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超法則『正義』
「がはっ……」
闇を身に纏う鎧兜の男は、膝から崩れ落ちる。
白騎士はゆっくりと歩きながら、怒りを滲ませながら吠え続ける。
「超法則でなら防げるとでも思ったか!? 人々を惑わすあらゆる邪悪を切り裂き、迷える人々のために希望の道を切り開く……それが私の超法則『正義』だ! 如何に同じ超法則といえど、貴様のような邪悪な存在を切り裂けない道理はない!!」
神官はゆっくりと歩きながらも、白い剣をゆらゆらと発現させては男の体へと飛ばしていく。どの剣も例外なく彼の身を覆う闇を消し去り、彼の体へと突き刺さる。地に着いた膝の上を、だらんと下げられた手首を、腕を、無防備な肩を、一直線に貫いていく。
やがて白騎士は、体中に白い剣が刺さった男の前に立ち、今までで一番大きな白い剣を発現させ、天へ振りかざした。敵の体を真っ二つに両断するつもりなのだろう。
「……さぁ、終わりだ。最後に、言い残すことは――」
そこまで、言いかけた時だった。白騎士は見てしまったのだ。
檻のような兜の隙間から覗き込む、その男のひどくいびつな笑顔を。