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開戦の合図
「誰だテメェは」
クシアは自身の後ろに立っていた短髪の女に少しだけ真面目な様子で声をかける。
相手はクシアの声に動じることもなく落ち着いた様子で立っている。分かりやすく感情を表すこともなく凛とした姿で一人そこに立つその姿からは強者の雰囲気が漂ってくる。
クシアは彼女の姿を見た時点で……いや、気配を感じた時点で、相手がそれなりに強いことを理解していた。だからこそクシアはいきなり攻撃はせず、先に様子見することを選択していた。
やがて、彼女はゆっくりと口を開く。
「私の名はトア・テトール。この街の神官です――あなたを駆逐しに来ました」