表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今はただ「この」己に掛けて −複数の加護と前世の「知識」を持つ俺は、親友勇者と離れアイデンティティを保つ−  作者: ダメ親父
第一章 追憶の中の旅立ち、秘密を共に

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/107

協会支部長

職員さんはスッと席を立つ。

ドアを少しだけ開けてまた元の椅子に座り、静かにするように仕草で合図した。


ちなみにアイツの知識のジェスチャーは人差し指を立てる感じだけど、こっちのは伸ばした人差し指と中指で、唇をちょんちょんと二回触れる。


職員さんが合図をくれてすぐ、さっきの「注目!」よりは声量が押さえられているが、低くよく通りそうな声が聞こえて来た。


「昨日、当協会員が、領都に最も近い南の村への街道で、ムカデ系の魔物と遭遇しこれを撃破した。

駆け付けた村の守護騎士によって、領都の騎士団、警備隊、役所、そしてここにも報告が入り、すでに昨夜の内に、騎士団から即応出来た三班十二名が向かっている。

本日早朝、当協会からも先発として上位のパーティ数組が討伐に向かっている。

先ほど、騎士団も追加で五班二十名が出発した。

さて今回の敵はムカデ系の魔物で、即効性がある致死毒を持っている可能性が高い。

また領内で出現した一般的な個体と比べて、長さ、幅、どちらも二倍以上の大きさであり、個体によっては更に大型の可能性もある。

想定される個体数は最低でも二十。

最悪百を超える事も想定している。」

呻き声にも聞こえる、動揺を含んだざわめきが聞こえて来た。

まあ無理もないが。

それをまるで無視する様に、説明が続いた。

「そこで今回の討伐は、こちらから指名した以外の三ランクの者は、個人討伐には限定しないが、ムカデ系の魔物を討伐した経験を持つ者に限らせてもらう。

また個人での参加は認めず、三人以上での参加とする。

常設パーティでなくとも構わない。

希望する者同士をこちらから紹介する事もしよう。

なお、危険度を勘案し参加希望に対して譲歩はしない。

既に抜け駆けした者もいるし、これからしようとしている者もいるだろうが、窮地に陥っていても救出は期待しないでもらいたい。

討伐と村の守護が最優先。

なおかつ、緊急性が非常に高い。

情報を軽視するようなバカは構ってられん。

以上を踏まえ、対象者は出来る限り依頼を受けて欲しい。

なお、現場までは役所と協会が用意した馬車を出す。

依頼を受けたものは明朝、夜明けまでに南門に集まる事。

以上だ。」


少し間を置いて、先ほどより大きなざわめきが聞こえて来た。

不満は出るだろうし、不安も大きいだろう。

チャンスと見て参加者が増えるという事は、今の話の後ではないと思う。

何なら俺だって、気持ちは不参加寄りだ。

アーネスが参加を決めているし、何より姐さんを誘った以上は、もう選べない選択だが。

頭を抱えそうになっていたら、「入るぞ」の声とほぼ同時に扉が開いた。


入って来たのは銀髪美人。

顔はどう見ても女性にしか見えない。

ちょっとキツめに感じる目元と通った鼻筋。

そしてそれ以上に目を引く、サラリとした肩までの銀髪。

喉仏と、ゴツゴツとした手を見なければ、そして声を聞かなければ、ほとんどの人は女性と間違えるだろう。


「相変わらず美人だねぇ、支部長様は。」

「やめろバカ、お前に言われても嬉しくない。

弄りなのが丸わかりだからな。」

頬杖を付き、顔に指差しながら言った姐さんに、呆れ顔で返したのは領都の協会支部長、グレンさんだ。


三十代半ばを過ぎてるハズなのに、どう見ても二十代なのと、顔と声のギャップで見る度に頭が軽く混乱する。


アーネスが初めてグレンさんを見た時、

「スッゲェ、あんな美人見た事ねえ。」

と言って頬を染めていたのがちょっと懐かしい。


「見つけた上に、一匹殺してくれてありがとう。

お前達が無事で何よりだ。

そういや三に上がったんだってな、おめでとう。」

そう言ってくれたグレンさんの笑顔は、男と知らなきゃ恋に落ちてしまいそうな破壊力があった。


「いやそんな、見つけたって言うか、村の人が襲われてただけなんで。

