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グランデ・ヴァイオシス  作者: 赤綿棒
3/4

3.理解不明な状況

「一体どうなってんだ⁉」


洞窟に声が響く程の大声を上げえてしまう。

スヤクは自身が認識した事実を受け止められずにいた。


「俺がモンスターに⁉」


機械化した右腕に、人間の左腕、骨の体、そして、心臓のように真っ赤に輝く核が見える。

顔を触る。硬い骨の音がし、肉付きの弾力ある肌は存在していなかった。

すべての事実を認識しても、理解することを頭が拒絶する。


理解できない出来事に頭を抱え、その場に蹲ってしまう。

彼が、冷静になるためには、しばらくの時間が必要だった。


△▼△▼


しばらく時間が経過した。


「そういえば、俺、食われたよな?」


頭は混乱しているが、事実は変わらない。

時間が経過し、動揺は残っているが、冷静さが少し戻ったスヤクは、意識が途切れる前の記憶を思い出す。


周りを見渡し、何か情報がないか確認する。


「うぁ!!」


見た瞬間、悲鳴が口から洩れてしまう。

そこには、首から上がなく、心臓を抉られた遺体が横たわっていた。


「俺だよな・・・!?」


身体的特徴、剝がされて道に転がっている鉄の胸当て、よく知っているものだ。

その情報から、この遺体が自身だということが判断できた。


見ていても気分が悪くなってくるが、もっと近くで、確認する必要がある。

遺体に近づき、調べてみる。


「腹と喉にナイフが刺さっている」


閃光により目が見えなくなった時に感じた激痛は、このナイフによるものだったと判断できる。


「これ、俺の?」


自分の左腕を確認する。ナイフを抜きった跡があり、モンスターがこれを使って自分を殺したのだということが分かる

 これ以上調べても、死因以外はわからず、今の体を改めて確認する。


スケルトンのような体に、異質な両腕、心臓のように輝く核、どう見ても自分が逃げていたモンスターの姿そのものであった。

そして、暗闇だというのに見える目に、声が出せ、耳も聞こえる。


「痛くない」


ナイフが刺さっていたのに痛みを感じず、血もあまり出ていない。それに、物を触っても感触を感じられない。本当にモンスターになったのだと否定する材料がなくなってしまった。


「これからどうしよう・・・」


いくら考えてもこれ以上の進展はなく、次の行動が必要だった。

思い返すと、ふと頭の中で、この骨がどこから来たのかという疑問が生まれる。


「洞窟の奥から現れたよな?」


自分が襲われた場所を思い出し、奥の方へと目を向ける。外に出るという選択もあるが、もし、ほかの冒険者と出くわすと襲われてしまう。

兎に角、この化け物について何か情報がないとどう行動していいかわからなかった。足を奥に向けて進もうとするが、自分だった遺体が目に入る。

このまま置いといても、後に住み着くモンスターに食われるが、ほかの冒険者に見つかって、放置されるか火葬してくれるかということをぽ考え、とりあえず、持っていくことにした。


△▼△▼


 「壁に何かないか」


 遭遇した場所に到着し、遺体を置いてから、周りを細かく確認してみる。

洞窟の行き止まりであるはずの場所で、突然、出現したのを思い出し、壁などを見てみる。


「何だこれ?」


 注意深く見ると、一部の壁に違和感を覚える。周りと同じように見えるが、若干色が違い何か線のような跡が見える。触って確認していると、カチっという音とともにスイッチを押す。すると、その場所の壁が扉のように開き、下に続く階段が現れる。

 スヤクは、謎の階段に不気味さを感じるが、とにかく情報が欲しく覚悟を決めて、下へと向かっていった。


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