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『死』


「……ふぅ、なんとかなったか」


 中年の男は肩を竦ませながら安堵のため息をこぼす。


「やったの、デノス」

「私の超法則は『死』だ。いくらこの男でも耐えられまい」


 男はそう言いながら、クシアから離れてトアの元へと歩いていく。


「まぁ、それもそうね」


 デノス……そう呼ばれているこの男の超法則は『死』。触れたものを無条件で死に追いやるという強力な超法則を所有しているようだ。


「しかし……トア、まさか君にあんな演技力があったとはな。演劇とか向いてるんじゃないか?」

「バカ言わないで頂戴、私程度じゃなれっこないわよ。それに私は神官がいい。ってか、神官以外の仕事なんてできない立場でしょ、私達」

「そんなこともないさ。これは風に聞いた噂なのだが、海の向こうにある月体国という国では、超法則を持ちながら神官になる義務がないというそうだ」

「へぇ……」

「……そこで、だ。もしトアさえよかったら、私と……」

「待って」


 ここでトアの声色が変わる。


「どうした?」

「空、見て」

「……妙だな。結界が消えていない」


 どうやら、気づいたようだ。


「どうしてかしら。あの結界はこの男が張っていたものだと思っていたけど」



 どうしてって、そりゃ決まっているでしょう。

 そう思いながら、私はゆっくりと体を起こす。



「なっ……!?」


 驚いた様子でこっちを凝視している二人の姿は、どこまでも滑稽だった。


「あら、悪いわね? 『悪魔』には死の概念ってないのよ?」


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