64/334
死体蹴り
すっかり気分が良くなったのか、クシアは目的をすっかり忘れてしまっているかのようにへらへらとおしゃべりを続ける。
「にしても、テメェの超法則は本当に便利だよなぁ? パッと見た感じ『爆発させる』『動けなくする』『音を消す』『穴をあける』――単純なものしかなさそうだが、応用力は高い。もったいねぇなぁ、技を覚えるばかりでセンスがまるでないヤツさえ所持者じゃなけりゃなぁ」
「……っ」
対するワンダは、完全に勝機を失ったことを悟り、顔を伏せて悔しそうに黙り込んでしまう。
「だが、『姿を消す』『足を速くする』『力を強くする』……義賊をやるのに便利そうな手法がねぇ。何も知らなきゃ変な話だが、今なら分かるぜ?」
「……」
ワンダは口を閉じたまま、一言も発しなかった。それでもクシアは続ける。
「自身に作用する手法には――」