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今はただ「この」己に掛けて −複数の加護と前世の「知識」を持つ俺は、親友勇者と離れアイデンティティを保つ−  作者: ダメ親父
第一章 追憶の中の旅立ち、秘密を共に

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蒼槍城 その一

お城、来た〜

まぁ、あんまり詳しくないんですけどね

読みは「ソウソウジョウ」です

領都に到着して南門で姐さんを降ろすと、真っ直ぐに市街中心部のやや北にある、伯爵の屋敷に連れて行かれた。

姐さんもガスリーさんに誘われたけど、断固として断わっていた。

貴族嫌いとかではなく、単純に気後れしていたようだった。

伯爵が用意した馬車に堂々と便乗しておいて、何を言ってるのやら。


街の殆どから見える城壁は、遠目に見ても「デカい」と思っていたが、近くで見るとそれは圧巻だった。

城壁の四隅が屋根が尖った塔になっていて、深い青の屋根が鈍く陽の光を反射していた。


小高くなった一画に建てられたそれは、オシャレと言うよりは武骨な雰囲気の城塞だった。

小高くなっているのは、低く段々に石垣が組まれているからで、その石垣の周りには近くを流れるオルゼイム川から引いた堀が巡らされている。


ムカデと戦った南の村を流れていた川は、このオルゼイム川の支流で北部の湖沼地域から流れて来て、南の他領で合流している。


俺達は堀にすら近付いた事がないので、間近に見るのは初めてだ。

ここには騎士団の本拠が置かれ、バーゼル伯が政務を執り行い、もう何代もないらしいけど、国王が来訪した際の宿泊もここになる。


堀の内側は一般市民は立ち入り禁止。

それは有事の際も変わらない。

六万を入れるスペースは流石にないのもあるけど、入れたとして肝心の騎士団が身動取れないんじゃ、それは本末転倒ってもんだ。


関所の様な立派な、形状的にはアイツの知識の一番有名な凱旋門を、小さく半分に薄くして飾りを落としたような門を、面頬を上げた騎士が御する馬車は、誰何されることもなく潜り抜けた。

