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今はただ「この」己に掛けて −複数の加護と前世の「知識」を持つ俺は、親友勇者と離れアイデンティティを保つ−  作者: ダメ親父
第一章 追憶の中の旅立ち、秘密を共に

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修練(ある意味)

ガスリーさんの「執事長」という役職は、ほぼ創作です


本来、執事は「秘書」兼「人事部長」兼「現場監督」兼「主人の専任世話係」兼「男性使用人の長」って感じ(ざっくり表現です)

執事、メイド長の上に家令(日本では家宰)がいました(執事が兼任する例もあります)

いずれ出てくるハズですが領内の別邸の他に、王都にも別邸があって、それぞれに執事がいるので、彼は「長」なのです

まぁ家令より耳に馴染みある執事に、長を付けちまえっていうのが、一番の理由です

翌日の昼食後。

俺達は屋敷の裏手にある、耐魔煉瓦の壁に囲まれた魔術師団の練習場にいた。

目の前には薄手の革鎧を身に着けたクラウディアさんがいる。

何故かと言うと。


夕べ、食器を下げに来たクラウディアさんから、魔法の入門書を二冊渡された。

「こちら、許可が降りた魔法指南書です。

明日は私が、お二方に魔法をお教えする事になりました。

午前は座学。

午後から実技です。」

急にどうした。

「クラウディアさんて、魔法が使えたんですね。

何故給仕を?」

「ある程度、実戦に耐え得る魔法を行使出来ます。

ラムボア程度でしたら、一撃で消し炭にした事があります。」

怖っ。

「ただ、魔術師団に入団したのですが、行軍について行けるだけの体力が、どうやっても付きませんでした。

そこで邸内の護衛を兼ねて、給仕の仕事を頂いたのです。」

そういう。

一応、魔術師団に籍をおきながら、給仕をしているそうだ。

アーネス、またキラキラになってますよ。


「どうお教えするか、参考にしますので魔力放出を見せて頂けますか。

それと今使える魔法も教えて下さい。」

素直に着火と放水だと答え、昨日初めて使った事も伝えた。

それから掌を上にして差し出した。

「そうでしたか。

では制御をあまり意識せず、自然な感じでお願いします。」

最初にやった感じでいいのかな。

掌を近付けられたので、言われた感じでやってみた。

「おや、かなり制御が出来ていますね。

放出までの時間がほぼなく、魔力量の割に揺らぎが少ない。

なるほど。」

何か納得したように頷いくと、アーネスの方に手を差し出した。

「アーネストリー様、どうぞ。」

ちょっと渋る感じで手を差し出すアーネス。

目を閉じて深く息を吐くと、ちょっと間が空いてクラウディアさんの手がフワリと上がった。

少し驚いた表情になったクラウディアさんは、

「素晴らしい魔力量です。

自然な放出でこれ程なら、全力であれば魔力だけで人が殺せるでしょう。」

と笑顔で言った。

は?

