳打ちをして来た。

「アレを落としたのか、お主。

アレはいいぞ、大事にしておやり。」

「なっ!」

ホッホッホッとアイツの知識の赤い服の聖者の様に笑いながら、奥に入って行くジードさんの後ろ姿を呆気に取られて見ていたら、他の全員にキョトンとされた。

なんで?

なんでわかる爺さん。

もう絶対名前にさん付けなんてしてやらないわ。

怖いよ、ほんと。

他の人達とは違う方向性で。


「して、そっちはどうじゃった?」

「特にこれと言った情報は無かったぜ。

コイツが先を見据えた対策を進言してはいたが、直ぐに効果が出るような代物じゃねえしな。」

興味を示したジード爺さんに、バルが協定の話をしてみせた。

「なるほどのう。

いい提案ではあるが確かに即効性には欠けるのう。」

「爺さんの方はどうなんだよ。

教会に何か情報は無かったのかよ。」

「無いのう。

それとは別に、儂に呼び出しが掛かったわ。」

呼び出し?

「王都の大聖堂からじゃ。バーレスト侯と王の孫の婚約の儀式に参加しろじゃと。

取り込むか、殺すかしたいのかもしれんな。

知らんけども。」

うん、胡散臭い。

イヤ、自分の孫のそんな儀式で、流石にヤバい真似はしないのか。

ああ、終わってからとか、何なら始まる前とかでもいいのか。


「爺さんはどうする?

動くのか、静観するのか。」

「そうじゃなぁ。

消極的に動く感じかの。」

行きはするけど、立場は明確にしないって感じか。

「なら取り敢えず、王都までは一緒って事でいいのか?」

「寄越した日時から行くと、そうするしかあるまいな。」

こちらの動きは正確に読まれているな。

この先はどうかわからないけど、昨日魔禽を潰しておいて良かった。

それだけは成果と言って良いかもしれない。

横の二人の悪ノリみたいな感じだったけど。


「本当に俺達でパーティー組んだ方がいいんじゃねえのか?

敢えてふらつく事で、敵を作らない様にしてたんだろ?

完全に状況が変わってるじゃねえか。」

「前向きに考えておるよ。

前から誘いはあったが、ここまで露骨になると、儂とて煩わしいわい。」

それは俺達の話ではなさそうだ。

「ついでにコイツ等を鍛えてやってくれよ。

爺さんの体捌きは勉強になる筈だし、治癒魔法もそれなりに資質があるっぽいからな。」

「ほう。

素材としては面白そうじゃな。

勇者と七神の祝福じゃったか。

儂も長い事、イヤ、十六年生きて来て初めて見るわい。」

それ引っ張るんだ。

てか、ジード爺さんが何か言ってもディディがポッとしない。

寧ろ何か呆れた様な顔をしている。

アレか、入切り出来るのか?

アイツの知識で言うフェロモン的なヤツ。

すげぇな、ある意味だけど。


「取り敢えず、明日の出発前に迎えに来るわ。

準備して待っててくれ。」

「イヤ、今晩は紅月城に泊まりじゃ。

旅支度をしてから夜に行く事になっておる。

それはもう伝えてある。」

「そうか。

てか爺さんまさか、クラウディアに手を出す気で泊まるってんじゃねえよな。」

「とんでもない。

儂、人のおなごに手を出す程、暇でも悪趣味でもないわい、なあジェスター君。」

「なっ!」

なんで言っちゃうのよ!

目を見開いた後、ディディの顔がまたも真っ赤になる。


「はぁ?

んん!?

なんだお前ら付き合うのかよ!

ひえ〜、こんなおっかないのと、よく付き合う気になるな、お前。」

ああ、もう。

からかってはいないけど、その反応はどうなのさ。

「ほっとけよ、バル。それに言い過ぎ。」

ちょっとむっとした感じを出してバルに言っておく。

せっかくだ、バレたついでに彼氏面しておこう。

燃やされない為に。


「まあ、お似合いっちゃ、お似合いか。」

「でしょ、そう思うよね。

俺、おせっかい焼いて良かったよ~。」

コイツはコイツで本当に。

その後、雑談になったけどずっと三人にニヤニヤされて、居心地が悪いったらなかった。

絶対、暫くイジられるヤツだ、これ。


教会を出た後、ジード爺さんが教えてくれた、食堂に行って昼食にした。

俺達の世界の神官に、食の禁忌は無い。

むしろなんでも食べる事を美徳としている。

奪った命を粗末に扱う事を悪としているからで、この辺はアイツの国の信仰に近い。

もっとも、アイツの国では生活に根付き過ぎて、却って信仰心が薄れているらしいけど。

オススメの料理は入荷したてだと言う、協会でバルが話していたフォレストファングリザードのステーキ。

鳥っぽかったけど、肉汁たっぷりでめちゃめちゃ美味かった。


バルが奢ってくれようとしたけど、アーネスとディディの分は俺が払った。

これでアーネスにはチャラだ。

まあ、全部とは言わないけど。


帰り道。

目に付いた露店や武具屋、雑貨屋を覗きながら、細々とした買い物をした。

途中でドルドーニュさんや、カレンさんとトゥーレの姉妹ともすれ違ったが、お互いに目線を送りあっただけで声はかけなかった。

剣は吊るしていたけど、普通の街人や冒険者風に変装していたからで、アーネス以外は普通にそうした。

声を掛けようとしたアーネスは、ディディにさり気無く止められていた。

それで直ぐに理解して、ちょっとしょんぼりしていたけど、武具屋で剣や防具を見ている時には、相変わらずキラキラになってた。

切り替えの早さは流石だな。


日暮れ前には坂の下に戻り、午前と同じ様に馬車を使わせてもらって城に戻った。

今日は別々の部屋に入って夜を迎えた。

寝る前に、様子を見に来たディディに、店を回っている時に見つけた、彼女の瞳の色と同じ色のピアスを手渡した。

「貰ってしまって宜しいので?」

と聞かれたので、

「もちろん。」

と返した。

嬉しそうにしていたので、着けてあげようとしたら、ピアスホールが開いてなかった。

見ていたのに認識してなかった。

意識して記憶の中のディディを見ると、ちゃんとわかるのに。

大失敗だな、これ。

「私の事、ちゃんと見ていらっしゃらなかったのですね。」

とちょっと睨まれて、背筋が凍った。

氷漬けも消し炭も嫌だ!

とか思っていたら、ディディが笑った。

「カレンさんに開けてもらいます。」

そう言って、大切そうに握って、頭を下げた。

「ディディ、敬語やめない?俺の前だけでいいから。」

ちょっと顔を赤くして、

「考慮させていただきます。」

そう言って部屋を出ようとした。


ドアを開ける前、

「おやすみ、ジェス。」

と小声で言ってから出て行った。

なんだよそれ、破壊力有り過ぎだろ。

う〜。

主人公に彼女を作ってみました

( ̄ー ̄)ニヤリ


何か初々しくて、書いていて口から砂糖がザァっと音を立てて出そうでした

(^_^;)


ちなみにピアスホールのくだりは、ダメ親父の◯◯年前の出来事をモチーフにしています

その時は割と呆れられましたが………


てか、みんな船に乗ってくれない

流石に次回はモレッド侯の所を出るので、乗り込んでくれるハズですが(汗冷)


最後に、お読みくださった方々、ありがとうございます

モチベにつながるので、ブックマークを是非お願いします

感想を、こうポチッと評価やイイネで表して頂けたら幸いです


「こりゃ、駄目だ、ダメ親父だけに」とか思ったら、切ってくださって結構ですので………


次回 船上の風

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