『破壊』
クシアは片手を天に伸ばし、唐突に語り始める。
「なぁお前ら、知ってるか? この世界には、超法則を一定領域内で絶対化させる、超法則の奥義みてーなもんがあるらしい」
「……なに?」
デノスが何かに引っかかったかのような声を発する。
クシアの腕の先に水のような闇が発生し、集まり、だんだんと大きな塊を形成していく。
「最初それを知ったとき、正直俺にはよくわからなかった。でもなぁ……今考えてみても不思議な話だが……超法則『死』に触れたあの瞬間、何故かその使い方が分かったんだよ。まぁ、まだまだ分からねぇことの方が多いんだがな」
「まさか……使えるのか」
デノスが何かに気付き、血相を変えながらトアに向かって叫ぶ。
「トア、今すぐここから離れろ!」
「…え?」
「いいから早く!!」
トアは若さゆえなのか、これから何が起こるのか想像できていないようだ。
クシアの腕に溜まっていく闇はどんどん膨れ上がり、次第に赤い色が混じっていく。
「ただ……それを使うには大量の闇が必要になるみてぇでな。だから、カースに時間稼ぎをさせているうちに俺は闇の回収に向かった。結界の近くにいた奴らは当然皆殺しにした。まだ殺せてないヤツがいたとしても、もう間に合わねぇだろうよ」
「トア!!」
「待ってよデノス、一体何が――」
もう遅かった。
「世界法典、第一章――――――『破壊』」