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今はただ「この」己に掛けて −複数の加護と前世の「知識」を持つ俺は、親友勇者と離れアイデンティティを保つ−  作者: ダメ親父
第一章 追憶の中の旅立ち、秘密を共に

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楽しい?道程

空は白み始めていたが、予定より少し早く、日の出を待たずに出発した。

参加者が揃ったからだろう。


「実際に戦ったお前達の話も聞いておきたいね。

攻撃パターンや、どうやって倒したかを聞きたいしね。」

姐さんに話を振られ、チラリとアーネスを見たが、アーネスはこちらをしっかり見ていた。

クソ、やっぱり俺か。

諦めて話す事にした。


「頭部を使って突進。

手足を狙った噛みつき。

のしかかるようにして狙ってくる首筋への噛みつき。

長い体を使った薙ぎ払い。

こんな感じです。

背中側は普通のムカデと違って固く、刃筋を立てても俺達の剣では刃が通りませんでした。

節の間にピッチフォークを突き立てようとしましたが、なかなか深く刺さらなくて、おまけに動きが速いので狙い辛かったです。」

「薙ぎ払い以外は、他のムカデと同じだね。」

「毒を持つ顎肢が頭より前に伸びているので、頭部を使った攻撃は極力回避。

躱し切れない時は、武器で受け流し。

狙われていない人が位置を変えながら、背中に攻撃する感じで攻めはしましたが、村の守護騎士や警備隊が来るまでの時間稼ぎが目的の立ち回りでした。」

「でも倒したんだろう?」

ちょっと眉をひそめ、姐さんが聞いてきた。


「ちょっと躊躇った瞬間に、頭部での攻撃を受け止める形になっちゃって。

勢いで藪の方に押し込まれそうになっていたら、アーネスが飛び付きながら節の間に攻撃してくれたんです。

痛みからか、怒ったのか、伸び上がって口が剥き出しになったので、剣を突き込んだらちょっとだけ突き抜けました。

それでとっさに離れて、剣の柄をピッチフォークで殴って止めを刺しました。」

「アンタらも、大概無茶するねえ。」

今度は呆れ顔の姐さん。

まあ自分自身、驚いた行動だ。


「あと、狙われていた人に組み付こうとしていたのか、接敵の前に伸び上がったタイミングでナイフを投げたら、腹側には刺さったので、腹側は背中程固くないはずです。

ただそれほど頭を上げないので、狙うのは難しいと思います。」

「なるほど。

弱点をさらさないのは仕方ないねえ。

ムカデは捕食の時には、獲物を抱えるように組み付きながら噛んで、毒を打つんだけどね。」

「はい。

頭部の破壊で倒せたので、普通のムカデ同様、頭が弱点でしょう。

でも頭を割ってもしばらくは動いてました。

魔物だから魔石を割っても倒せると思いますが、頭のすぐ下にあったので狙いとしてはあんまり変わらないかも。」 


それまで頷きながら聞いていたミラさんが口を開く。

「それはそう。

この辺りに出るムカデは魔物でも硬くないのが普通だから、魔石のある節ごと切り落とすのが、セオリーなんだけどね。」

「ミラの言う通りだね。

じゃあ今回は、頭部の攻撃は反撃が無理なら回避。

薙ぎ払いは防御も出来そうだけど、回避優先。

体への攻撃で動きを鈍らせてから、頭を潰すって感じかね。

様子を見て考えよう。

ミラ達は、狙われたら回避専念で。」

「あいよ。」

と、短く返すミラさんと、二度頷くザラさん。

「こんなところかね。

他に何かあるかい?」

姐さんの言葉に、アーネスがスッと手を上げた。


「アーネストリー、何かあるのかい。」

「いや、打ち合わせは終わりみたいだから、ちょっと関係ない質問なんですけど。」

「言ってみな。」

「魔物って何ですか?」

「今更な上に今かい。

まあいい、アタシもそんなに詳しくないけどね。」


姐さんが言うには、魔物は魔石を持つ生き物の総称らしい。

大きさ、凶暴性の有無、種類を問わず、魔石の有無で決まるということのようだ。

知性を持つドラゴンも、温厚だったり、見境無く暴れたりと、個体差はあるけど魔石を持つので魔物。

逆にどんなに大型で凶暴でも、魔石がないのは獣らしい。


海の魔物として有名だったクラーケンも討伐例が少なく、海上での戦いになる為、死骸の回収が出来なかったので長く魔物扱いだった。

それが五十年程前にとある英雄が討伐だけでなく回収にも成功。

隈なく調べたけど魔石が発見されず、ただただデカいタコだとわかったというオチだ。


アンデッドは高位の物は実体が無くても、倒すと魔石を残すことが多いので魔物の扱いだが、ゾンビやスケルトン、実体がないゴーストなんかは魔石を残さないので魔法生物に分類される事もあるらしい。

一般的にはまとめて魔物の扱いだけど。


種類を問わず、魔石が割れると死んでしまうので、体内にあるのが普通だそうだ。

魔石は体内の魔力袋という器官内に出来る結晶で、魔力が凝縮されて出来ているというが、その昔、高位の魔術師がある魔物の魔石と同じサイズ、同等の魔力量まで魔力を凝縮した事があるらしいが、魔石にはならなかったらしい。

今では魔力袋の中の分泌物が、魔力を蓄えながら凝固していると考えられているそうだ。

魔宝石とか、自然の魔力が結晶化して洞窟とかで採掘される魔石とか、何が違うのだろう。


ちなみに魔物を飼育、使役する事も行われている。

代表的なのは使役魔禽で鳥系の魔物のうち、飛べて、気性の穏やかな、頭が良い個体を飼いならし伝書鳩のように使役している。

この前のムカデの頭くらいなら運べる個体もいるようだ。

よく聞くけど見た事はない。

遠方に手紙を送ることなんて、俺にはないからな。


「アタシが知ってるのはこんなところかね。」

「はぁ〜。」

とか言いながら、目をキラキラさせているアーネス。

結構、余裕あるな、コイツ。


「さて、じゃあ、後は着くまで少し寝る。

これだけの集団で移動してたら襲撃もなさそうだしね。」

そう言うと、姐さんは腕組みをして目を閉じた。

俺も寝られるかは別にして、目を閉じて体を休めておこう。

と思っていたら、いつの間にか目を開けていた、アーネスの向かいに座る女性冒険者が話し掛けて来た。

「あなた達が、今回のムカデを初討伐したのね。

アタシ、サーシャ。

一緒に動くわけじゃないけど一応よろしくね。」

「はい、ジェスターです。

よろしく。」

「アーネストリーです。」

明るくなってきた外の光で彼女の瞳が緑だとわかった。

挨拶してくれた時に見せてくれた笑顔がかわいい。

なんかアーネスもちょっと、顔を赤らめている。

コイツと趣味、被ってるのかな。

「アタシも少し休むけど、新しい情報でもあったら夜にでもちょうだいね。」

笑顔のままそう言うと、また腕を組んで目を閉じた。


よし、今度こそ休もう。

そう思って目を閉じた。

ほぼ同時に隣のアーネスの寝息が聞こえて来た。

本当にメンタル強いな。

そう思ってからそれ程経たずに、俺の意識も途切れた。

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