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今はただ「この」己に掛けて −複数の加護と前世の「知識」を持つ俺は、親友勇者と離れアイデンティティを保つ−  作者: ダメ親父
第一章 追憶の中の旅立ち、秘密を共に

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二人の師匠

予定では今日、王都からの使者が来る。

どうなる事かと思いながら、身支度を整えていた。

ディディが呼びに来たので、アーネスと一緒に朝の挨拶をしてから食堂に向かった。


何だか邸内の様子が慌ただしい。

「今朝方、使役魔禽が着いて、夕刻には使者の方が到着されるそうです。

それに先駆け、午前のうちに伯爵様がお見えになられるとの事です。」

訝しむ俺に、ディディが教えてくれた。

王城からの使者ともなれば当然かも。

伯爵様まで来るとなると納得だ。

雰囲気に釣られてか、アーネスも何だかソワソワした様子だ。

食堂には既にバルとマローダさんがいて、席に着いていた。

「おはよう。

お前ら、腹壊したりしてないか?

昨日、結構水飲んだろ。」

ああ、生水はヤバいって言うもんな。

「今のとこ、大丈夫。アーネスは?」

席に着きながら答え、アーネスにも聞いてみた。

「俺も大丈夫だよ。」

「そうかい。

夕べ、クラウディアと話して決めたんだが、午前に俺とクラウディアで模擬戦をやる。

お前らは見学だ。

ちゃんと見て、自分ならどう動くか考えるんだぞ。」

は?

それはちょっと、ディディに不利過ぎでは。

「ディディ、大丈夫なの?」

アーネスも心配げだ。

「勝てません、絶対に。

ですが、魔術師の立ち回りをお見せする為に、全力で努めさせていただきます。」

あれ、意外とやる気だ。

いや、意外でもないのか。

ディディの講義、特に攻撃魔法に関しては、殺す事を前提で教えて来る。

ちょっと怖かった。

体力が無いと言っていたけど、短時間の全力戦闘は結構な自信があるのかもしれない。

「安心しろよ。

俺は木剣使って寸止めするし、クラウディアだって即死系の魔法は使わないよ。」

運ばれた朝食を食べながら、バルが言った。


今日はベーコンとスクランブルエッグか。

トロトロ具合が美味そうだ。

飲み物は温めた牛乳。

甘くしてもらおう。

「伯爵が来たら、飯を一緒にするかもしれん。

そのつもりでいろよ。

その後は、え〜と、何だっけ。」

「昼食後に打ち合わせをしますので、二人は一緒に部屋で待機してて下さい。

クラウディアさんが付いているので、座学ならしててもいいですよ。」

バルの話を引き継いで、マローダさんが説明してくれた。

「何なら部屋で体力作りとかでもいいぞ。

腕立てで背中に乗ってもらったりよ。」

それはちょっとヤダ。

ディディもちょっと照れてるし。

そういえば、マローダさんからマナーを習ってないな。

大丈夫なんだろうか。

「マローダさん、俺達、結局作法の勉強ってしなかったんですけど、大丈夫ですか?」

「二人が余りにもヘトヘトになっていたので、控えさせてもらったんですよ。」

と苦笑いしながら答えてくれた。

しかし、それって感謝すべきなのか?

