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晴天
――その瞬間だった。
「アレ?」
トアがイメージした円柱領域、その内側にあったカースの体が勢いよく爆ぜ、その漆黒の体に大きな風穴が出来ていたのだ。
「ギャァァアアアアアアアアア!?!?!?」
そして風穴があいたと同時に、カースは耳を劈くような叫びをあげ、今までとは比にならないレベルの量の闇を爆発させるように垂れ流す。
「っ!!」
トアは再び二人を守るように空間を歪ませ、大量に放出された闇をギリギリで防ぐ。その勢いがあまりにも強すぎるのか、空間を歪ませて防いでいるはずなのに空気が揺れるような間隔が二人を襲う。
二人は暗闇の中、ただひたすら敵の攻撃を防ぎ、防ぎ、防ぎ続けて――
――やがてしばらくして。攻撃の気配が消えたと同時に、トアとデノスはいつの間にか閉じていた瞼をゆっくりと開く。
一瞬眩しく感じて目がくらみ、少しだけよく見えなくなる。だがだんだんその明るさにも慣れて、二人の視界に広がったのは……
雲一つ、闇のかけらも存在しない、真っ青な空だった。