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46.【銀河人狼】女子ストリーマーが集まってアロングアスしたら裏切り者が見つかった⁉︎


『どーも、ハヅキチです。さて今回は、仲良し美少女ダンジョンストリーマーが大人気ゲーム『Along us(アロングアス)』をプレイしたら殺伐とするのか!』


 チャンネル登録者数109万人。

 ハヅキチこと、降元葉月おりもと はづきが主催のゲーム配信に吾妻が招待された。

 現実にゲーム世界のようなダンジョンがある中、ゲーム実況だけで金の盾を貰うまでに登り詰めた実力派NewTuberだ。


 降元は、VNewTuberであり探究省の人間でもある三昌の幼馴染らしく、その繋がりから芋づる式に呼ばれた。


『みんな仲良いからだいじょぶだよ!』

『えへぇ〜、やっちゃうぞぉ〜』

『ごめん。私の相方、殺す気満々だわ』


 参加者は吾妻、松實、三昌に加えて


『別に構いませんわよ。遊戯は本気で挑むからこそ面白いですから』

『そうそう! この日のために、色んにゃ人のプレイを観て予習したからにゃ〜』


 吾妻が誘えば必ず来る植山と野田。


『ね? なつにゃ?』

『う、うん……頑張るよ』


 そして、下池も参加していた。

 普段人前に出ない彼女だが、シンジュクダンジョンの救助配信で顔出しして以降、えりにゃん(野田)のファンから、また出演して欲しいとの要望が多く寄せられた。

 なので、ごく稀に動画に出演するようになった。今回も人数合わせで参加している。

 野田はちょっとだけ嫉妬しているらしいが、登録者数と視聴回数が増えてはいるので、それはそれで満足はしていた。


『全三回戦! この7人でさっそくはじめよー!』


 昼の生放送で同時配信をする今回のゲームはAlong us──略称アロアスは『銀河人狼』とも呼ばれる人狼ゲームである。

 銀河を渡る宇宙船の中で、村人役の「クルー」と人狼役の「インポスター」に分かれて自チームの勝利を目指す。

 クルーの勝利条件は与えられたタスクを全部こなすか、インポスターの全員追放。

 対してインポスターは、クルーを残っているインポスターと同数になるまでキル(殺害)するか、サボタージュ(妨害工作)を制限時間内に解除されなければ勝利となる。



『おぉ、最初はこっちだね』


 一回戦。振り分けられたのはクルー側だった。


『ふふっ、わたくしはクルーでしたわ』『なつにゃ、一緒に行動しよっ!』『う、うん……』『さんしょーちゃん待って〜』『おめぇ、付いてくんなよ!』


 今回はゲーム上で近くにいる人とは会話ができる仕様なので、最初は騒がしい。


『えっと、まずはタスクしないとだよね。近くに一個ある! それやろーっと!』


 すると突然通報されて、会議が開かれた。

 吾妻が動揺していると、通報した植山が口を開く。


『ユッキーさんがカナデさんを殺害していましたわ』


 松實の犯行がすぐにバレた。


『うぇーっ⁉︎ ワタシじゃないよ! だって、最後にワタシはハヅキチといたもん! 右の方で! どうよ、アリバイ〜』

『ベントからちょうど出てきたところも見たよ』


 降元の証言が加わり、満票で松實の追放が決まった。

『なんでー──』と最後の断末魔だけが聴こえた。


 ほぼ確実に松實がインポスターだったのは間違いない。

 しかし、もう一人の情報が何もないまま試合は進む。

 途中、サボタージュで右側のエリアにある酸素を回復しに行こうとした時、緑色の植山と通路ですれ違う。

 ちなみに誰かが直してくれたようなので、そのまま右側からぐるっと回るようにタスクを続ける。

 1分後、電源を落とされ視界不良になったので、吾妻が左下エリアで電源を回復させた時、裏手に茶色の死体──降元が転がっていた。


『つうほー! 電気を直しに行ったらその部屋でハヅキチが死んでました!』


 容疑者は三人。


『アタシとなつにゃはずっと一緒にいたよねー』

『うん』

『てことは、葵ちゃんがインポスター?』

『違いますわ。わたくしは今回右側のエリアにタスクが集中しておりましたので、通報されるまでもずっとそちらにいましたわ』


『一人ででしょ?』と、野田が詰める。