「まあ、大丈夫ですよ。

強いていうなら、俺じゃなくて私と言ってくれれば、話し方自体は問題ないです。

服装は、長袖のシャツとベストを買ったと聞いているので、それを着てください。

前はちゃんと留めて下さいね。

あとは面会の際に挨拶する時は、騎士の礼をしてください。

見た事、ありますよね?」

なら良いか。

騎士の礼なら二人とも見た事があるし。

「私の模擬戦の後で、お部屋に伺います。

お渡しするものがございますので。」

何だろう。

気になるけど、それきりディディは壁際に下がり黙ってしまった。


食後。

一息付いてから、湖の畔のいつも型の練習をしているところへ、バルに連れられて出た。


いつもは普段着のバルが、銀色に輝くブレストプレートを付けている。

縁取りに細かい装飾が金色に施されていて、めちゃくちゃカッコイイ。

左にだけ大きめのショルダーガード付いている。

カラーが高く首元をクルリと囲っていた。

結構、本気っぽい。

手には何故か木剣を三本持っている。


ディディは既に外にいた。

彼女も準備は出来ているようだ。

膝下までの焦げ茶のレザーパンツに、鈍く銀色に光る薄手のレッグガードを付けて、上は胴の前面だけピタリと覆う革鎧。

上腕だけ肩の上まで伸びるアームガードを付けている。

手には小振りの魔石が埋め込まれたロッドを持っていて、握りを確かめるようにしている。

髪はいつものように纏めてなくて、ポニーテールだ。

カッコイイ。


「距離はどうする。

一サナくらいから始めるか?」

「その距離でも勝てる気はしませんが、ここは敢えて五十サラでいかがですか?」

「ふ〜ん、近えな、まあいいぜ。」

そう言ってお互い、距離を取る。


何か緊張してきた。

「ジェス、合図頼むわ。

あとこれ持って、もうちょい離れてろ。」

二人が足を止めたところで、バルがそう言って持ってた木剣二本を投げて来た。

「わかった。」

受け止めてからニ三歩下がって、アーネスがゴクリと唾を飲む。


「始め!」

一足飛びにバルが距離を詰めた。

引きだからギリギリ目で追えているけど、あんなの目の前なら消えて見えるか、突然デカくなって見えるだろう。

ディディは無詠唱で岩の槍、泥濘と同時かつ連続で魔法を繰り出す。

距離を保つように、円を描くようにして移動し続けていた。

回避しつつも、距離を詰めようとバルが前に出ようとする素振りを見せた。

「水よ、集い、飛散し、霧の衣、辺りを覆え、凍える吐息、遍く停止を誘い………。」

「偏差発動に、時差詠唱かよ!面倒臭えな。」

ディディは詠唱中も、無詠唱で岩の槍や泥濘を連続で放ちつつ、時折地面からの礫弾を織り交ぜて飛ばしている。

詠唱中の魔法は知らない魔法だけど、時差詠唱とかバルが言っているので何かの複合魔法なんだろう。

スピードはバルの方が圧倒的に速い。

ジリジリ距離を詰めるが、手数の多さでディディはそれを簡単には許さない。

回避する方する方へと、魔法を発動させて直進を阻んでいる。


だが唐突にバルの動きが変わった。

回避していた次々に飛び出す岩の槍を、前に出ながらバルは木剣で切り払った。

礫弾は当たる物は全て打ち落としている。

ディディがそれを見て、礫弾が木剣で弾かれる直前、破裂させた。

「くっそ。」

咄嗟に左腕で顔を庇う。

だが足は全く止まってなかった。

ドンドン二人の間合いが縮んで行く。

いつの間にか、バルの周りは頭を出して霧で覆われていた。

「………、触れし物、時の檻に等しい虚無へと導け。顕現せよ。濃霧、氷棺。」

ディディの詠唱が終わった。

バルに纏わり付く霧が濃縮されて、ピキピキと音を立て凍り付いて行く。


「ガアァァ!」

バルが吠えた。

魔法が発動しきる直前。

本の僅かで、バルの木剣が霧を千々に切り裂き、剣風がそれを吹き飛ばした。

そのまま止まる事なく、流れる様な動きで回転しながら繰り出された突きが、ディディを捉えるかに見えた。

だが頭を低く下げて前に出た彼女は、鋭い突きを掻い潜りバルの背後に抜けた。


攻守交代。


