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鬼ごっこ開始
「…?」
トアはクシアの口から発せられた予想外の言葉に一瞬だけ動揺するも、
「……勝ち目がないからですか?」
と敢えて冷静な口調で挑発的な言葉を発する。
「まぁ、それもあるけどよ? お前を優先する理由もねぇからな」
だがクシアはその挑発には乗らない。
彼女の言う通り、トアはクシアにとって不利な相手となる。クシアの攻撃は軒並み、超法則『歪み』で簡単に防がれてしまうだろう。クシアにはトアを倒す手段がない。
だからこそ、相手にするだけ無駄だ。
「そうだな……これからやるのは、俺とテメェとの鬼ごっこってところか」
「なに?」
クシアは鉄兜の奥に邪悪な笑みを浮かべながら、言い放った。
「俺はこれから、この国を破壊してまわる。精々止めてみな」
その言葉と同時に、さっきまで冷静沈着だったトアの表情が静かな怒りに歪んでいく。