なにそれ、怖い。

放出を止めて目を開けたアーネスがポカンとしている。

褒められると思ってなかったんだろう。

「何事においても、最初から高度な事をしようとしても上手くは出来ません。

ですがお二方ならば直ぐにも上達されるでしょう。

属性の偏りも感じられませんでした。

強いて言うなら、アーネストリー様は光の力が強いように感じましたが、それも本の少しでお二方とも満遍く使えるようになるでしょう。

それもかなり高い次元で。」

嬉しい。

褒め上手なのかもしれない、クラウディアさんは。

去り際に、部屋着がある事、どんなに遅くても呼び出して構わない事、そして、

「この後、お休みになられるまで、一章までは読み終えておいて下さい。

難しい言い回しが少ない物を選びましたので、読めない字が無ければ、苦になる量ではありません。」

と言った。


クラウディアさんが退出して行った後、

「ジェス〜、読み聞かせてくれよ。」

と情けない声で言ってきたアーネスを見て溜息を吐く。

「いいけど、ゆっくり読んでやるから、お前も目で文を追って、頭ん中だけでいいから読め。」

ゆっくり落ち着いて読みたかったのにな。

音読は効果が高いけど、俺には関係無いからな。

そんな感じで寝るまで、魔法の予習をした。

ちなみに部屋着はほんのりピンクのシルクのパジャマだったので、アーネスに着るか聞いてからそっとしまいました。

ベッドが引くほど柔らかくてなかなか寝付けなかった。

アーネスはすぐに寝息を立てていたが。


一夜明け、身支度して朝食を待っていると、俺達と同年代位の見た目の女の子が用意しに来てくれた。

細くて小柄、金髪ポニーテール、そばかすが目立つけど、明るい灰色の瞳が大きくて、笑顔がかわいい感じ。

薄ピンクのシャツと、エプロンの隅にある小さな花柄の刺繍がよく似合っている

少し年下なのかもしれない。

「本日、クラウディアさんがお二人に魔法を教えるとの事で、私が代わってお世話させて頂きます。

キンバリーです。

キミーとお呼び下さい。」

めちゃめちゃ笑顔で言われたけど、初対面で愛称呼びを求められるのは初めてで、ちょっと驚いた。

「若いね、同い年くらいかな?」

優しい声で言うアーネス。

どうやら年下認定したようだ。

しかし攻めるなあ。

女性に年齢の話は大体、触れると怪我の元だぞ。

「ありがとうございます。

二十七で若くないです。

来月、二十八ですよ、エヘヘ。

クラウディアさんより大分、上です。

やだなあ、もう、ウフフ。」

二十七!?え、八?

嘘だろ。

流れ弾に当たって大怪我した気分だ。

アーネスもあんぐりと口を開けている。

「クラウディアさん、人に何か教える時はそこらの魔物よりよっぽど、よっっっっぽど怖いので、気を付けて下さいね。」

給仕してくれながら言ったキンバリーさんの言葉が、不吉過ぎる。

朝食の芋を濾したスープがめちゃめちゃ美味かったのに、感動が明後日に飛んで行ったわ。

ビビってなんかないぞ。

うん、断じてない。


笑顔でお辞儀して出て行くキンバリーさんと入れ違うように、クラウディアさんがやって来た。

今日は、黒のゆったりとしたズボンに半袖の白いブラウス。

何かこう出来る女性って感じの………。

何だ、背中に「グモモっ」て文字と不吉な影が見える気がする。

明らか不機嫌だし。

「お二方。」

静かでゆっくりとした言い方が、何か逆に怖い。

何だ。

「私よりもキンバリーの方が、若くてかわいいと褒めたそうですね。」

「ちょ、ちょちょ、ちょ待って、ちょっと待って下さい、言ってない、言ってないです、クラウディアさんを引き合いに出したり、ましてやかわいいなんて一言も。」

アーネスを見ると視線を外して、震えてる。

馬鹿野郎!

その感じじゃあ、やましいみたいじゃねえか!

「怪しいですね。」

ほら、どうすんだ、これ。

「同い年くらいかなって、言っただけです。

本当です。

加護に誓って本当です。

クラウディアさん。」

アーネス、いいぞ。

発端はお前なんだから、怒りは全てお前が引き受けろ。

とばっちりは勘弁してくれ。

「左様ですか、わりました。

私の時はしなかった年齢の話を、キンバリーとはした。

そういう事ですね。」

うあぁ、そう取るんですか。

「大人の女性って感じで格好いいじゃないですか、クラウディアさん。」

おま、それは賭けだぞ、かなり分が悪い方の。

「私は十七になったばかりですが。」

へ。

嘘でしょ?

十七!?

そんな、イヤでも、えぇ~。

チラリと視線を送ると、青褪めて震えている。

駄目だ。

こうなるとコイツは使えない。

でも、どうする、どうしたらイイ。


その時、ノックが鳴った。

誰だ?救世主か?