そう思ったが、バルは振り向きざまに横薙ぎの斬撃で追撃した。

そのバルの右手が、一瞬で凍り付く。

バルが剣を落として、決まるかと思った。

だがその手には木剣が握られていなかった。

「残念だったな。」

そう言ってニヤリと笑ったバルの左手に、逆手で握られた木剣がピタリとディディの背後から首筋に添えられた。

「そこまで!」

思わず止める。

止めると同時に、ディディの背後に岩の槍が突き出していたが、バルの首元には拳一つ位の差で届いていなかった。

「おいおい、即死系は使わないんじゃなかったんかい。」

「バルガス様には通用しないと思いまして。

頭は出しておきましたし。

加減せずに使用して、視界を遮るべきでした。」

互いがそう言った後、どちらも笑顔を浮かべ同時に構えを解いた。


何だこれ、ヤバ。

アーネスの口が終始開いてたけど、まだ閉じてない。

「おう、どうだった?

お互い速度は抑え気味にしてたから、目で追えたろ。」

「いや、最後の方の霧を払ったヤツは、切り払ったのはわかったけど、回数とか剣筋までは見えてはなかったよ。

あと、持ち替えたのも。」

「バルガス様、私は移動は全力でしたよ。」

「やかましいわ、無詠唱でバカスカバカスカ打って来やがって。」

「威力は抑えてました。

炎熱系も使いませんでしたし。」

「三種も同時に使われてたまるか。

偏差発動に時差詠唱とか殺意高過ぎて引くわ。」

「ありがとうございます。」

「褒めてないよ〜、クラウディア。」

溜息混じりのバルの声は多分、ディディには響いてないな。


「あの、偏差発動って何。」

どうやら帰って来たアーネスが、遠慮がちに質問した。

「あ〜、アーネスさ。

飛んでる鳥を弓で射る時、お前ならどうする?」

俺が答える代わりに質問すると、斜め上を見ながらちょっと首を傾げて答えた。

「ちょっと前を狙って打つ。」

「それを魔法でやってるって感じだよ。

動く先を予測してそこを攻撃する感じ。

偏差攻撃ってのは。」

アーネスは納得したように何度か頷いた。

「お前、説明上手いなぁ。

意味がわかってても、言葉で説明するって、どんな事でも難しいんだけどなぁ。」

「動いている物に当てるのは難しいので、そのような使い方をしたりします。

正面に入ったなら直接狙うのも無くはないのですが、それは魔術師に取っては敗北目前でもあります。」

「でもバルには当たらなかったよ?避けてたの?」

「アーネス。

魔術師は距離を取るか、最低でも間合いには入りたくねえだろう?」

「うん、そうだろうね。」

「となると遠ざかるか、遠ざけるように魔法を撃って来る。

だからこちらもそれを予測して、着弾点を避けるように移動したり、移動に緩急を付けて当たらないようにするんだ。」

あのスピードで緩急なんて付けてたのか。

「でも途中から前に出てたよね。」

「あのまま持久戦になると、手数もそうだが、キッツイのを撃って来るのがわかってたから、強引にでも前に出たんだよ。

濃霧で範囲を広げて、氷漬けにしようとしてきたからな。

そんなにされちまったら流石に負けだ。」

「てかさ、恩寵持ちにあそこまで迫れるなら、ディディも凄いよ。」

アーネスの言う通りだ。

「教えてないのかよ、クラウディア。」

何を?

「そういえば、まだでしたね。

私の加護は「智慧神ネートの祝福」です。」


は?


「俺がバーゼル伯のところに厄介になってるのは、コイツと手合わせしたかったからだよ。」

マジでか。

加護がわかったクラウディア


こっそりお気に入りその3です


サブタイは一応、ダブルミーニングです

わかりにくいですが(汗)


最後に、お読みくださった方々、ありがとうございます

モチベにつながるので、ブックマークを是非お願いします

感想を、こうポチッと評価やイイネで表して頂けたら幸いです


「こりゃ、駄目だ、ダメ親父だけに」とか思ったら、切ってくださって結構ですので………


次回 手合わせ

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