それに見捨てられなかったのも本当ですけど、依頼で村に向かってる最中で、荷車を引いていたから迂回できる状況じゃなかったし、たまたまですよ、たまたま。

助けようとしたその人に手伝ってもらっちゃったし。」

アーネスが頭を掻きながら言うと、グレンさんは首を振った。

「結果が全てとは言わない。

だがお前達は行動し、人一人を救った。

ケツまくって逃げる事も、荷物をその場に残して村に走り、騎士や警備隊に投げる事も出来たハズだ。

だがお前達は立ち向かうという選択を選んだ。

それは誇っていいんだ。

無謀と思うヤツ、お前達が倒した魔物を侮るヤツ、果ては理由もなく認めようとしないヤツなんてのもいるだろう。

だがそんなヤツラは放っておけ。

お前達を認めるヤツは必ずいる。

少なくとも俺はその一人だよ。」


嬉しい。

素直にそう思えた。

誰かに認められる為にやった事ではないし、ただ流されたとも言える事だけど、褒められた。

褒めてもらえた。

それが単純に嬉しかった。


「どうやらお前達も参加するようだな。

聞いていたと思うし、そこのマイラから説明もあっただろうが、いいのか?

かなり危険だぞ。」

意志を確かめるように言うグレンさんに、アーネスは真っ直ぐに視線を合わせ、答えた。

「参加します。」


僅かな時間、沈黙が流れた。

その間、二人の視線は固定されたままだった。


「わかった、参加を認める。」

グレンさんの言葉にホッとしたような顔するアーネス。

それを見て少し苦笑するような表情を浮かべたグレンさんは、続きを口にした。

「夕べのうちにマイラから話は聞いた。

斥候役二人はミリアと組んだ事もある、ミラとザラの兄弟に話を通してある。

荒事向きではないが、索敵と探索に関しては問題ない能力がある。

ハンマーの貸し出しも認める。

今日のうちに倉庫から選んでおけ。

今回は緊急依頼扱いだから無償で構わん。」

「ありがとうございます。」

俺が礼を言うと片手を上げて首を振った。


「礼には及ばん。

こちらで紹介する他の急造パーティも、お前が言った事を元にして組ませてもらう事にした。

いいアイデアだ。

それと探索組があぶれるから、そいつらは何人かで組ませて、捜索と索敵も兼ねてもらう事になってる。

一応お前達も、数減らしの遭遇戦は避けられんだろうが、主たる目的は親玉の捜索だな。」

ちょっと意外だ。

戦える人の方が多いと思っていた。

ムカデを倒した事があるという前提が、人数を絞っているのか。


「ジェス、何か考えてやがるな。

何だ、言ってみろ。」

「いや、戦える人の方が多くなるのかと思っていたので少し意外だっただけです。

条件を絞ったから戦える人が少なくなっているのでしょうか?」

「そうだ。

四ならまだしも、三で金属製の防具を揃えられるヤツは少ないからな。

咬まれたら終わりの状況で、無理はさせられない。

お前らが革鎧なのはまあ不安だが、一匹倒した上に、対策をキッチリ考えられているから外さなかった。

もっとも辞退するようなら、引き止める事もしなかったけどな。」


なるほど。

でもさっき言ってた想定個体数からいって、戦力不足なんじゃ。

「不安そうだな。

俺が下げたくない頭を下げて、騎士団を合計で二個小隊も出させたのは、戦闘要員を確保する為だ。」

そういうことか。

冒険者の犠牲を押さえて、足りない分は騎士団に任せる算段なのか。

「この際だから言っておくが、あぶれた探索班の半分は騎士団の斥候をさせる事になってる。

本当はミラとザラもそっちに回ってもらうつもりだったんだが、そいつがどうしてもってゴネてな。」

「アタシに話を振るんじゃないよ。」

つまらなそうにそう言ったミリア姐さんの顔は、ちょっとだけ赤くなっていた。

グレンの声の脳内再生はギルベルトとフューズのミックスって感じです。

やっと名前が出たマイラさんはマックイーン。

どうでもイイ?確かに。


ちょっと修正しました。

前後で文が繫ってないところがあったので。


お読みくださって頂いている方、ありがとうございます。

モチベにつながるので、ブックマークを是非お願いします。

大失態の後でこんなお願いもないのですが………。

「こりゃ、駄目だ、ダメ親父だけに」とか思ったら、切ってくださって結構ですので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