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茶番
「ガッ……」
クシアは心臓の位置に剣を刺され、その場に膝をつく。
「バ、バカな……なんだこれ、動けねぇ……超法則が使えねぇ、だと……」
クシアは苦しそうにもがきながら声をあげる。
「無駄です。あなたのことは遠くから見ていました。私の超法則は取り込ませない」
「な、に……?」
「あなたの超法則は脅威です。しかし、動けなくしてしまえばどうにでもなります」
彼女はそう言いながら、自身の懐からもう一本の剣を取り出す。
「もう一度だけ言います。何か言い残すことは?」
そして、冷酷な声でそう言いながら、手に取った剣をクシアの首にあてる。
「……な」
クシアの口から小さく何かが漏れる。
「な?」
トアが聞き返したとき、鎧兜の奥から微かに顔が見えた。
「なんちゃって」
その言葉が放たれた表情は、満面に歪んだ笑みだった。