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強化の手法
「そりゃ逃げられねぇだろうなぁ、逃げ場なんてねぇしよぉ」
ワンダの独り言を聞いたクシアは笑いながらそう言い放つ。
「ちげぇよ、クズ」
対するワンダは、覚悟を決めた表情でクシアをにらみつけながら静かに呟く。
「あ?」
「テメェを逃がさねぇって言ったんだよ」
それは、微かに震えつつもはっきりとした声だった。
今のワンダには不安があった。今からやろうとすることは、自分自身の命を落とす可能性があったことを理解していたからだ。
それでも……迷いはなかった。
「一か八か!!」
ワンダはそう叫び、自身があらかじめ用意しておいた複数の『強化の手法』を、すべて自分自身に適用させる。
その結果――ワンダの体は光を放ちながら、大きな怪物の姿へと変容していく――