『確かにそうですが、途中でマイマイさんとすれ違いましたわ』

『マイマイそうにゃの?』

『たぶん……? あ、酸素直しに行く時だよね。え、でも葵ちゃんあの時まだ直ってなかったのに、逆方向から来たような……』

『ハヅキチさんが既にいらっしゃって作業をしていたので、もう一つの方を直しに行こうとしたのです』


『そっちはわたしが直しました……』と、さらに下池が追撃。


『確かにわたくしは直せていませんが……てすが、わたくしがインポスターでしたら、あの時に殺害していますもの』

『死体は電気室にあったにゃらさ、犯行は停電の時っしょ。葵ちゃんがサボタージュで停電させてから電気室でハヅキチをキルしたんじゃにゃいのー?』

『はっ! それだ!』

『断じて違いますわ! 仰る通りわたくしは一人でした。しかし、ハヅキチさんと一緒にいた証拠もありません。本当はマイマイさんがハヅキチさんを殺害したのちに自身で報告したのでは?』


 と、ここで会議時間が終了した。

 結果は吾妻に1票、植山に3票で予想通り植山が追放された。

 これでクルー側の勝利──にはならず、試合は続いた。


『えっ⁉︎ なんで⁉︎』


 そして、30秒が経過し、ピンク色のインポスター──野田に吾妻がキルされて、インポスター側の勝利で終わった。


『ど、どゆこと⁉︎』

『インポスターはアタシとユッキーだよ』

『そだよ〜。いぇーい、ワタシたちの勝ち〜!』

『停電させてからベントを通ってハヅキチをキルしてー、それからにゃに食わぬ顔でなつにゃのとこに戻ったの』


 停電中のクルーの視界は狭くなるが、インポスターは変わらない。

 下池がタスクしているのを計らって、犯行に及んだ。


『結構ギリギリでさ。なつにゃにバレるかと思って焦ったよー』

『え、気付いてたよ』


『『『えっ』』』


『じゃあ、何でなつにゃ言わなかったの⁉︎』

『だって、えりにゃんを追放したくなかったから……』

『ナチュラルに裏切ってる⁉︎』


 狂人役が勝手に追加されていた波乱の初戦は終わり、続く二回戦。

 再びクルーとなった吾妻は今度こそ勝利しようと張り切るが、


『あ! マイマイだー! おーい! バイバーイ‼︎』

『えぇぇ──⁉︎』


 松實とすれ違い、瞬殺されてしまった。

 ちなみに今回のインポスターは下池とまた松實。

 色々あったが結果としてクルー側が勝利した。


 そして、三回戦。

 吾妻はインポスターとなった。


『マイマイ、ワタシと仲間だねぇ!』


 再三インポスターになった松實。

 三昌をキルしたのちに即刻追放された。


「あわわ、一人であと三キルしないと……!」


 しかし、ここで吾妻が才能を見せる……!

 まず停電のサボタージュを起こした際に植山をキルし、中央エリアまで戻ってから死体消しに緊急会議のボタンを押した。

 会議をうやむやに終わらせてから、さっさと降元をキルし、野田たちに合流。

「タスクが終わったよー」と何食わぬ顔で野田と下池に合流し、クールタイムを挟んでから下池をキルした。


 まさかマイマイがここまで上手いと予想していなかったから誰も彼女を疑わず、その立ち回りから降元のファンを中心に五千人くらいチャンネル登録者数が増える結果となった。



「ふー! 楽しかった〜!」


 ヘッドセットマイクを外し、その場で伸びる吾妻。

 綺麗になった彼女の部屋には、広告収入で購入したグリーンバックが設置されていた。


「ゲーム得意なんだな」

「わたし最強なんで。まぁ、あんまりゲームしたことないけどねー」


 ゲームの腕前も彼女の出自もそうだが、これだけ一緒にいても、知れば知るほど、知らないことばかり出てくる。

 チャンネル登録者数80万人を超えて絶好調だし、ダンジョン配信だけでなく、もっと日常の彼女を公開してもいいかもしれない。

 どんな時でも新しい輝きを見せる吾妻舞莉だが……光が強くなれば、影も濃くなる。


 最近、異端者に襲われることが増えたが、それは偶然で済む話なのか……。

 とにかく彼女には何も知られてはいけない、悟らせてはならない。

 自衛する能力を身につけさせた上で、彼女の非日常を護る。

 それが父と交わした約束だ。

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