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変身
「グゥルルルル……」
ワンダの姿がみるみる変化していく。
顔は骨格から変形して、オオカミを連想させる造形に変わっていく。顔より下は血管をバキバキと浮かび上がらせながら、筋肉は大きく、太く、硬く変質していく。切断された腕も、胴体からすさまじい速度で生えていく。皮膚の色も肌色から、暗い灰色へと変色していく。
身体の変化につれて全身から激しく炎が吹きあがり、身に纏っていた衣服をすべて燃やし尽くしていく。
「おぉ……」
クシアはその光景を興味津々といった様子で眺めていた。変化している間に攻撃しなかったのは、単なる好奇心によるものでしかなかった。
やがて、ひとしきり体の変化を終えたワンダはゆっくりと立ち上がり――
「グゥオオオオオオオオ!!」
――クシアの元へまっすぐに襲いかかる。