続く堀に架けられた馬車が横に楽に五台は通れる石組みの橋を渡ると、そのままの道幅の緩やかな傾斜で続く坂道をカポカポと蹄の音を立てて登ってく。

末広りになった城壁の目前で、元々並足だった馬車が更に速度を落とすと直ぐに停車し、両脇から誰何を受けた。


「バーゼル伯直属隊、第一小隊一班のイザイルだ。

伯の命でガスリー殿と共に、マローダ殿と招待された冒険者二名をお連れした。」

御者台からそう告げた騎士さんは堂々としていて格好いい。

誰何した騎士が叫ぶようにして開門を告げると、道幅と同じサイズの巨大な落とし格子が、ギリギリと音を立てて上がって行った。

ヤバい。格好いい。

上がり切って通されると、落とし格子の真下を通ったタイミングでアーネスが身をすくめた。

ちょっとわかるよ。

俺も落ちて来ないよな?とか思ったから。

二重の落とし格子の間には、左右両方の壁の上の方にに矢狭間が開けられていて、元が要塞だったのかと思った。

天井には殺人孔が見える。

上を板で塞いでいるけど普通に一抱え位の岩とか落とせそうだ。

ちょっと怖い。

「なぁ、あの穴ってなんだろう」

ってアーネスが聞いてくると、俺の代わりにガスリーさんが笑顔で教えた。

「敵が侵入しようとしたら、岩や熱湯を落とすんですよ。

煮立った獣油とかでもいいでしょうね。

実際に使われたのは、この城がアゼストリア王国の物になる前の事です。」

めちゃくちゃ怖い事を、優しげな笑顔で話すガスリーさんが恐ろしい。

てか実用された事があるんだ。

怖い。


城壁を抜けると、正面に瀟洒な三階建ての洋館。

その左右には城壁と一体化した武骨な飾り気のない、アイツの知識だと学校とかを思わせる建物が建っていた。

城壁内部の広さからいって、洋館の裏手にも何か建っているかもしれない。

舘の前には花咲く庭園が広がり、そこからいい匂いが風に流されて香ってくる。

「スゲェ。」

小さく歓声を揚げるアーネスに、ガスリーさんは笑顔を向けると少しだけ自慢げ話し始めた。

「奥方様がこよなく愛された庭園です。

奥方様が亡くなられた後も、伯爵様の命で管理され続けているのですよ。」

視界全てが城壁じゃあ、気が滅入りそうだ。

少なくとも俺は嫌だな。

変化に乏しい気候のこの辺りでも、季節毎に咲く花はある。

奥方様はどんな気持ちで、この美しい庭を眺めていたのだろうか。

そんな事を考えていると、馬車寄せに着いて静かに停車した。


引いていた二頭の白馬が、ブルルっと鳴きながら首を揺すっていた。

アイツの知識の様に使用人がズラリ、なんて事は無く、女性の使用人さんが二人、出迎えてくれた。

一人は動き易そうな淡い水色の半袖の服に、くるぶしまである濃い茶のスカートを履き、スカート丈と同じ位長いエプロンを着けている。

明るめの茶の髪を太い三つ編みにして、後ろでクルリと巻いて留めてある。

瞳はヘイゼル。

美人さんだ。

もう一人はエプロンこそ同じだけど、同じような形の淡い黄緑の服と濃紺のスカートを履いていた。

癖のある濃い赤髪を肩の辺りで切りそろえ、前髪を両分けにして小さな黄色い花模様が付いたピンで止めてある。

瞳は薄い青。

少しそばかすがあるけど、美人さんだ。


どちらも俺達よりは上だろう。

左胸にはバーゼル伯が戦旗に用いる、狼を模した紋様が刻まれたメダル。

青地の布に下がる小さな勲章のようでオシャレだ。

アイツの知識のロゼッタに形が似てる。


それはそれとして、アイツの知識のメイド服。

ちょっと期待してたなんて言わない。

本来のも、アイツの国のも、どっちも趣あって好きとか言わないぞ。

口にしても誰もわからないだろうけど。


「クラウディア、二人を客間に案内して下さい。

コリンナはマローダ殿を応接室へ。

私は旦那様に報告に上がります。

執務室におられますか?」

クラウディアと呼ばれた茶髪の女性がガスリーさんに応える。

「執事長、旦那様は朝から執務室に籠もられておいでです。

雉撃ちに出られてなければおられるはずです。

それと子爵様が戻った後に、時間を見て顔を出すようにと仰られておりました。

お急ぎではないとの事ですので後ほどお願いします。」

それを聞いて頷き返すと振り返り、

「後ほど、伺いますので、ひとまず失礼させて頂きます。」

俺達にそう言うと、ガスリーさんは二人に目で合図して邸内に入って行った。

「私も後ほど。では。」

そう言ってマローダさんもコリンナさんに付いて去って行った。


置いて行かれて、ちょっと困った。

俺達を放置しないで。

場違い感がえげつない。

荷物を荷台から俺達の荷物を降ろしてくれていたイザイルさんが、俺達の背負子をそのまま二つまとめて肩に掛けると、

「私が運ぶよ。クラウディア殿、案内を。」

ちょっと困った顔をして手を伸ばしかけたクラウディアさんを促した。

クラウディアさんは前で手を組み一礼すると、

「イザイルさん、ありがとうございます。それではお二方、こちらへ。」

と言って歩き出した。


中に入って正面の濃い緑が基調の細かな模様が入った、驚く程柔らかい絨毯が敷かれた階段を踊り場から左の階段へと登ると、階段から真っ直ぐに延びた廊下を進む。

邸内は天井が高く、淡い白が基調の内装と黒っぽいツヤツヤした石張りの床が対照的で、壁の所々にある銀色に輝く、羽か蔦を模した模様も、華美ではなくて落ち着いた雰囲気だった。

廊下には突き当りにしか窓が無く、燭台の蝋燭に火が灯っている。

部屋の入口は全て右手に並んでいた。

階段と突き当りの中間に、他と比べると質素なドアが一つだけあったけど、他は全部同じデザインのドアだった。

そのドアと突き当りの、中間位の部屋に通された。


まず、広い。

壁は腰の高さまで、暗い色の木製の化粧板が貼られ、その上は白で統一されている。

大きなガラスが三段嵌った窓は両開きで、上の方はアーチを描いている。

その窓辺には白地に大きな花柄が入った花瓶が置かれ、薄さから高級品の磁器のようだ。

大きな薄いピンクの花が何本か活けられていて、華やかさを感じさせている。

その横に、これまた高級品の機械時計が置かれている。

初めて見た。

文字盤は白でその縁を花柄が囲っていて、二本の針は金。

真鍮製のケースは文字盤を包むように掲げる両手をモチーフにしている。

入口の脇には大きな、木目が美しいクローゼットが置かれ、全体に白が基調の部屋でアクセントになっている。

窓際に置かれたソファは三人掛けで、金糸で複雑な模様の入った、青いツヤツヤした布張りで、厚みがあって柔らかそう。

脚はアイツの知識の猫足だ。

その前のテーブルは乳白色の天板が美しく、縁取りは金色。

黒くて細い多分、鉄製の脚はオシャレな感じで曲がっている。

部屋の中央には丸い一本脚の木製のテーブルが置かれ、その周りに四脚の木製の椅子があるけど、その高い背や座面、肘掛けもソファと同じ色に銀糸で模様が入った布が張られている。

奥に続く扉は、入口と大きさやデザインが一緒で、ベッドが無いところを見ると寝室なんだろう。


何だ、ここ。

同じ街で別世界過ぎるだろう。

何だ、ここ。

横を見ればアーネスが、微妙に震えてる。

うん、明らかに場違いだよな、俺達。

「ここに、君達の荷物は入れておいた。

それじゃあね。」

少し砕けた口調で言ったイザイルさんに続いて、

「それでは、ごゆっくりお寛ぎ下さい。

私は一度下がらせて頂きますが、何か御座居ましたらドアの脇の飾り紐を引いて下さい。

お伺いに参ります。」

クラウディアさんはそう言うと、二人で出て行った。

ヤメて、待って、行かないで。

高級過ぎて、怖いよ。

座れないよ。

寛げないよ。

パタンと閉まったドアに手を伸ばして、俺とアーネスはしばらく同じ格好で固まっていた。

ガスリーさんの脳内再生はアルフォンスとカイジンの中間って感じです

どうでもイイ?ハイ、わかっていますとも


カミーユとアルフォンスが同じ人って脳内で結びつかないのは、私だけでしょうかね?


メイド服は悩みましたが、出しません

雇用者のお下がりっていう、本来メイド服以前の文化も使いません

こちらの世界の文化や知識が流入していても、独自の文化が発展したんだと思って下さい


お読みくださって頂いている方々、ありがとうございます。

モチベにつながるので、ブックマークを是非お願いします。

「こりゃ、駄目だ、ダメ親父だけに」とか思ったら、切ってくださって結構ですので………。


次回 蒼槍城 その二

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