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違和感の正体
自身の身に感じた違和感を見逃さなかったクシアは、微かに顔色を変えてワンダから距離をとる。
そして、クシアはすぐにその違和感の正体に気付く。
(……コイツ……俺の闇を消し去ったな)
今までクシアが相対してきた超法則は『正義』と『超人』、そして『手法』の三つ。だがそのどれもが例外なく、クシアの体を切ったり、潰したり、吹き飛ばしたりする類いのものだった。
彼らの超法則ではクシアを殺すことができない。クシアの闇を切り離すだけで、消し去らないからだ。
だが、今のワンダのあの爪は――その軌道上にあった体内の闇を切ったのではなく、消した。切られたときの感触でわかった。
(こりゃ油断してっと危ねぇなァ……)
クシアは切られた片腕を残った闇でつなぎながら、警戒を強めていく――