「はい、どうぞ。開いてます。」

飛び付くようにドアに声を掛ける。

頼む。

救いの手を俺達に。

「失礼します。」

入って来たのは、ガスリーさんだった。

後光が射して見えた。


サッと脇にそれ、ガスリーさんを中に招き入れると、クラウディアさんは、壁際に下がった。

その顔はまだ不機嫌そのものだ。

「おはようございます。

昨日は時間が取れず、共に食事が出来なかった事を伯爵様も残念がっておいででした。

昨晩、今朝とお食事は口に合いましたでしょうか。

当家のシェフも張り切っておりました。」

「とても美味しくいただきました。

夕べの肉料理とそれに掛かっていたタレや、今朝のスープが俺は特に好きです。

クラウディアさんには親切にして頂いてますし、伯爵様に感謝をお伝え下さい。」

ここで少しでも、点を稼ぐ。

怖い、怖いの、あなたの後ろのその人が。

「それはよかった。

シェフも喜ぶ事でしょう。

伯爵様にも必ずお伝えします。

今日はクラウディアから魔法を習うのでしたね。

彼女は優秀な魔術師ですから、きっとお役に立てるでしょう。

頼みましたよ、クラウディア。」

ナイス。

ガスリーさん、ナイスです。

クラウディアさんの表情が少し柔らかくなった。

「ところで、アーネストリー殿のお顔が少し優れないようですが、何か問題でも御座居ましたか。

何かあれば、何でもこのクラウディアにお申し付け下さい。

メイドとしても、この歳で優秀なのですよ。

メイド長の覚えめでたい、将来のメイド長候補の一人なのです。」

めちゃめちゃ優秀なんだな。

さっきの様子からは、いや、昨日の物腰とか態度からすれば、年齢を考えると相当以上に優秀なのかもしれない。

ガスリーさんとしても、こうして発破を掛けているのかもしれないな。

これはダシにされたのかも。

クラウディアさんの顔が少し誇らしげに見える。

完全かどうかはわからないけど、機嫌は良くなったようだ。

一先ず乗り切ったか?

いや、ここは念の為もう一押ししておこう。

「それは驚きです。

魔法の腕だけではなく、本当に仕事が出来る人なんですね。

執事長にここまで言わせるとは。」

何かを察したのか、小さく頷くとガスリーさんが話題を変えた。

「はい。私も期待しております。

ところで騎士団の訓練に参加したいとの話は、今回は見送らせて頂きました。

単純に体を動かしたいのかとも思いましたが、それだけではない様に思いましたので、別邸に赴いた際に武術指南をお付けする事に致しました。

伯爵様もその様にするのが良いであろうと仰られておりましたので。」

おっと。

それは嬉しい。

まあ、一週間程度でどれだけ出来るかは、正直わからないけど。

「今後の予定は今晩、伯爵様がお伝えすると申されましたので、今はこの位で。

クラウディア、重ねて頼みましたよ。」

そう言い残して、ガスリーさんは退出して行った。

「先ほどは失礼致しました。

お客様を咎めるような物言い、どうかご容赦下さい。」

よし、なんとか乗り切った。

「ですが指導は手を抜きませんので、そのおつもりで。」

うぐっ。

でもまあ、キッチリ教えてもらうとしよう。

アーネス君。貸しだからな。


その後、テーブルに着いて座学に入った。

「アーネストリー様が今言った通りで、このような手順を踏んで、魔法は発動するのです。」

説明し、問いを投げ掛ける。

その繰り返しだが、噛み砕いた説明と、明確な問いが理解を助けてくれている。

貴族の家庭教師とかも、出来そうじゃないかな、この人。

優秀な人は羨ましい。

アーネスも俺も、そんなに悪くないと思いたい、加護もあるし。

美味しい昼食を頂き、いよいよ実践に移る為に、俺達は訓練場に出たのだった。

唐突に湧いたキミーのせいで、長くなったので分割にします。

以前、書いた、話を伸ばす困ったヤツですが、その1は、断然アーネスです。

え?知らん?ええ、そうですよね。


最後にお読みくださった方々、ありがとうございます

モチベにつながるので、ブックマークを是非お願いします

感想を、こうポチッと評価やイイネで表して頂けたら幸いです

「こりゃ、駄目だ、ダメ親父だけに」とか思ったら、切ってくださって結構ですので………


次回 楽しい修練

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